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3巻
3-2
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パーティが終わり、僕はさっそく領地へと戻ることにした。
領主としてアレン領に戻るのは、これが初めてだ。
自分の家に戻るだけなのに、なんだか緊張するな。
帰りの馬車に揺られていると、向かいに座っているミネルヴァが僕に囁いた。
「アレン、よかったね。みんなアレン領に来たいって言ってくれてる。来月には結婚式も控えてるし……みんなに囲まれて、本当に幸せ」
「うん、僕も……本当に幸せだよ。何より、こうしてミネルヴァと一緒にいられるのが、一番の幸せだ」
「こんな幸せが……ずっと続けばいいよね……」
「うん、そうだね……」
そう言って、僕らは顔を見合わせた。
お互いに目が合って、少し恥ずかしくって笑い合う。
ミネルヴァはちょっと顔が赤くなっていて、本当に可愛い。
ああ、本当に幸せだ。
こんな時間が、ずっと続いてほしい。
すると、隣に座っていた妹のサヤカがこほんと咳ばらいをする。
「あの……お二人さん? 一応私も乗っているんですけど……?」
「あ、ああ……! ごめんごめん、サヤカ。つい、ミネルヴァが可愛くって、見とれてしまった」
「もう……兄さんったら……ミネルヴァさんと出会ってから、ずっとそんな調子なんだから。仲が良いのは結構だけど、もう少し人目を気にしたほうが良いと思うけどなー」
「ごめんごめん、これからはもっとサヤカとの時間も増やすよ。勇者の仕事も落ち着いてきたし、しばらくはアレン領でゆっくりするつもりだからね」
僕が応えると、サヤカは少し頬を赤くして口ごもる。
「べ、別に……嫉妬とか、そういうつもりで言ったわけじゃないけど……でも、私も兄さんと過ごせるなら嬉しい……!」
今度は、そんな僕とサヤカのやり取りを見て、ミネルヴァが笑い出した。
「うふふ……本当に、二人は仲の良い兄妹なのね。うらやましい。私は一人っ子だから」
「何を言ってるの、ミネルヴァちゃん。義妹ならここにいるじゃない」
そう言って、サヤカはミネルヴァの横に行って、ほっぺたをぎゅーと近づける。
「え……?」
「兄さんとミネルヴァちゃんが結婚したら、私はミネルヴァちゃんの妹ってことになるのよ? ね? 姉さん」
「姉さんかぁ……ふふ、なんだかくすぐったいけど、すっごく嬉しい……! 私にも妹ができたなんて!」
ミネルヴァはちょっと照れながら、サヤカのことを抱きしめる。
なんだか微笑ましい光景だ。
最愛の婚約者と妹が仲良くじゃれあっている姿なんて……
しかもどっちも史上最高の美少女だ。
「うん、僕たちは正真正銘、家族になるんだ。これから、幸せな家庭を築いていこう」
「そうね……家族……なんて嬉しい響きなのかしら」
本当に、こんな幸せな日々がずっと続けば良い。
――だけど、世の中そんなに上手くはいかないらしい。
まさかまたあんなことになるだなんて、このときの僕は、ちっとも思っていなかった。
2 領地開拓
王城から馬車を飛ばして数時間、僕たちはアレン城へと戻ってきた。
馬車には【敏捷強化】などを付与してあるから、通常よりもかなり早く着く。
僕が公爵位を授かってから、ここにやってくるのはこれが初めてだ。
今日からここが僕の領地なのだと思うと、なんだかいつもと違う気分だ。
王様からは他にも大量の食料や宝石など、ご褒美に様々な物資をもらった。荷物が多くなってしまったけど、付与によって運べる荷物量は多くなっている。
どうやら攻撃力が上がると、持てる重さも変わるみたいだから、【攻撃力強化】を付与しておいた。【攻撃力強化】には、単純に筋肉量をアップする効果もあるみたいだ。
まさに百万馬力というわけだ。
馬車が城に着いて、荷物を降ろす。
僕が城に到着するやいなや、たくさんの使用人がやってきて、何から何までしてくれる。
サヤカとミネルヴァのお父さんは、そのまま自室へと戻っていった。王都でいろいろあったので、かなり疲れているようだった。
ちなみにハルカさんはやるべき仕事があるらしく、しばらく王都に残るそうだ。
それに、僕たちの結婚式の準備もあるからね。
彼女は結婚式でのサプライズにこだわっていたし、ちょうど僕たちがアレン領へと戻っている間にいろいろ済ませてしまうつもりみたいだ。
ハルカさん、無茶しないといいけど……
僕たちのために一生懸命なのはすごく嬉しいものの、ずっと働き詰めだからちょっと心配だ。彼女が帰ってきたらたくさん労おう。
一応、城のベッドには全部【回復強化】を付与してあるから、それで休めば一発で回復だ。
さて、僕はさっそく、ミネルヴァとアレン領の領地経営にとりかかることにした。
すぐにでもアレン領へと移住したいと言ってくれている人たちが何人かいる。予定では二、三日中には引っ越してくるはずだ。
だからそれまでに、なんとか人が住める状態にしないとね。
一応、周辺の街に空き家は何軒かあるけど、大勢引っ越してくるとなると、それもすぐに足りなくなる。
まずは城の裏に広がる広大な荒地をなんとか使えるようにしたい。
「よしミネルヴァ、さっそく付与術の可能性を調べるとしようか」
「そうね。アレンの付与術……その限界がどこにあるのか……私も気になるわ」
僕とミネルヴァは城の裏手の小高い丘に上った。
そしてそこから、広大な荒地を見渡す。
「エルフの森に行ったとき、僕は森そのものに付与術を使った。そしてエルフの里に付与して発展させることもできた」
