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第68話黒幕はすぐそばにいる
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「楠君……話があるんだけど?」
「……なんだろう?」
大きな機械で空気を抜いているんだとそう説明しながら何かしている楠君に杏樹はさっそく本題を切り出した。
「子供が街中で、なんだかとてもアニメに出てきそうなおもちゃでバッチバチにバトルしてたんだけど……何か知らない?」
「そりゃぁ……子供はおもちゃで遊ぶものじゃないの? 僕だって熱くなったものだよ?」
「そうなんだけどさ。……明らかに妖怪っぽい何かが出てるの見ちゃって……」
「そりゃあ。出るでしょう? アニメとかでは普通に出てるじゃないか。僕見たことある」
「フィクション! それはフィクションだからね? ……ていうか調べはついているんだよ? 絶対知ってるよね?」
反応があまりにもそっけないのが逆に怪しい。
ハッタリを利かせて詰め寄る杏樹に楠君はムムムと唸る。
「……わかった」
そして観念したのかそう言って頷くと、楠君は部室の奥から真新しい箱をいくつか持って来て杏樹に差し出した。
「……仕方がない。僕が作ってるっていうのはなるべく内緒にね?」
「……なるほどー作って……作った!?」
「え? 知ってて問いつめたんじゃないの?」
意味が分からず箱を受け取る。
するとそこには綺麗にパッケージングされた『アヤカシバトル』とタイトルロゴがバッチリ入った箱があった。
関係あるとかではなく、完全に黒幕だと確定した瞬間だった。
「これは……何?」
「いや? 町のおもちゃ屋さんに渡してる製品の箱だけど」
「……からかってる?」
「からかってないよ。ほんとにこれ人気で品薄だから、僕に直接注文とか来ると困っちゃうんだよ。だから秘密でお願い」
あくまで、何でもないようにとぼける楠君に杏樹は説明するように言った。
「……いや違う。そうじゃない。何でおもちゃから妖怪が飛び出すのか、一枚噛んでいるならそれはダメなんじゃないかとそう思うんだよ」
杏樹としては、見えない人が妖怪に関わっている時点で大変なことだと思う。
それなのに売るなんてかなり抵抗があった。
なのに楠君は杏樹の言葉にきょとんとした顔をして首をかしげていた。
「……なんで?」
「何でって……」
楠君は説明が難しいとこめかみを押さえながら困り顔を浮かべていた。
「いや……そこはまぁ見えない人だって、初詣やら墓参りやらは行くわけだから、金銭で多少の加護をやり取りするのは悪いことではないし……。それにこの『開門アヤカシバトル』は、楽しい上に、とっても役に立つおもちゃなんだよ?」
「そうなの?」
タイトルにツッコミたいし、どうにも要点がズレている気がしたけれど、杏樹はあえて話に乗ってみる。
すると楠君の目が輝いて、どうやら火を着けてしまったようだと杏樹は気が付いたが、もはや手遅れだった。
「うん。元々はおもちゃ屋さんのおじさんと共同開発した、ガムにミニフィギュアをつけるいわゆるご当地食玩だったんだけど……せっかくだし一味加えてみようかなと」
「一味かぁ……味付けが濃すぎるんだよなぁ」
そして、その一味がとても怖い。
杏樹はあまりにも怪しい話に眉間に皺が寄るが、楠君は早口になりながら話を続けた。
「出来上がったおもちゃは結構お高めの値段設定でね。そんなに大げさにやるつもりはなかったんだけど、これが大ヒットでね……いやぁ困っちゃったよね」
「あ、これ、全然困ってない奴だね」
「いや? その辺の暇を持て余してる動物の妖怪と契約するのも大変なんだよ?」
「……その契約って?」
「雇用契約。ゲームに参加してもらってるんだ。契約期間は3年」
「ちょいちょいちょい。そこがおかしくない?」
妖怪をおもちゃとセットで販売しているとか信じられない。
杏樹はそれは大丈夫なのかと、顔色を青くしたり白くしたりしていたが、どういうわけか楠君の方はなんてことないという顔をしていた。
「そう? 暇を持て余してる動物妖怪は案外OKしてくれるよ。それに……実際人気があるんだよ、どっちにも」
チャリンと音が出そうなハンドサインをする楠君に杏樹は眩暈を覚えた。
「……金、お金なの?」
「いやいや、ありかなしかのバロメーターとしてね? それに真っ当に、同意の上で得た正当な報酬だから後ろめたいことはない。確定申告だってちゃんとやってる」
「申告してるんだ」
「そりゃあ。おもちゃの売り上げはきっちりと」
「結構儲かってる?……」
「まぁ? 神木さんも興味あるなら、そのおもちゃ屋に行ってみたら? 今朝入荷してきたばっかりだから、実物がまだあるはず。不安なら安心できると思うし」
「……」
ついジト目を向けた杏樹に、楠君がうむむと唸って今度はメモを取り出すと、簡単な地図を描いてくれた。
確かに杏樹だって、本当は詳しく知っているわけじゃない。
手を伸ばして、メモを受け取った。
「……わかった。興味もあるし一回見に行ってみる」
「それがいいよ。視察ついでに、模型部で作るプラモデルも選んでくるといい。店主さんと趣味が合ってね。色々入荷してくれるいい店だから」
「そ、そうだね、ちょっとは何か私も作らないと。……そっちもわかった」
