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15話
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レオたちを追放してから二ヶ月が経った。
「あら、こんにちは、ルーカス様」
「おう、昨日ぶりだな」
ルーカスがいつものように不敵に笑う。
一見すると性格が悪いように見えるが、今はもうルーカスはそんな人物ではないと知っている。
ルーカスとはこの二ヶ月を通して、こうやって世間話をするくらいには仲良くなったいた。
「そういえば、レオはこきつかっているのか?」
「ええ、彼は今鉱山で必死に国のために鉱石を掘り続けてくれています」
「お前の両親はどうだ? 謀反を起こそうとしそうだが……」
「商会の者を使って監視させていますが、特に動きは無いようです。意気消沈しながら平民として毎日を過ごしているようですね」
お父様とお母様は今、低賃金で長時間の労働をしてやっと暮らしていける状態だ。
あれでは謀反のことなど考えようがないだろう。
「そうか、お前の妹も修道院にいるし、これで全て落ち着いたんじゃないか?」
「ええ、そうですね」
エミリーは修道院で改心と質素な暮らしを強制されている。
少し前まで贅沢に暮らしていた為、修道院での暮らしはエミリーに想像以上の苦痛を与えているようだ。
「それで、腕の調子はいかがですか?」
「ん? ああ、完全に治ったよ。ま、二ヶ月あればな」
ルーカスが腕を大げさにグルグルと回した。
実は、階段から落とされた時、私を庇ったルーカスは腕が折れていたらしい。
とんでもない痩せ我慢をして平静を保っていたようだ。
あのあとルーカスが腕を包帯てぐるぐる巻にして現れた時は本当にびっくりした。
「本当に、あなたは強がりな人ですね」
当時のことを思い出して、私はくすくすと笑う。
私に無様な姿を見せまいと、あのクールな顔の下では必死に痛みを堪えていたらしい。
するとルーカスが唐突に話を変えた。
「なぁ、覚えてるか。あの時のこと」
「あの時?」
「ほら、突き落とされたお前を守ったときに、お前が後でお願いを聞いてやるって……」
「……ああ、言いましたね」
そういえば、あの後何もルーカスが言わないから、私も忘れていた。
「何かお願いがあるんですか?」
「そうだな、えっと……」
ルーカスは煮え切らない様子で、照れながら頭をかいた。
「俺と、婚約してくれ」
「まぁ」
私は驚いて、すこし考えた。
そして、答えを出した。
「いいですよ」
「……え、本当か? 俺でいいのか?」
了承されると思っていなかったのか、ルーカスあたふたとが慌てだす。
「ええ、いいですよ。あなたの人となりも理解していますし、イザという時には頼りになるので。……って、らしくないですね、いつもの傲慢な感じはどうしたのですか?」
いつもの調子を失っているルーカスを見て、私はふっと笑みが溢れた。
「これからよろしくお願いしますね」
「……ああ、よろしく頼む」
やっと落ち着きを取り戻したルーカスが手を差し出した。
私は一瞬ルーカスが何をしているのか理解出来なかったが、すぐにこれは握手を求めているのだと分かった。
「婚約して握手っておかしくないですか」
「……確かにそうだな、すまん」
私の言葉にルーカスは思い直したように呟いた。
やはりルーカスはまだ慌てているのかもしれない。
「別に構いませんよ」
私はルーカスの手を握る。
そして固く握手したのだった。
fin
「あら、こんにちは、ルーカス様」
「おう、昨日ぶりだな」
ルーカスがいつものように不敵に笑う。
一見すると性格が悪いように見えるが、今はもうルーカスはそんな人物ではないと知っている。
ルーカスとはこの二ヶ月を通して、こうやって世間話をするくらいには仲良くなったいた。
「そういえば、レオはこきつかっているのか?」
「ええ、彼は今鉱山で必死に国のために鉱石を掘り続けてくれています」
「お前の両親はどうだ? 謀反を起こそうとしそうだが……」
「商会の者を使って監視させていますが、特に動きは無いようです。意気消沈しながら平民として毎日を過ごしているようですね」
お父様とお母様は今、低賃金で長時間の労働をしてやっと暮らしていける状態だ。
あれでは謀反のことなど考えようがないだろう。
「そうか、お前の妹も修道院にいるし、これで全て落ち着いたんじゃないか?」
「ええ、そうですね」
エミリーは修道院で改心と質素な暮らしを強制されている。
少し前まで贅沢に暮らしていた為、修道院での暮らしはエミリーに想像以上の苦痛を与えているようだ。
「それで、腕の調子はいかがですか?」
「ん? ああ、完全に治ったよ。ま、二ヶ月あればな」
ルーカスが腕を大げさにグルグルと回した。
実は、階段から落とされた時、私を庇ったルーカスは腕が折れていたらしい。
とんでもない痩せ我慢をして平静を保っていたようだ。
あのあとルーカスが腕を包帯てぐるぐる巻にして現れた時は本当にびっくりした。
「本当に、あなたは強がりな人ですね」
当時のことを思い出して、私はくすくすと笑う。
私に無様な姿を見せまいと、あのクールな顔の下では必死に痛みを堪えていたらしい。
するとルーカスが唐突に話を変えた。
「なぁ、覚えてるか。あの時のこと」
「あの時?」
「ほら、突き落とされたお前を守ったときに、お前が後でお願いを聞いてやるって……」
「……ああ、言いましたね」
そういえば、あの後何もルーカスが言わないから、私も忘れていた。
「何かお願いがあるんですか?」
「そうだな、えっと……」
ルーカスは煮え切らない様子で、照れながら頭をかいた。
「俺と、婚約してくれ」
「まぁ」
私は驚いて、すこし考えた。
そして、答えを出した。
「いいですよ」
「……え、本当か? 俺でいいのか?」
了承されると思っていなかったのか、ルーカスあたふたとが慌てだす。
「ええ、いいですよ。あなたの人となりも理解していますし、イザという時には頼りになるので。……って、らしくないですね、いつもの傲慢な感じはどうしたのですか?」
いつもの調子を失っているルーカスを見て、私はふっと笑みが溢れた。
「これからよろしくお願いしますね」
「……ああ、よろしく頼む」
やっと落ち着きを取り戻したルーカスが手を差し出した。
私は一瞬ルーカスが何をしているのか理解出来なかったが、すぐにこれは握手を求めているのだと分かった。
「婚約して握手っておかしくないですか」
「……確かにそうだな、すまん」
私の言葉にルーカスは思い直したように呟いた。
やはりルーカスはまだ慌てているのかもしれない。
「別に構いませんよ」
私はルーカスの手を握る。
そして固く握手したのだった。
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ありがとうございます!二人には幸せになってもらいたいです。
いつも感想くださってありがとうございます!ルーカスめっちゃ不器用ですね。