「そうね。覚えているわ」
人間、道具、建物、土地――僕の付与は何にかけるか次第でその効果が変わる。
「だったら……この荒地そのものに付与をかけることだって、できるんじゃないか……?」
「やってみましょう……!」
「うん。えい! 【レベル付与】!」
僕は荒地という概念に対して、【レベル付与】を行った。
――――――――――――――――――――
名前 アレン領南東部の荒地
状態 荒廃
広さ 200平方キロメートル
土地レベル 1
――――――――――――――――――――
付与を行うと、城や森に付与をしたときのように、様々なステータスが明らかになった。
「なるほど……『土地レベル』か……これを上げれば、荒地からまともな土地に変化しそうだね」
「広さもステータスの中にあるってことは……もしかして、レベルを上げればその分土地が広くなるのかな……?」
ミネルヴァの予想に僕は頷いて答える。
「だろうね……家や城をレベルアップしたときも、住める土地が増えたからね」
エルフの森を広くしたときも、まるで森の内部の空間だけが引き伸ばされたかのように広くなっていた。
「さっそくレベルを上げるね」
「うん、お願い」
ミネルヴァの能力で、土地に経験値を付与する。
――――――――――――――――――――
名前 アレン領南東部の荒地
状態 肥沃な大地
広さ 10000平方キロメートル
土地レベル 50
――――――――――――――――――――
レベルを上げると、目の前の土地がまるで引き伸ばされたように、ぐん、と大きくなった。
この一帯の土地だけが空間が歪んだように広がっていて、何度見ても不思議な現象だ。
そしてさっきまで乾いた荒地だった表面が、緑豊かな美しい大草原へと変化した。
気のせいだろうか、吹き抜ける風も、さきほどまでの冷たい印象から、すがすがしく気持ちの良いものになったように感じる。
草原にはいくつか小さな木が生えていて、遠くには森らしきものも見える。
これならいずれ果樹園を作ることも可能かもしれない。
ステータスによると、『状態』には『肥沃な大地』と書いてあるから、きっと野菜を育てたりするのにも適していそうだ。
これだけの広大な土地があれば、かなりの食料を生産できるだろう。
領地といっても、これまでは王都の外れの土地をほんの少し割譲してもらっただけだった。けれど、これだけ広くなれば、立派な領地の一つと言えるだろう。
しかも王都までのアクセスも良いから、これならきっと大勢の人々がここに入植したいとやってくるはずだ。
今はまだ何もない草原だけど、今から大勢の領民でにぎわっている姿が容易に想像できる。
僕とミネルヴァは丘の上で心地よい風を全身に感じながら、しばらくその美しい光景に見とれていた。
「すごい…………」
「これ、このままレベルを上げ続けたらエスタリア王国全土よりも広くなっちゃったりして……そうなったらさすがに、王様も何か言ってきそうだよね……」
ミネルヴァの指摘を聞いて、僕は少し顔を引きつらせる。
「う……確かに……まあ、王様のことだから笑って許してくれそうだけれど。でもさすがに広くしすぎると管理も大変だし、そこは気を付けないとだね。さすがに国レベルの土地を管理する自信はないよ……」
「うん……やっぱりアレンの付与術って、空間そのものを捻じ曲げてるっぽいよね……もしかして私たちが思っているよりも、この能力ってすごいのかも……? なんというか、まるで神様にでもなったかのような……」
その言葉で、僕ははっとした。
人知を超えた、神にも似た力。
空間そのものを広げてしまうなんて、そのくらい大げさなことだ。
そう、これじゃあまるで神様が、気まぐれで人間の土地をいじくっているかのような……たとえば、人間がアリの行列に水を流したりするようなものだ。
それが今の僕には簡単にできてしまう。
つくづく恐ろしい能力だ。
一歩使い方を間違えれば、それこそ大惨事になる。かつて僕を陥れたナメップやマクロのような欲深い人間に、悪用されでもしたら……
そう思うと、改めて自分の能力が怖くなってきた。
この能力は慎重に、人助けのために使わないといけないと、僕は自分に言い聞かせる。
そこでふと、僕はあることに気が付く。
本当にちょっとした矛盾だけど、もしかしたらこれは、付与術の仕組みを読み解くための重大なヒントとなるかもしれない。
「ねえミネルヴァ、待って」
「どうしたの、アレン?」
「僕は今さっき、この土地に付与術をしたよね。そしてミネルヴァの付与術でレベルアップさせた。でも、レベルアップしても、この土地の名前は『アレン領南東部の荒地』のままなんだ」
「確かに、草原になったのに、名前はそのままだね」
思い返すと、ラルドたち訓練兵の剣に付与をしたときもそうだった。
訓練兵の剣をいくらレベルアップさせても、名前はそのまま『訓練用の剣』だった。
もちろん、レベルアップすることで性能は格段に上昇する。
だけど根本的な見た目はそのままだった。
そのあと僕が新たに覚えた【名称付与】という新しい付与術で、ラルドの持っていた『訓練用の剣』に『征剣グランラルド』という名前を与えたら、外見が変化したことは記憶に新しい。
剣の場合は、ステータスに『レベル』と『攻撃力』の項目しかなかったから、レベルアップだけでは見た目に影響しなかったと思われる。
『大きさ』や『広さ』みたいな項目があれば、レベル上昇にともなって形も変わっただろう。
だけど、今回はどうだ?
