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SS2 メルダの思い
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【sideメルダ】
私メルダは物心ついたときには奴隷でした。
幸い、母がこれだけは覚えろと回復魔法を幼いころに叩き込んでくれていました。
回復魔法が使えたおかげで、私は奴隷の中でも比較的いい待遇で暮らしてこれたと思います。
しかし、シュマーケン家の当主であるドフーン様は、ひどいお方でした。
私たち奴隷のことを人とも思わず、蹴る殴るは当たり前。
ろくにパンも貰えない毎日でした。
回復魔法という仕事がある私でさえそうなので、他の雑用奴隷がどういう扱いを受けていたかは想像にかたくありません。
そんな毎日から救い出してくれたのが、エルドおぼっちゃまでした。
エルドおぼっちゃまは、回復魔法を教える代わりに、私にたくさんのあたたかい食事と、満足のいく待遇を用意してくれたのです。
はじめてまともに人間あつかいされて、ほんとうにうれしかった。
また、エルド様に回復魔法を教えるのはたのしかった。
まるで自分の子供をもったかのような気分だったというのは、奴隷としてはさすがにおこがましいだろうか。
とにかく、エルドおぼっちゃまは恩人だった。
そんなエルドおぼっちゃまは、回復魔法を覚えたあとにも、私によくしてくださった。
なんと御父上に言って、私をおぼっちゃまの奴隷にしてくれたのだ。
ドフーン様のところにいては身が持たないからと、おぼっちゃまの奴隷にしてくれた。
おかげで、私はいつもいい待遇を得られた。
奴隷としては、破格といっていい待遇だった。
エルドさまは私の身体を気づかり、簡単な雑用の仕事だけにしてくださった。
私も、もうかなり年も若くないので、身体にいろいろとがたがきている。
しかも、部屋もふかふかのベッドで、食事もエルド様とほぼかわらないものをいただけた。
「いやな、お前には回復魔法を教わったし、いろいろと世話になった。その恩を、少しでも返したくてな」
「そんな、奴隷に恩だなんて……いいですのに……」
「いや、いいんだ。これは俺が勝手にやってることだからな」
エルドさまはそういうが、奴隷に恩を返そうなんて、不思議な人だった。
エルドさまが優しいのは、私に対してだけではなかった。
最初、なぜ貴族であるエルド様が回復魔法なんかを覚えたいと言ったのか不思議だった。
なんとエルド様は、私から教わった回復魔法を、自分のためではなく、奴隷を治すためにつかっていたのだ。
エルド様は欠損のある奴隷を買っては、それを治療していた。
まるで、聖女のような人だと思った。
なぜわざわざそんなことをするのだろうか。
エルド様は、これは欠損奴隷を安くしいれて高く売るためだという。
だけど、それだけのために、回復魔法を覚えるなんて苦労をできるだろうか。
エルド様は口ではそういうけれど、本当は本当に優しい方だ。
きっと、世の中からけが人をなくそうと努力しておられるのだと思う。
そんなエルド様は、奴隷を回復させ、回復させた奴隷からの信頼も厚い。
おまけにその回復させた奴隷を売るだけではなく、仕事をあたえ、いい待遇を与えて働かせているのだ。
本当に、最後まで奴隷のことをよく考えた、すばらしいご主人様だと思う。
そんなエルド様のもとで働けて、本当にしあわせだ。
私は、回復魔法をつかって仕事を得ることまで許可されていた。
冒険者の仕事から帰ってきたドミンゴさんたちを回復することで、ドミンゴさんたちから少なからずの報酬をもらっていた。
もちろん、エルド様が回復したほうがはやいので普段はそうしている。
だけどエルド様がどうしても忙しい時などは、私が回復魔法をかけてお金を得ることを許してくれていた。
おかげで、私はお金にも困らなかった。
ドミンゴさんたちは冒険者としてかなり設けているようで、お金に困っているようすはなかった。
ドミンゴさんたちから冒険の話をきいたりするのもおもしろかった。
晩年は、静かに暮らすことができた。
私のために特別に、エルド様ははなれに小屋をたててくださった。