そういえば模型部に入部しておいて、少々さぼり気味だった。
勢いを完全にそがれた杏樹は、いったん追及をあきらめて件のおもちゃがどういうものか実際見に行ってみることにした。
「……なんだろう?」
大きな機械で空気を抜いているんだとそう説明しながら何かしている楠君に杏樹はさっそく本題を切り出した。
「子供が街中で、なんだかとてもアニメに出てきそうなおもちゃでバッチバチにバトルしてたんだけど……何か知らない?」
「そりゃぁ……子供はおもちゃで遊ぶものじゃないの? 僕だって熱くなったものだよ?」
「そうなんだけどさ。……明らかに妖怪っぽい何かが出てるの見ちゃって……」
「そりゃあ。出るでしょう? アニメとかでは普通に出てるじゃないか。僕見たことある」
「フィクション! それはフィクションだからね? ……ていうか調べはついているんだよ? 絶対知ってるよね?」
反応があまりにもそっけないのが逆に怪しい。
ハッタリを利かせて詰め寄る杏樹に楠君はムムムと唸る。
「……わかった」
そして観念したのかそう言って頷くと、楠君は部室の奥から真新しい箱をいくつか持って来て杏樹に差し出した。
「……仕方がない。僕が作ってるっていうのはなるべく内緒にね?」
「……なるほどー作って……作った!?」
「え? 知ってて問いつめたんじゃないの?」
意味が分からず箱を受け取る。
するとそこには綺麗にパッケージングされた『アヤカシバトル』とタイトルロゴがバッチリ入った箱があった。
関係あるとかではなく、完全に黒幕だと確定した瞬間だった。
「これは……何?」
「いや? 町のおもちゃ屋さんに渡してる製品の箱だけど」
「……からかってる?」
「からかってないよ。ほんとにこれ人気で品薄だから、僕に直接注文とか来ると困っちゃうんだよ。だから秘密でお願い」
あくまで、何でもないようにとぼける楠君に杏樹は説明するように言った。
「……いや違う。そうじゃない。何でおもちゃから妖怪が飛び出すのか、一枚噛んでいるならそれはダメなんじゃないかとそう思うんだよ」
杏樹としては、見えない人が妖怪に関わっている時点で大変なことだと思う。
それなのに売るなんてかなり抵抗があった。
なのに楠君は杏樹の言葉にきょとんとした顔をして首をかしげていた。
「……なんで?」
「何でって……」
楠君は説明が難しいとこめかみを押さえながら困り顔を浮かべていた。
「いや……そこはまぁ見えない人だって、初詣やら墓参りやらは行くわけだから、金銭で多少の加護をやり取りするのは悪いことではないし……。それにこの『開門アヤカシバトル』は、楽しい上に、とっても役に立つおもちゃなんだよ?」
「そうなの?」
タイトルにツッコミたいし、どうにも要点がズレている気がしたけれど、杏樹はあえて話に乗ってみる。
すると楠君の目が輝いて、どうやら火を着けてしまったようだと杏樹は気が付いたが、もはや手遅れだった。
「うん。元々はおもちゃ屋さんのおじさんと共同開発した、ガムにミニフィギュアをつけるいわゆるご当地食玩だったんだけど……せっかくだし一味加えてみようかなと」
「一味かぁ……味付けが濃すぎるんだよなぁ」
そして、その一味がとても怖い。
杏樹はあまりにも怪しい話に眉間に皺が寄るが、楠君は早口になりながら話を続けた。
「出来上がったおもちゃは結構お高めの値段設定でね。そんなに大げさにやるつもりはなかったんだけど、これが大ヒットでね……いやぁ困っちゃったよね」
「あ、これ、全然困ってない奴だね」
「いや? その辺の暇を持て余してる動物の妖怪と契約するのも大変なんだよ?」
「……その契約って?」
「雇用契約。ゲームに参加してもらってるんだ。契約期間は3年」
「ちょいちょいちょい。そこがおかしくない?」
妖怪をおもちゃとセットで販売しているとか信じられない。
杏樹はそれは大丈夫なのかと、顔色を青くしたり白くしたりしていたが、どういうわけか楠君の方はなんてことないという顔をしていた。
「そう? 暇を持て余してる動物妖怪は案外OKしてくれるよ。それに……実際人気があるんだよ、どっちにも」
チャリンと音が出そうなハンドサインをする楠君に杏樹は眩暈を覚えた。
「……金、お金なの?」
「いやいや、ありかなしかのバロメーターとしてね? それに真っ当に、同意の上で得た正当な報酬だから後ろめたいことはない。確定申告だってちゃんとやってる」
「申告してるんだ」
「そりゃあ。おもちゃの売り上げはきっちりと」
「結構儲かってる?……」
「まぁ? 神木さんも興味あるなら、そのおもちゃ屋に行ってみたら? 今朝入荷してきたばっかりだから、実物がまだあるはず。不安なら安心できると思うし」
「……」
ついジト目を向けた杏樹に、楠君がうむむと唸って今度はメモを取り出すと、簡単な地図を描いてくれた。
確かに杏樹だって、本当は詳しく知っているわけじゃない。
手を伸ばして、メモを受け取った。
「……わかった。興味もあるし一回見に行ってみる」
「それがいいよ。視察ついでに、模型部で作るプラモデルも選んでくるといい。店主さんと趣味が合ってね。色々入荷してくれるいい店だから」
「そ、そうだね、ちょっとは何か私も作らないと。……そっちもわかった」
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