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ライバル令嬢登場!?
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♢ ♢ ♢
「うわぁ……」
城壁で囲まれた街の中はとても綺麗に区画されていて、大通りを抜ければ目の前に広がるのは王宮。遠くから見ても巨大だった城は、近くで見ると思っていた以上に巨大だった。白を基調とした外壁にところどころ美しい装飾がなされている。レイ君はというと対面に座り直して、一緒に馬車の外の様子を見ていた。チラチラと視線を感じてはいたが、気が付かないふりをして景色を見て、どうにかこうにかレイ君のせいで赤くなってしまった頬を鎮める。王宮の前に辿り着いたときには、街の入り口から20分ほど経っていて、この頃になるとさすがに頬の熱もすっかり冷めていた。
「段差があるので、気を付けてくださいね」
先に馬車から降りたレイ君が手を差し伸べてくれ、ほぼ2時間ぶりの地面だ。「ありがとう」と言って、城を見上げる。まるで巨大な白い鳥がいるような存在感と美しさだ。あまりの壮大さに息を飲んでいると隣に立っていたレイ君が口を開いた。
「今日は父と母は公務、二人の兄は他の街に視察に行っていますので、今は家臣の者しか白にいませんので、あまり緊張しないでください」
「そうなの?」
「えぇ。その方が、貴女が伸び伸び過ごせると思いまして、今日お招きいたしました」
聞けば公務で陛下は城を開けることが多く、二人の兄は情報収集のため街へ降りているらしい。そういう日は、本当に信頼している者しか、城の中には配置していないのだという。だからこそ、出入りのチェックもいつも以上に厳しいらしい。
「では、さっそく中へ入りましょうか?」
そういって私を引き寄せたレイ君の目線の先には城の中へ入るために設けられた美しい扉があった。
♢ ♢ ♢
レイ君に手を引かれ美しい扉の向こうに辿りつくとそこには大きな玄関ホールらしい光景が広がっていた。巨大なシャンデリアが照らし、玄関ホールからは左右になだらかな階段が設けられている。ホール内には高そうな彫刻や絵画が展示されている。白い壁に床は大理石。その上に高そうな赤色の絨毯が敷かれている。配置などは微妙に違うが、なんだか今朝で見た夢の中のような光景だと思った。まぁ、あの夢自体が、伝え聞いていた城の中の夢を見たのだから、イメージ通りというべきか。階段のところの手すりにも美しい彫刻がなされていて、まるで物語に出てくる城のようだと思った。
「広いわね……」
思わず漏れた言葉。 けれども、何故だかデジャブを感じる。
「レナ姉」
すると、私の少し後ろに立っていたレイ君に声をかけられ
「レイ君」
名前を呼びながら私は首を傾げた。何だろう。この違和感は。まるで一度このような会話をしたようなそんな錯覚。脳内で危険だと知らせるアラームが鳴っている。
そんな彼はにこやかに微笑んで私に手招きする。何だろう?と思いながら、彼の元へ歩きかけたときに気が付く。私は思わず歩みを止めた。
これはまるで今朝見た夢のような展開だと思ったから。この後は確か、レイ君に見せたい人がいるとか何とか言われて……と思い出そうとした瞬間
“バン!”
