くすのき君は妖怪が見えるけどそれはともかく趣味の人である。

くずもち

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第39話模型部山に行く

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 妖刀鍛冶とは文字通り妖刀を打つ専門の刀鍛冶の事である。

 僕と安綱先輩はこういう特殊技能ゆえに同じ学校にいて妖怪繋がりで接点が出来た。

 それでどちらも似たような凝り性だったものだから今でもそれなりに交流が続いていた。

「で? 鬼狩りの話だ。どうするつもりだ?」

「なんとか調伏して仕事を頼めないかなと、タタリを清めるアテがあるんで」

「なに? 本気か? 陰陽師辺りの真似事たぁ珍しいな……。ああでもタタリか。じゃあまず捕まえにゃならんのな」

「ええ、動きさえ止めてくれたら、後は僕が入れ物を用意するつもりなんです。ただ鬼なんて止めるにはさすがに時間が足らないんで」

「わかった。タタリが相手ならやるなら急いだほうがいいだろうしな。報酬は……鬼の角でどうだ?」

「それは鬼自身が目的なので、後の交渉次第ですね。ちょっと時間かかるかもですが僕の作品一つでどうです?」

「そいつはいいが……中身がなぁ。やっぱ素材がいいな」

「……了解です」

 というように僕らはどうしてもどこか事務的なやり取りになりがちである。

 そして交渉はあっさりと成立した。

 実行は週末のお休み。行う行事がただの力ではなく、鬼と決戦と言うのは中々に複雑な心境だった。



「来ちゃったね……」

 登山用の装備に身を包んだ神木さんは、周囲の深い山々を見て呟いていた。

 白蓮様の指示に従い、ある山にやって来た僕らはしかし、明らかに重苦しい山の雰囲気にさっそく渋い表情になった。

 どう見てもよくないモノがいるとわかっている空間は、落ち着かないことこの上ない。

 しかし目的があるのだから気合を入れないとと僕は珍しくリーダーシップを発揮してみるつもりだった。

「はい! では今日は鬼狩りです! 最後まで油断しないように怪我には十分気を付けてください! 家に帰るまでが鬼狩りです!」

「おめぇ……リーダーとか向いてねえな」

「……遠足みたいなのはちょっとない」

「揃ってしつれー」

 ちょっとがんぱったのにあんまりである。まぁ狙ってないかと言われると狙ったけど。

 僕はちょっとだけふてくされて言うが、神木さんがピリピリしていることも気がついていた。

「いや、だって、レジャー気分で行くには、ちょっとここ寒気がすごいんだけど……」

 怯える神木さんに僕は渋い表情を浮かべてそりゃそうだと頷いた。

「……タタリがいるからね。森も影響が出てると思うよ」

「森に影響って……木が枯れちゃうとか?」

「そう、生き物やら、自然やらにバリバリ影響ある」

 タタリとはそういうものだ。

 場合によっては天災にだって例えられるのだから、決して油断出来るものではない。

 だから僕も、安綱先輩とは別枠で助っ人を連れてきていた。

「というわけで、一応助っ人も連れてきました。白君です」

「……オウ。連れてこられてやったぜ。楠 太平許すまじ!」

「そんなタタリみたいな雰囲気出さないの。きつめの修行を終えて、白が帰って来てくれました。今日のお弁当はお稲荷さんです」

「ならば許す!」

「……だからなんか軽いんだよなぁ」

 神木さんはぼやいていたが、力を抜くのも大切である。

 しかし肩をすくめながらも安綱先輩の方は緊張感のある顔をしていた。

「気負い過ぎるのもよくねぇが、舐めてかかるのもよくねぇぞ?」

 安綱先輩が言うように確かにその通り、僕は表情を引き締め直して神木さんにも護身用の結界になるお守りを一つ手渡しておいた。

「その通り。だから準備は万全に。やばいと思ったらすぐに撤退。命大事にが鉄則だから」

「う、うん。……わかった」

「ではよろしく。先輩もよろしくお願いします」

「おう。任せとけ」

 安綱先輩は釣り竿のケースを掲げていて、中からはケース越しにも分かる強い気配がビシビシ感じられた。

 先輩は期待以上のモノをここに持ってきてくれたらしい。

「じゃあちょっと待ってて。僕も準備するから」

 僕はそう断ると、さっそく軽く森の中を見て回り、最初に見つけておこうと考えていた物を見つけた。

 ところが藪の中でモゾモゾ動いているそいつらはフラフラしながら出て来て苦し気にパタリと倒れた。

「あっ、ありゃまずいな。けっこうやばい」

「どうしたの?」

 神木さんと一緒にのぞき込むとその姿は―――誰がどう見てもハニワだった。

「……なにこれ?」

「え? 見たことない?」

「……ハニワが見えるんだけど」

「まぁ。ハニワだろうね」

 神木さんの戸惑った声に僕は頷く。間違いなくこれはハニワである。
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