土地をレベルアップさせたことで、土地の状態が『荒廃』だったものが『肥沃な大地』に変化した。
それにともなって、荒れ果てた乾いた大地が、草原へと変わっている。
土地の場合は、名称はそのままでも、レベルアップしたことで見た目にも影響があった。
どうやらレベルアップによってステータスが変わると、見た目も変化することがあるらしい。
そういえばエルフの里をレベルアップさせたときも、家が増えたっけ。
『居住可能』のパラメータが上がって、里に存在する家の数が増えた。
加えて、『快適度』のパラメータが上がって、家の見た目が豪華になり、広くなったし、中にあった家具もよりよいものに変化した。
だけど、それらの変化はあくまで『エルフの里』という概念から逸脱しない範囲に留まっていた。
家具はどれも木製で、エルフたちが好みそうな美しい柄が施された、小綺麗なものばかり。
それらは見た目からも、人間の住む街にある家や家具とは文化が違っていて、明らかにエルフたちの作ったものというのがわかる。
つまりエルフの里をいくらレベルアップさせても、それが急に人間の街になったり、魔族の里に変化したりはしないのだ。
だけど、もしそこに【名称付与】を使って、『エルフの里』という名称を、たとえば……そうだな……『魔族の里』なんていう名前に書き替えでもしたら……?
もちろん、僕はそんなおかしなまねはしない。
あのときも、そんなことは思いつきもしなかった。
だけど思考実験として、『魔族の里』という名前を与えた場合、どうなるだろうかを予想してみる。
おそらくエルフの里にあるすべての家や家具の仕様がまさしく魔族にふさわしいものに一瞬で置き換わるはずだ。
僕は魔族の里に行ったことはないから、それが具体的にどういうものなのかは、もちろん知らないけど、おそらくあの魔人ムーアがいた城に似た景色になるんではないだろうか。
あの見ているだけで怖気のする、おどろおどろしい様式の建築。
無駄にどくろや血や魔物の角があしらわれたような、そういう悪魔的な様式に。
【名称付与】には、それまでの概念を一瞬にして書き換えてしまうほどの恐ろしい可能性がある気がする。
これはさすがに考えたくもないけれど……『エルフの里』を『魔族の里』に名称変更するだけで、そこにいるエルフ全員が急に魔族に変わったりなんてこともありえるかもしれない……
いや、さすがにそれはないのだろうか……?
こればかりは実験して確かめるわけにもいかないな……
もっと言うと、人間の名前を別の人間に書き換えたりもできるかもしれない。
たとえばエルフの長のウィンストンに【名称付与】をして、ブレイン王の名前に書き換えるとどうなるんだ……?