と私たちが入ってきた扉、つまりはレイ君の背後の扉が開き、レイ君ははじかれたように振り返った。私も扉の方へ注目する。
外から眩しい太陽の光が差し込んできて、眩しい。その中に人影のシルエットが見えた。眩しさに目を瞬かせていると、音もなくゆっくりと扉が閉まっていく。入ってくる光が少なくなり、視界がはっきりするとレイ君越しに“その人物”はこちらへ向けて優雅に歩いてくるのが見えた。少し緑がかった長い髪を揺らして、ブラウンの瞳はキラキラと輝いている。年の頃は、レイ君と同じ頃。うら若い美しい少女。
けれども、何故だろう。どこかで見たことがあるような気がした。でも、一体どこで……。そんなことを思いながら、私がどこで見たのか必死に思い出していると
「レイ様」
彼女はレイ君の名前を呼んだ。そして、レイ君の目の前で立ち止まって、愛おしそうにレイ君を見上げて、美しい少女は鈴が鳴るような美しい声で囁いた。
「“婚約者”である私を置いてどちらに行かれてたのですか?」と。
その瞬間、“彼女”が誰なのか思い出した。
「“本物”の婚約者――……?」
呟いた言葉は玄関ホールにやけに大きく響き渡った。
「うわぁ……」
城壁で囲まれた街の中はとても綺麗に区画されていて、大通りを抜ければ目の前に広がるのは王宮。遠くから見ても巨大だった城は、近くで見ると思っていた以上に巨大だった。白を基調とした外壁にところどころ美しい装飾がなされている。レイ君はというと対面に座り直して、一緒に馬車の外の様子を見ていた。チラチラと視線を感じてはいたが、気が付かないふりをして景色を見て、どうにかこうにかレイ君のせいで赤くなってしまった頬を鎮める。王宮の前に辿り着いたときには、街の入り口から20分ほど経っていて、この頃になるとさすがに頬の熱もすっかり冷めていた。
「段差があるので、気を付けてくださいね」
先に馬車から降りたレイ君が手を差し伸べてくれ、ほぼ2時間ぶりの地面だ。「ありがとう」と言って、城を見上げる。まるで巨大な白い鳥がいるような存在感と美しさだ。あまりの壮大さに息を飲んでいると隣に立っていたレイ君が口を開いた。
「今日は父と母は公務、二人の兄は他の街に視察に行っていますので、今は家臣の者しか白にいませんので、あまり緊張しないでください」
「そうなの?」
「えぇ。その方が、貴女が伸び伸び過ごせると思いまして、今日お招きいたしました」
聞けば公務で陛下は城を開けることが多く、二人の兄は情報収集のため街へ降りているらしい。そういう日は、本当に信頼している者しか、城の中には配置していないのだという。だからこそ、出入りのチェックもいつも以上に厳しいらしい。
「では、さっそく中へ入りましょうか?」
そういって私を引き寄せたレイ君の目線の先には城の中へ入るために設けられた美しい扉があった。
♢ ♢ ♢
レイ君に手を引かれ美しい扉の向こうに辿りつくとそこには大きな玄関ホールらしい光景が広がっていた。巨大なシャンデリアが照らし、玄関ホールからは左右になだらかな階段が設けられている。ホール内には高そうな彫刻や絵画が展示されている。白い壁に床は大理石。その上に高そうな赤色の絨毯が敷かれている。配置などは微妙に違うが、なんだか今朝で見た夢の中のような光景だと思った。まぁ、あの夢自体が、伝え聞いていた城の中の夢を見たのだから、イメージ通りというべきか。階段のところの手すりにも美しい彫刻がなされていて、まるで物語に出てくる城のようだと思った。
「広いわね……」
思わず漏れた言葉。 けれども、何故だかデジャブを感じる。
「レナ姉」
すると、私の少し後ろに立っていたレイ君に声をかけられ
「レイ君」
名前を呼びながら私は首を傾げた。何だろう。この違和感は。まるで一度このような会話をしたようなそんな錯覚。脳内で危険だと知らせるアラームが鳴っている。
そんな彼はにこやかに微笑んで私に手招きする。何だろう?と思いながら、彼の元へ歩きかけたときに気が付く。私は思わず歩みを止めた。
これはまるで今朝見た夢のような展開だと思ったから。この後は確か、レイ君に見せたい人がいるとか何とか言われて……と思い出そうとした瞬間
“バン!”
と私たちが入ってきた扉、つまりはレイ君の背後の扉が開き、レイ君ははじかれたように振り返った。私も扉の方へ注目する。
外から眩しい太陽の光が差し込んできて、眩しい。その中に人影のシルエットが見えた。眩しさに目を瞬かせていると、音もなくゆっくりと扉が閉まっていく。入ってくる光が少なくなり、視界がはっきりするとレイ君越しに“その人物”はこちらへ向けて優雅に歩いてくるのが見えた。少し緑がかった長い髪を揺らして、ブラウンの瞳はキラキラと輝いている。年の頃は、レイ君と同じ頃。うら若い美しい少女。
けれども、何故だろう。どこかで見たことがあるような気がした。でも、一体どこで……。そんなことを思いながら、私がどこで見たのか必死に思い出していると
「レイ様」
彼女はレイ君の名前を呼んだ。そして、レイ君の目の前で立ち止まって、愛おしそうにレイ君を見上げて、美しい少女は鈴が鳴るような美しい声で囁いた。
「“婚約者”である私を置いてどちらに行かれてたのですか?」と。
その瞬間、“彼女”が誰なのか思い出した。
「“本物”の婚約者――……?」
呟いた言葉は玄関ホールにやけに大きく響き渡った。
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