なぜそこまでしてくれるのかと問うと、気まぐれだと返された。
私メルダは物心ついたときには奴隷でした。
幸い、母がこれだけは覚えろと回復魔法を幼いころに叩き込んでくれていました。
回復魔法が使えたおかげで、私は奴隷の中でも比較的いい待遇で暮らしてこれたと思います。
しかし、シュマーケン家の当主であるドフーン様は、ひどいお方でした。
私たち奴隷のことを人とも思わず、蹴る殴るは当たり前。
ろくにパンも貰えない毎日でした。
回復魔法という仕事がある私でさえそうなので、他の雑用奴隷がどういう扱いを受けていたかは想像にかたくありません。
そんな毎日から救い出してくれたのが、エルドおぼっちゃまでした。
エルドおぼっちゃまは、回復魔法を教える代わりに、私にたくさんのあたたかい食事と、満足のいく待遇を用意してくれたのです。
はじめてまともに人間あつかいされて、ほんとうにうれしかった。
また、エルド様に回復魔法を教えるのはたのしかった。
まるで自分の子供をもったかのような気分だったというのは、奴隷としてはさすがにおこがましいだろうか。
とにかく、エルドおぼっちゃまは恩人だった。
そんなエルドおぼっちゃまは、回復魔法を覚えたあとにも、私によくしてくださった。
なんと御父上に言って、私をおぼっちゃまの奴隷にしてくれたのだ。
ドフーン様のところにいては身が持たないからと、おぼっちゃまの奴隷にしてくれた。
おかげで、私はいつもいい待遇を得られた。
奴隷としては、破格といっていい待遇だった。
エルドさまは私の身体を気づかり、簡単な雑用の仕事だけにしてくださった。
私も、もうかなり年も若くないので、身体にいろいろとがたがきている。
しかも、部屋もふかふかのベッドで、食事もエルド様とほぼかわらないものをいただけた。
「いやな、お前には回復魔法を教わったし、いろいろと世話になった。その恩を、少しでも返したくてな」
「そんな、奴隷に恩だなんて……いいですのに……」
「いや、いいんだ。これは俺が勝手にやってることだからな」
エルドさまはそういうが、奴隷に恩を返そうなんて、不思議な人だった。
エルドさまが優しいのは、私に対してだけではなかった。
最初、なぜ貴族であるエルド様が回復魔法なんかを覚えたいと言ったのか不思議だった。
なんとエルド様は、私から教わった回復魔法を、自分のためではなく、奴隷を治すためにつかっていたのだ。
エルド様は欠損のある奴隷を買っては、それを治療していた。
まるで、聖女のような人だと思った。
なぜわざわざそんなことをするのだろうか。
エルド様は、これは欠損奴隷を安くしいれて高く売るためだという。
だけど、それだけのために、回復魔法を覚えるなんて苦労をできるだろうか。
エルド様は口ではそういうけれど、本当は本当に優しい方だ。
きっと、世の中からけが人をなくそうと努力しておられるのだと思う。
そんなエルド様は、奴隷を回復させ、回復させた奴隷からの信頼も厚い。
おまけにその回復させた奴隷を売るだけではなく、仕事をあたえ、いい待遇を与えて働かせているのだ。
本当に、最後まで奴隷のことをよく考えた、すばらしいご主人様だと思う。
そんなエルド様のもとで働けて、本当にしあわせだ。
私は、回復魔法をつかって仕事を得ることまで許可されていた。
冒険者の仕事から帰ってきたドミンゴさんたちを回復することで、ドミンゴさんたちから少なからずの報酬をもらっていた。
もちろん、エルド様が回復したほうがはやいので普段はそうしている。
だけどエルド様がどうしても忙しい時などは、私が回復魔法をかけてお金を得ることを許してくれていた。
おかげで、私はお金にも困らなかった。
ドミンゴさんたちは冒険者としてかなり設けているようで、お金に困っているようすはなかった。
ドミンゴさんたちから冒険の話をきいたりするのもおもしろかった。
晩年は、静かに暮らすことができた。
私のために特別に、エルド様ははなれに小屋をたててくださった。
なぜそこまでしてくれるのかと問うと、気まぐれだと返された。
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