ウィンストンが消えて、ブレイン王が二人存在することになったりするのだろうか。
本当に、この【名称付与】は謎ばかりだな……
試してみたい気持ちがゼロなわけじゃないけど、絶対にやってはいけないような使い道がいくつもある。
本当に、この付与術が悪人の手に渡らないことを祈るばかりだね……
僕は今考えた様々な付与術の可能性について、かいつまんでミネルヴァに話した。
すると彼女はちょっと考えたあと、困惑したような顔つきで僕に尋ねた。
「まあ、アレンの懸念はわかるかも……確かに、恐ろしい能力だよね。でも、ちょっと考えすぎかも。だって、アレンは絶対にこの能力を悪用したりはしないでしょ?」
「まあ、そうだけどね……でも、何事にも絶対はないからね。ある日急に僕がどうにかなってしまう可能性もゼロじゃない。だからもし僕が何かの拍子に、悪の道に進んでしまったときは、ミネルヴァが止めてくれたら嬉しいな……」
「もう、心配しすぎだって……アレンは絶対そんなことしないよ。私が信じてる。でも、もし本当にアレンが道を間違えたらなら、そのときは私がちゃんと軌道修正してあげる」
「うん、ありがとう。よろしくね」
「……で、結局、アレンは何が言いたいの……? 何か気づいたようだけど……」
「うん、本題に入るね。さっきも言ったけど、この草原はレベルアップして、見た目こそ綺麗になったけど、まだ名前が『アレン領南東部の荒地』のままなんだ。つまり、この大地にはまだ改善の余地があるってわけ」
「なるほど……! つまり、この荒地にさらに【名称付与】で別の名前をつければ……ってことね……!?」
さすがはミネルヴァだ。察しが良い。
「うん、まあ、たとえばだけど……『グランアレン大草原』とかね」
「でもそれだと、ただ草原がちょっと良い草原になるだけな気がするわね……すでに見た目は草原になってるんだから、格好良い草原の名前を付与しても、さほど影響が現れないような気もするけど……」
「ああ、確かに……だったら、ここは思い切って『黄金の大地』なんて名前にするのはどうかな……? なんて……」
「さすがに大げさな名前すぎる気もするわね……それこそ、その名前をつけて、いったいどんな影響が出るかわからないわ……」
確かに、草原が全部、文字通りの『黄金』に変わったら大変だ。
それはそれで大金になるし、黄金でできた大地なんて壮観だろうけど……人が住める土地じゃなくなってしまう。
もう少し別の方向性の名前を考えないと……
「でもまあ、このまま名前が荒野のままってのもなんか気持ち悪いし、とりあえず仮で名前をつけておくか」
僕は『アレン領南東部の荒地』という「空間」に対して、右手を振りかざして付与を行った。
「えい……! 『アレン領南東部の荒地』を対象に【名称付与】を発動! 『アレン領南東部――神の大地』の名を付与する!」
――――――――――――――――――――
名前 アレン領南東部――神の大地
状態 肥沃な大地
広さ 100000平方キロメートル
土地レベル 50
含有魔力 500000
地下資源 1000000
――――――――――――――――――――
すると『アレン領南東部――神の大地』と名付けられたその場所は、大地全体がエネルギーを帯びたかのように光り輝いた。
見た目は草原や森そのままだが、不思議とさっきまでとは空気が違っている気がする。
宗教的な施設や、歴史的なスポットなどがある場所は、理屈では説明できないようなエネルギーを感じることがある。
そういう土地は、パワースポットなんて呼ばれるけれど、まさに目には見えない神がかり的なパワーが、大地全体から感じられるようになった。
ステータスにも、『含有魔力』と『地下資源』なるパラメータが追加されている。
魔力が豊富に含まれている土地では、魔法が使いやすくなるなんていう話を聞いたことがある。
だから、大昔から魔法が発展してきたような国では、もともと土地に魔力が多く含まれていたりしたのだとか。
魔力が多い土地は地価も高くなるので、それだけ良い土地だと言える。
それから『地下資源』というのは、宝石や石炭などのエネルギー資源のことだろうか。それがたくさんあるというならば、後々の発展にもつながる。
まさに『神の大地』の名にふさわしい土地になった。
「すごいわね……大地からこれだけのパワーを感じるなんて……土が、地面が喜んでいるようにすら感じる……」
ミネルヴァが呆然と感想を口にした。
「うん。これだけの土地なら、きっとすさまじい領地になるよ……農場や果樹園なんかを作れたら、きっとすごい景色が見られると思う……でも、どうやってそれを……」
僕はしばらく考えた。
僕の付与術は、既存の概念に他の要素を足して(付与して)改善することは得意だ。
付与術とはもともとそういうものだからね。
0を1にするのではなく、1を10にするのが付与術――いわゆるバフと呼ばれるものだ。
だけど、0から1を作り出すような、フォックスのもつ『創造術』のようなことは苦手。
果樹園や農場を0から作り出すことに関しては、難しいと思う。
それこそ、【果樹園付与】だの【農場付与】だの、それに特化した専用の付与術なんかがあればわかりやすいんだけど……そんなニッチで都合の良い付与術は存在しないよね。
「【名称付与】を駆使すればなんとかできそうな気もするんだけど……どうやって応用すればいいんだろう……」
『アレン領南東部――神の大地』に代わる名前、たとえば『果樹園付きの楽園』にするとか?
