俺と蛙さんの異世界放浪記~八百万ってたくさんって意味らしい~

くずもち

文字の大きさ
170 / 197
連載

彼女の旅 住み込み編~ダイジェスト~

しおりを挟む
 彼女は一人旅に出た。

 彼女は何も知らなかったが、それでも旅立つ力は持っていた。

 剣は父から教わった。

 生きるすべは母から教わった。

 それが彼女のすべてだった。

 だから彼女は剣を携えて。

 大きな鎧を身に着けて。

 彼女は一人、旅に出た。



 それは自分がどこから来たのか知るための旅。

 母の故郷を探す旅だ。

 きっとそこには答えがあると、彼女は信じて旅に出た。

 出てきた敵を蹴散らして。

 立ちふさがる障害を叩き伏せ。

 旅の途中に仲間も出来た。

 森の中で出会ったクマに勝負で勝つと、クマが一緒について来た。

 そして旅の中、ついに彼女は母の故郷にたどり着く。

 だが知った真実は、決して喜ばしいものではなかった。

 そこでは彼女は嫌われ者で。

 母は罪人だったのだ。

 彼女はたどり着いた母の故郷で、一つの頼みごとをした。

「母の罪を許してください」

 すると彼女のその前に、故郷の偉い人が現れてこう告げた。



「君の力はとても強い。私達のために君の力をすべて使うのならば許されるかもしれない」

 彼女はそれを受け入れて、彼らのために力を使うことにした。



 だがそんなある日の事だった、彼女の前に突然魔法使いが現れた。

 彼女が魔法使いの世話をすると、喜んだ魔法使いは彼女の願いを叶えてくれた。

 魔法使いはなんと、母の罪を許してくれるよう故郷のみんなに頼んでくれたのだ。

 そして魔法使いの頼みを里は受け入れて、彼女がここにいる意味もなくなった。

 里の偉い人はすべてを彼女に教えると、こう彼女に告げた。

「これからどうするかは、自由に決めるといい」

 彼女はそれから考えた。

 そして恩を返そうと、彼女は魔法使いを訪ねることにした。

 魔法使いはなんと言うだろうか?

 彼女は不安でいっぱいだ。

 きっと追い返されるだろうが、それでも彼女は頭を下げた。



「恩返しをさせていただけないでしょうか?」

「いいよ。そう言うことなら好きにするといい」

 だけど突然訪ねた彼女を、魔法使いはあっさり受け入れて。

 その上大きな家までくれたのだ。

 彼女はさすがに驚いて、そして不安になっていた。

 こんなすごい事をしてもらって、私はちゃんと恩を返せるのだろうかと?

 返せるものならきちんと返したい。

 彼女にはなりたいものがあったのだ。

 彼女は父の様な騎士になりたかった。

 彼女の父は騎士だった。

 強くて、かっこよくって、そして何より正しい。

 だが彼女は自分の事を嫌われ者だと思っていたので、正しい騎士なんてなれるわけがないと思っていた。

 そんな彼女に魔法使いは魔法をかけた。

 それはたぶん魔法使いの小さな親切。

 でもその魔法は、彼女が騎士の心を手に入れるための奇跡になった。



 剣は父から教えてもらった。

 生きるすべは母から教えてもらった。

 だけど教わったものはきっとそれだけではなかったのだと。

 何かを目指すために必要なものは、もうみんなもらっていたと、そんなことに気が付く魔法。

 出来ることはきっとある。

 そしてそれに気が付いたなら、あとは自分の心に恥じるところがないよう進めばいい。

 少しずつ、今までの旅と同じように。

 そう、例えば―――まずはお礼を伝えよう。

 彼女はそう決めて、また真っすぐ歩み出した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。