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2章
嘘と秘密は紙一重02
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店内には、カジュアルテイストの服から、フォーマルなファッションまで多種多様な服が置いてある。赤、青、緑、黄色、茶色、さまざまなテイストの服がありどれも目を引く。男性物のアクセサリー、カバン、帽子……、うん、男性のオシャレも奥が深い。ざっと見渡しただけでも、50じゃ収まり切れないほどにいろいろある。
「たくさん服があるね」
「そうねー、これだけあるとどれ選んでいいかわからないな」
「いろんな雰囲気のがあるね。あ、これ、俺が着させてもらっているTシャツのロゴだ」
「そうそう、弟が好きなのよね、このブランド」
「へー」
「正直あのTシャツはハルの方が似合っているけど」
そんな中をハルと会話しながら、めぼしいものを探していく。
「ハルは身長高いし、スタイルいいからなー。ハルはどんな感じなのが好きとかある?」
私がそういって隣を見上げれば、ハルはなぜか口元を緩めて私を見つめ返してきた。
「さっきから、にやにやしてどうしたの?」
「ふふふ、マスターとこうやって出かけるの楽しいなって」
そして、ハルはストレートにこんなことを言う。おまけに私の耳元に顔を寄せて、まるで秘め事を話すかのように。そんなことをされれば、男性に対する免疫力がない私はつい照れてしまうわけで……。
「……――っ……あ、あれとかいいんじゃない?」
人形だと頭ではわかっているけど、この不意打ちはずるい。私は咄嗟に視野の隅に留まったハルの髪の色と同じ亜麻色のカーディガンを指さし
「ちょ、マスター!?どうしたの?」
「ハルが先に行って」
「え?どうし――……」
「どうしても!!」
顔を見られないようにカーディガンの方へハルの背をぐいぐいと押し、どうにか顔の火照りを収めるのに必死だった。
♢ ♢ ♢
「うん、いいんじゃない?」
顔の火照りをどうにか沈め、目的のカーディガンが飾られているところに来た私は、ハルの体に亜麻色のカーディガンを当ててみる。ハルの髪の色より若干薄いそれは優しい色をしていて、ハルにぴったりだ。
「あとは、これに合うインナーだよね」
「インナー?」
「上着の下に着る服だよ」
私がそういえばハルは“なるほど”と素直に頷く。普通の会話には支障はないが、たまに知らないことがあるようで、そのたびに新しいことを覚えていくハル。そのときの表情が、なんだか素直で可愛いなと思ってしまうのは秘密だ。そんなことを思いながら、手に取ったカーディガンをハルから離し、店内を見渡して、薄緑色の清潔感のあるシャツが目に留まった。
「あのシャツの色好きだな」
「どれ?」
「あの薄緑色のシャツ」
ハルと一緒に件のシャツの前に行けば、思ったよりも高い場所に飾られていた。ぐぬ……思ったより高い、さすが男性物の服屋。無理だ、あの場所は!なんて思いながら店員を呼ぼうとすると
「これでしょ?」
目の前に広がるのは薄緑色。そして、わずかにずらしてぱっと笑うハルの笑顔。
「……――っ……うん、ありがとう」
危ない、また不意打ち食らいそうになった。美形はずるい。
♢ ♢ ♢
その後、カーディガン以外にもジャケット1点、着回しできそうなインナーに、パンツも数点かごに入れ満足して
「こんなもんかな」
「マスター、満足気だね?」
「え?顔に出てた?」
「さっきも言ったでしょ?マスターは顔に出やすいんだって」
なんて会話をしていると“お客様、是非試着などされてはいかがですか?”めざとく店内に入ったときに声をかけてきた店員がやってきて、あれよあれよという間に試着する展開になってしまったわけで……。
「……どう、かな?」
「うん!バッチリ。やっぱり、そのカーディガンとシャツ合うわね」
「そう言われると嬉しいな。じゃあ、こっちも着てみるね」
ハルは試着室で着替えて、私は店内に設けられた椅子に座ってハルが着替えるのを待っていた。このパターンの店員対策はしていなかったな。だって、基本的に自分で買って気に入ったものがあったらレジに持って行っていたし、特に買うものがなければ即店内から出ていたしな。友人は試着したければ、自分から言うし。それに男性と女性の服屋ではまた勝手が違うのかもしれない。まぁ、別に買うもの決まっているわけだし、無理に押し売りなんてしないだろうとぼんやりと店内を見渡していると
「彼氏さんですか?」
「え?」
店員さんがにこにことしながら話しかけてきた。どうやら私が待ちぼうけしているとでも思ったようだ。
彼氏っていうか、同居人というか、そもそも人じゃないんですよね……とも、言えるわけもなく、どう答えればわからず、思わず目をしばたかせていると
「うらやましいです」
と店員はどうやら肯定に受け取ったようだ。手を叩いて、顔をほころばせる。
「人形みたいに整ってますよね。カッコイイし!」