でもそれだと農場も作ろうと思ったら『果樹園と農場付きの楽園』みたいな名前になってしまう。最初はいいけれど、施設を増やす度に名前が長くなっていくとキリがない。
うーん……
あきらめかけていたそのとき、僕はあることを思いつく。
領主としてアレン領に戻るのは、これが初めてだ。
自分の家に戻るだけなのに、なんだか緊張するな。
帰りの馬車に揺られていると、向かいに座っているミネルヴァが僕に囁いた。
「アレン、よかったね。みんなアレン領に来たいって言ってくれてる。来月には結婚式も控えてるし……みんなに囲まれて、本当に幸せ」
「うん、僕も……本当に幸せだよ。何より、こうしてミネルヴァと一緒にいられるのが、一番の幸せだ」
「こんな幸せが……ずっと続けばいいよね……」
「うん、そうだね……」
そう言って、僕らは顔を見合わせた。
お互いに目が合って、少し恥ずかしくって笑い合う。
ミネルヴァはちょっと顔が赤くなっていて、本当に可愛い。
ああ、本当に幸せだ。
こんな時間が、ずっと続いてほしい。
すると、隣に座っていた妹のサヤカがこほんと咳ばらいをする。
「あの……お二人さん? 一応私も乗っているんですけど……?」
「あ、ああ……! ごめんごめん、サヤカ。つい、ミネルヴァが可愛くって、見とれてしまった」
「もう……兄さんったら……ミネルヴァさんと出会ってから、ずっとそんな調子なんだから。仲が良いのは結構だけど、もう少し人目を気にしたほうが良いと思うけどなー」
「ごめんごめん、これからはもっとサヤカとの時間も増やすよ。勇者の仕事も落ち着いてきたし、しばらくはアレン領でゆっくりするつもりだからね」
僕が応えると、サヤカは少し頬を赤くして口ごもる。
「べ、別に……嫉妬とか、そういうつもりで言ったわけじゃないけど……でも、私も兄さんと過ごせるなら嬉しい……!」
今度は、そんな僕とサヤカのやり取りを見て、ミネルヴァが笑い出した。
「うふふ……本当に、二人は仲の良い兄妹なのね。うらやましい。私は一人っ子だから」
「何を言ってるの、ミネルヴァちゃん。義妹ならここにいるじゃない」
そう言って、サヤカはミネルヴァの横に行って、ほっぺたをぎゅーと近づける。
「え……?」
「兄さんとミネルヴァちゃんが結婚したら、私はミネルヴァちゃんの妹ってことになるのよ? ね? 姉さん」
「姉さんかぁ……ふふ、なんだかくすぐったいけど、すっごく嬉しい……! 私にも妹ができたなんて!」
ミネルヴァはちょっと照れながら、サヤカのことを抱きしめる。
なんだか微笑ましい光景だ。
最愛の婚約者と妹が仲良くじゃれあっている姿なんて……
しかもどっちも史上最高の美少女だ。
「うん、僕たちは正真正銘、家族になるんだ。これから、幸せな家庭を築いていこう」
「そうね……家族……なんて嬉しい響きなのかしら」
本当に、こんな幸せな日々がずっと続けば良い。
――だけど、世の中そんなに上手くはいかないらしい。
まさかまたあんなことになるだなんて、このときの僕は、ちっとも思っていなかった。
2 領地開拓
王城から馬車を飛ばして数時間、僕たちはアレン城へと戻ってきた。
馬車には【敏捷強化】などを付与してあるから、通常よりもかなり早く着く。
僕が公爵位を授かってから、ここにやってくるのはこれが初めてだ。
今日からここが僕の領地なのだと思うと、なんだかいつもと違う気分だ。
王様からは他にも大量の食料や宝石など、ご褒美に様々な物資をもらった。荷物が多くなってしまったけど、付与によって運べる荷物量は多くなっている。
どうやら攻撃力が上がると、持てる重さも変わるみたいだから、【攻撃力強化】を付与しておいた。【攻撃力強化】には、単純に筋肉量をアップする効果もあるみたいだ。
まさに百万馬力というわけだ。
馬車が城に着いて、荷物を降ろす。
僕が城に到着するやいなや、たくさんの使用人がやってきて、何から何までしてくれる。
サヤカとミネルヴァのお父さんは、そのまま自室へと戻っていった。王都でいろいろあったので、かなり疲れているようだった。
ちなみにハルカさんはやるべき仕事があるらしく、しばらく王都に残るそうだ。
それに、僕たちの結婚式の準備もあるからね。
彼女は結婚式でのサプライズにこだわっていたし、ちょうど僕たちがアレン領へと戻っている間にいろいろ済ませてしまうつもりみたいだ。
ハルカさん、無茶しないといいけど……
僕たちのために一生懸命なのはすごく嬉しいものの、ずっと働き詰めだからちょっと心配だ。彼女が帰ってきたらたくさん労おう。
一応、城のベッドには全部【回復強化】を付与してあるから、それで休めば一発で回復だ。
さて、僕はさっそく、ミネルヴァとアレン領の領地経営にとりかかることにした。
すぐにでもアレン領へと移住したいと言ってくれている人たちが何人かいる。予定では二、三日中には引っ越してくるはずだ。
だからそれまでに、なんとか人が住める状態にしないとね。
一応、周辺の街に空き家は何軒かあるけど、大勢引っ越してくるとなると、それもすぐに足りなくなる。
まずは城の裏に広がる広大な荒地をなんとか使えるようにしたい。
「よしミネルヴァ、さっそく付与術の可能性を調べるとしようか」
「そうね。アレンの付与術……その限界がどこにあるのか……私も気になるわ」
僕とミネルヴァは城の裏手の小高い丘に上った。
そしてそこから、広大な荒地を見渡す。
「エルフの森に行ったとき、僕は森そのものに付与術を使った。そしてエルフの里に付与して発展させることもできた」
