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第42話 エルド教

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 だがある日、事件は突然起きたのだった――。
 
 なんと、王様が死去したのだ。

 王様は、前から病気だった。
 俺はアルトから、そのことをきいていたので、アルトに回復のオーブを定期的に渡してきた。
 アルトの手柄ということにして、王様の治療をしていたのだ。
 だが、それもここまでだったようだ。
 王様は、ついに寿命で死んでしまった。
 最善は尽くしてきたが、やはり寿命には勝てないようだ。

 ということで、アルトが王座を継ぐことになった。
 だが、そのせいで、まさかあんなことになろうとは――。


 ◆


「エルド様! ようこそおいでくださりました!」

 アルトはそう言って、俺のことを出迎える。
 こいつ、王になったというのに、俺のことをまだ様とかいってあがめるんだよなぁ……。
 俺は、アルトに呼ばれ、城にきていた。

「それで、なんのようなんだ?」
「じつはですね――」

 それから、アルトはとんでもないことを言い出したのだった。

「エルド教を作ろうと思っているのです……!」
「は、はぁ……????」

 俺は、なにを言われているのかさっぱりだった。頭の中がはてなでいっぱいだぞ。
 なにを言っているんだ、この若き王様は……?

「お、お前……自分が言ってることわかってるのか?」
「もちろんです! 俺は、せっかく王になったことだし、エルド様を崇め称えるエルド教を作って、国教にしようと思うんです! それが、それこそが、俺が王になったことの使命だと思うのです!」
「は、はぁ……?」

 おいおいコイツ……やべえよやべえよ……。
 さすがにアルトの忠誠心を高めすぎたのか?
 まさかコイツがここまで俺に心酔しているとは思っていなかった。
 エルド教ってなんだよ……。

「ちょっと待て、なんだその宗教は。そもそも、信者が集まるのか……?」
「当然ですよ! 集まるに決まってるじゃないですか! 少なくとも、うちの5万の兵士がすでに信者です!」
「すでに……!?」

 そういえば、魔王討伐のときに徴兵した5万の奴隷たちは、そのままアルトのもとで兵士として働いている。
 そいつらは、俺に欠損を治してもらった恩があるってことで、アルトと同じように俺に心酔している。
 じゃあ、そいつらが信者なのか……。

「それだけじゃないですよ! ドミンゴさんとかも、きっとエルド教に入ってくれると思います!」
「ま、まあ……そうだろうけど……」
「エルド様に救われた国民は、大勢います! 魔王を倒したのも実質エルド様ですからね!」
「うーんこの……」

 ということで、俺はなんか勝手に祭り上げられてしまった。
 まあいいや……もう勝手にしてくれ……。
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