そりゃ、人形だもん。と心の中で突っ込む。まぁ、本当のことは言えるはずもないのだが。そんな私の心中なんてわかるはずもなく
「しかも、すごく優しそうですし、本当に素敵な彼氏さんですね」
そういって楽しげに笑う店員に、とりあえず曖昧に笑っていると試着室のカーテンが開いた。
「たくさん服があるね」
「そうねー、これだけあるとどれ選んでいいかわからないな」
「いろんな雰囲気のがあるね。あ、これ、俺が着させてもらっているTシャツのロゴだ」
「そうそう、弟が好きなのよね、このブランド」
「へー」
「正直あのTシャツはハルの方が似合っているけど」
そんな中をハルと会話しながら、めぼしいものを探していく。
「ハルは身長高いし、スタイルいいからなー。ハルはどんな感じなのが好きとかある?」
私がそういって隣を見上げれば、ハルはなぜか口元を緩めて私を見つめ返してきた。
「さっきから、にやにやしてどうしたの?」
「ふふふ、マスターとこうやって出かけるの楽しいなって」
そして、ハルはストレートにこんなことを言う。おまけに私の耳元に顔を寄せて、まるで秘め事を話すかのように。そんなことをされれば、男性に対する免疫力がない私はつい照れてしまうわけで……。
「……――っ……あ、あれとかいいんじゃない?」
人形だと頭ではわかっているけど、この不意打ちはずるい。私は咄嗟に視野の隅に留まったハルの髪の色と同じ亜麻色のカーディガンを指さし
「ちょ、マスター!?どうしたの?」
「ハルが先に行って」
「え?どうし――……」
「どうしても!!」
顔を見られないようにカーディガンの方へハルの背をぐいぐいと押し、どうにか顔の火照りを収めるのに必死だった。
♢ ♢ ♢
「うん、いいんじゃない?」
顔の火照りをどうにか沈め、目的のカーディガンが飾られているところに来た私は、ハルの体に亜麻色のカーディガンを当ててみる。ハルの髪の色より若干薄いそれは優しい色をしていて、ハルにぴったりだ。
「あとは、これに合うインナーだよね」
「インナー?」
「上着の下に着る服だよ」
私がそういえばハルは“なるほど”と素直に頷く。普通の会話には支障はないが、たまに知らないことがあるようで、そのたびに新しいことを覚えていくハル。そのときの表情が、なんだか素直で可愛いなと思ってしまうのは秘密だ。そんなことを思いながら、手に取ったカーディガンをハルから離し、店内を見渡して、薄緑色の清潔感のあるシャツが目に留まった。
「あのシャツの色好きだな」
「どれ?」
「あの薄緑色のシャツ」
ハルと一緒に件のシャツの前に行けば、思ったよりも高い場所に飾られていた。ぐぬ……思ったより高い、さすが男性物の服屋。無理だ、あの場所は!なんて思いながら店員を呼ぼうとすると
「これでしょ?」
目の前に広がるのは薄緑色。そして、わずかにずらしてぱっと笑うハルの笑顔。
「……――っ……うん、ありがとう」
危ない、また不意打ち食らいそうになった。美形はずるい。
♢ ♢ ♢
その後、カーディガン以外にもジャケット1点、着回しできそうなインナーに、パンツも数点かごに入れ満足して
「こんなもんかな」
「マスター、満足気だね?」
「え?顔に出てた?」
「さっきも言ったでしょ?マスターは顔に出やすいんだって」
なんて会話をしていると“お客様、是非試着などされてはいかがですか?”めざとく店内に入ったときに声をかけてきた店員がやってきて、あれよあれよという間に試着する展開になってしまったわけで……。
「……どう、かな?」
「うん!バッチリ。やっぱり、そのカーディガンとシャツ合うわね」
「そう言われると嬉しいな。じゃあ、こっちも着てみるね」
ハルは試着室で着替えて、私は店内に設けられた椅子に座ってハルが着替えるのを待っていた。このパターンの店員対策はしていなかったな。だって、基本的に自分で買って気に入ったものがあったらレジに持って行っていたし、特に買うものがなければ即店内から出ていたしな。友人は試着したければ、自分から言うし。それに男性と女性の服屋ではまた勝手が違うのかもしれない。まぁ、別に買うもの決まっているわけだし、無理に押し売りなんてしないだろうとぼんやりと店内を見渡していると
「彼氏さんですか?」
「え?」
店員さんがにこにことしながら話しかけてきた。どうやら私が待ちぼうけしているとでも思ったようだ。
彼氏っていうか、同居人というか、そもそも人じゃないんですよね……とも、言えるわけもなく、どう答えればわからず、思わず目をしばたかせていると
「うらやましいです」
と店員はどうやら肯定に受け取ったようだ。手を叩いて、顔をほころばせる。
「人形みたいに整ってますよね。カッコイイし!」
そりゃ、人形だもん。と心の中で突っ込む。まぁ、本当のことは言えるはずもないのだが。そんな私の心中なんてわかるはずもなく
「しかも、すごく優しそうですし、本当に素敵な彼氏さんですね」
そういって楽しげに笑う店員に、とりあえず曖昧に笑っていると試着室のカーテンが開いた。
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