「そうね。覚えているわ」
人間、道具、建物、土地――僕の付与は何にかけるか次第でその効果が変わる。
「だったら……この荒地そのものに付与をかけることだって、できるんじゃないか……?」
「やってみましょう……!」
「うん。えい! 【レベル付与】!」
僕は荒地という概念に対して、【レベル付与】を行った。
――――――――――――――――――――
名前 アレン領南東部の荒地
状態 荒廃
広さ 200平方キロメートル
土地レベル 1
――――――――――――――――――――
付与を行うと、城や森に付与をしたときのように、様々なステータスが明らかになった。
「なるほど……『土地レベル』か……これを上げれば、荒地からまともな土地に変化しそうだね」
「広さもステータスの中にあるってことは……もしかして、レベルを上げればその分土地が広くなるのかな……?」
ミネルヴァの予想に僕は頷いて答える。
「だろうね……家や城をレベルアップしたときも、住める土地が増えたからね」
エルフの森を広くしたときも、まるで森の内部の空間だけが引き伸ばされたかのように広くなっていた。
「さっそくレベルを上げるね」
「うん、お願い」
ミネルヴァの能力で、土地に経験値を付与する。
――――――――――――――――――――
名前 アレン領南東部の荒地
状態 肥沃な大地
広さ 10000平方キロメートル
土地レベル 50
――――――――――――――――――――
レベルを上げると、目の前の土地がまるで引き伸ばされたように、ぐん、と大きくなった。
この一帯の土地だけが空間が歪んだように広がっていて、何度見ても不思議な現象だ。
そしてさっきまで乾いた荒地だった表面が、緑豊かな美しい大草原へと変化した。
気のせいだろうか、吹き抜ける風も、さきほどまでの冷たい印象から、すがすがしく気持ちの良いものになったように感じる。
草原にはいくつか小さな木が生えていて、遠くには森らしきものも見える。
これならいずれ果樹園を作ることも可能かもしれない。
ステータスによると、『状態』には『肥沃な大地』と書いてあるから、きっと野菜を育てたりするのにも適していそうだ。
これだけの広大な土地があれば、かなりの食料を生産できるだろう。
領地といっても、これまでは王都の外れの土地をほんの少し割譲してもらっただけだった。けれど、これだけ広くなれば、立派な領地の一つと言えるだろう。
しかも王都までのアクセスも良いから、これならきっと大勢の人々がここに入植したいとやってくるはずだ。
今はまだ何もない草原だけど、今から大勢の領民でにぎわっている姿が容易に想像できる。
僕とミネルヴァは丘の上で心地よい風を全身に感じながら、しばらくその美しい光景に見とれていた。
「すごい…………」
「これ、このままレベルを上げ続けたらエスタリア王国全土よりも広くなっちゃったりして……そうなったらさすがに、王様も何か言ってきそうだよね……」
ミネルヴァの指摘を聞いて、僕は少し顔を引きつらせる。
「う……確かに……まあ、王様のことだから笑って許してくれそうだけれど。でもさすがに広くしすぎると管理も大変だし、そこは気を付けないとだね。さすがに国レベルの土地を管理する自信はないよ……」
「うん……やっぱりアレンの付与術って、空間そのものを捻じ曲げてるっぽいよね……もしかして私たちが思っているよりも、この能力ってすごいのかも……? なんというか、まるで神様にでもなったかのような……」
その言葉で、僕ははっとした。
人知を超えた、神にも似た力。
空間そのものを広げてしまうなんて、そのくらい大げさなことだ。
そう、これじゃあまるで神様が、気まぐれで人間の土地をいじくっているかのような……たとえば、人間がアリの行列に水を流したりするようなものだ。
それが今の僕には簡単にできてしまう。
つくづく恐ろしい能力だ。
一歩使い方を間違えれば、それこそ大惨事になる。かつて僕を陥れたナメップやマクロのような欲深い人間に、悪用されでもしたら……
そう思うと、改めて自分の能力が怖くなってきた。
この能力は慎重に、人助けのために使わないといけないと、僕は自分に言い聞かせる。
そこでふと、僕はあることに気が付く。
本当にちょっとした矛盾だけど、もしかしたらこれは、付与術の仕組みを読み解くための重大なヒントとなるかもしれない。
「ねえミネルヴァ、待って」
「どうしたの、アレン?」
「僕は今さっき、この土地に付与術をしたよね。そしてミネルヴァの付与術でレベルアップさせた。でも、レベルアップしても、この土地の名前は『アレン領南東部の荒地』のままなんだ」
「確かに、草原になったのに、名前はそのままだね」
思い返すと、ラルドたち訓練兵の剣に付与をしたときもそうだった。
訓練兵の剣をいくらレベルアップさせても、名前はそのまま『訓練用の剣』だった。
もちろん、レベルアップすることで性能は格段に上昇する。
だけど根本的な見た目はそのままだった。
そのあと僕が新たに覚えた【名称付与】という新しい付与術で、ラルドの持っていた『訓練用の剣』に『征剣グランラルド』という名前を与えたら、外見が変化したことは記憶に新しい。
剣の場合は、ステータスに『レベル』と『攻撃力』の項目しかなかったから、レベルアップだけでは見た目に影響しなかったと思われる。
『大きさ』や『広さ』みたいな項目があれば、レベル上昇にともなって形も変わっただろう。
だけど、今回はどうだ?
土地をレベルアップさせたことで、土地の状態が『荒廃』だったものが『肥沃な大地』に変化した。
それにともなって、荒れ果てた乾いた大地が、草原へと変わっている。
土地の場合は、名称はそのままでも、レベルアップしたことで見た目にも影響があった。
どうやらレベルアップによってステータスが変わると、見た目も変化することがあるらしい。
そういえばエルフの里をレベルアップさせたときも、家が増えたっけ。
『居住可能』のパラメータが上がって、里に存在する家の数が増えた。
加えて、『快適度』のパラメータが上がって、家の見た目が豪華になり、広くなったし、中にあった家具もよりよいものに変化した。
だけど、それらの変化はあくまで『エルフの里』という概念から逸脱しない範囲に留まっていた。
家具はどれも木製で、エルフたちが好みそうな美しい柄が施された、小綺麗なものばかり。
それらは見た目からも、人間の住む街にある家や家具とは文化が違っていて、明らかにエルフたちの作ったものというのがわかる。
つまりエルフの里をいくらレベルアップさせても、それが急に人間の街になったり、魔族の里に変化したりはしないのだ。
だけど、もしそこに【名称付与】を使って、『エルフの里』という名称を、たとえば……そうだな……『魔族の里』なんていう名前に書き替えでもしたら……?
もちろん、僕はそんなおかしなまねはしない。
あのときも、そんなことは思いつきもしなかった。
だけど思考実験として、『魔族の里』という名前を与えた場合、どうなるだろうかを予想してみる。
おそらくエルフの里にあるすべての家や家具の仕様がまさしく魔族にふさわしいものに一瞬で置き換わるはずだ。
僕は魔族の里に行ったことはないから、それが具体的にどういうものなのかは、もちろん知らないけど、おそらくあの魔人ムーアがいた城に似た景色になるんではないだろうか。
あの見ているだけで怖気のする、おどろおどろしい様式の建築。
無駄にどくろや血や魔物の角があしらわれたような、そういう悪魔的な様式に。
【名称付与】には、それまでの概念を一瞬にして書き換えてしまうほどの恐ろしい可能性がある気がする。
これはさすがに考えたくもないけれど……『エルフの里』を『魔族の里』に名称変更するだけで、そこにいるエルフ全員が急に魔族に変わったりなんてこともありえるかもしれない……
いや、さすがにそれはないのだろうか……?
こればかりは実験して確かめるわけにもいかないな……
もっと言うと、人間の名前を別の人間に書き換えたりもできるかもしれない。
たとえばエルフの長のウィンストンに【名称付与】をして、ブレイン王の名前に書き換えるとどうなるんだ……?
ウィンストンが消えて、ブレイン王が二人存在することになったりするのだろうか。
本当に、この【名称付与】は謎ばかりだな……
試してみたい気持ちがゼロなわけじゃないけど、絶対にやってはいけないような使い道がいくつもある。
本当に、この付与術が悪人の手に渡らないことを祈るばかりだね……
僕は今考えた様々な付与術の可能性について、かいつまんでミネルヴァに話した。
すると彼女はちょっと考えたあと、困惑したような顔つきで僕に尋ねた。
「まあ、アレンの懸念はわかるかも……確かに、恐ろしい能力だよね。でも、ちょっと考えすぎかも。だって、アレンは絶対にこの能力を悪用したりはしないでしょ?」
「まあ、そうだけどね……でも、何事にも絶対はないからね。ある日急に僕がどうにかなってしまう可能性もゼロじゃない。だからもし僕が何かの拍子に、悪の道に進んでしまったときは、ミネルヴァが止めてくれたら嬉しいな……」
「もう、心配しすぎだって……アレンは絶対そんなことしないよ。私が信じてる。でも、もし本当にアレンが道を間違えたらなら、そのときは私がちゃんと軌道修正してあげる」
「うん、ありがとう。よろしくね」
「……で、結局、アレンは何が言いたいの……? 何か気づいたようだけど……」
「うん、本題に入るね。さっきも言ったけど、この草原はレベルアップして、見た目こそ綺麗になったけど、まだ名前が『アレン領南東部の荒地』のままなんだ。つまり、この大地にはまだ改善の余地があるってわけ」
「なるほど……! つまり、この荒地にさらに【名称付与】で別の名前をつければ……ってことね……!?」
さすがはミネルヴァだ。察しが良い。
「うん、まあ、たとえばだけど……『グランアレン大草原』とかね」
「でもそれだと、ただ草原がちょっと良い草原になるだけな気がするわね……すでに見た目は草原になってるんだから、格好良い草原の名前を付与しても、さほど影響が現れないような気もするけど……」
「ああ、確かに……だったら、ここは思い切って『黄金の大地』なんて名前にするのはどうかな……? なんて……」
「さすがに大げさな名前すぎる気もするわね……それこそ、その名前をつけて、いったいどんな影響が出るかわからないわ……」
確かに、草原が全部、文字通りの『黄金』に変わったら大変だ。
それはそれで大金になるし、黄金でできた大地なんて壮観だろうけど……人が住める土地じゃなくなってしまう。
もう少し別の方向性の名前を考えないと……
「でもまあ、このまま名前が荒野のままってのもなんか気持ち悪いし、とりあえず仮で名前をつけておくか」
僕は『アレン領南東部の荒地』という「空間」に対して、右手を振りかざして付与を行った。
「えい……! 『アレン領南東部の荒地』を対象に【名称付与】を発動! 『アレン領南東部――神の大地』の名を付与する!」
――――――――――――――――――――
名前 アレン領南東部――神の大地
状態 肥沃な大地
広さ 100000平方キロメートル
土地レベル 50
含有魔力 500000
地下資源 1000000
――――――――――――――――――――
すると『アレン領南東部――神の大地』と名付けられたその場所は、大地全体がエネルギーを帯びたかのように光り輝いた。
見た目は草原や森そのままだが、不思議とさっきまでとは空気が違っている気がする。
宗教的な施設や、歴史的なスポットなどがある場所は、理屈では説明できないようなエネルギーを感じることがある。
そういう土地は、パワースポットなんて呼ばれるけれど、まさに目には見えない神がかり的なパワーが、大地全体から感じられるようになった。
ステータスにも、『含有魔力』と『地下資源』なるパラメータが追加されている。
魔力が豊富に含まれている土地では、魔法が使いやすくなるなんていう話を聞いたことがある。
だから、大昔から魔法が発展してきたような国では、もともと土地に魔力が多く含まれていたりしたのだとか。
魔力が多い土地は地価も高くなるので、それだけ良い土地だと言える。
それから『地下資源』というのは、宝石や石炭などのエネルギー資源のことだろうか。それがたくさんあるというならば、後々の発展にもつながる。
まさに『神の大地』の名にふさわしい土地になった。
「すごいわね……大地からこれだけのパワーを感じるなんて……土が、地面が喜んでいるようにすら感じる……」
ミネルヴァが呆然と感想を口にした。
「うん。これだけの土地なら、きっとすさまじい領地になるよ……農場や果樹園なんかを作れたら、きっとすごい景色が見られると思う……でも、どうやってそれを……」
僕はしばらく考えた。
僕の付与術は、既存の概念に他の要素を足して(付与して)改善することは得意だ。
付与術とはもともとそういうものだからね。
0を1にするのではなく、1を10にするのが付与術――いわゆるバフと呼ばれるものだ。
だけど、0から1を作り出すような、フォックスのもつ『創造術』のようなことは苦手。
果樹園や農場を0から作り出すことに関しては、難しいと思う。
それこそ、【果樹園付与】だの【農場付与】だの、それに特化した専用の付与術なんかがあればわかりやすいんだけど……そんなニッチで都合の良い付与術は存在しないよね。
「【名称付与】を駆使すればなんとかできそうな気もするんだけど……どうやって応用すればいいんだろう……」
『アレン領南東部――神の大地』に代わる名前、たとえば『果樹園付きの楽園』にするとか?
でもそれだと農場も作ろうと思ったら『果樹園と農場付きの楽園』みたいな名前になってしまう。最初はいいけれど、施設を増やす度に名前が長くなっていくとキリがない。
うーん……
あきらめかけていたそのとき、僕はあることを思いつく。
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