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第26話再会

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 王城から馬車を走らせること数十分、ハワード家の王都の屋敷に着いた。馬車から降りて目に入ったのは、本邸より小さいが俺からすれば普通に豪邸と呼べる程の大きさの屋敷だった。俺がぼーっとしていたのか父さんは声をかけてきた。

「どうしたアル、行くぞ」

「……はい、父上」

 俺は父さんの後ろについていった。屋敷の門を通り抜けるとすぐに小さな池が見えた。中に鯉のような魚が泳いでいるのが見える。

「久しぶりだね! アル!」

「兄さん、父さんがいることを忘れてない?」

「ほんと、この子ったらもう……」

 声が聞こえた方向を見るとそこには、俺のもう一人の母さんのアリシア母さん、一番上のお兄ちゃんのオリバー兄さん、二番目のお兄ちゃんのエドガー兄さんがいた。


「アリシア母上! オリバー兄上! エドガー兄上! お久しぶりです!」

 俺がそう言うと父さんが続けた。

「久しぶりだな。アリシア、オリバー、エドガー。元気にしていたか?」

「「「もちろんです!!!」」」

 どうやら三人はとても仲が良さそうだ。

 そんな事を考えているとアリシア母さんが俺の方へ近寄ってきた。

「アル~、アリシア母上ってちょっと距離を感じちゃうわ。もっと親しみのあるものがいいわ」

 なんか涙目で訴えかけられてるんだが、俺はいったいどうすれば……。

「では、どうお呼びすれば……」

「そうねぇ~、ママってのはどうかしら?」

 なんか提案されてるのに、呼べ! と感じるのは俺だけだろうか?しかし俺の中身はもうママと呼べるお年ではないはず。

*あくまで持論です。ここ重要。

 だが、俺は今は5歳児、可愛い可愛い5歳児なのだ。

「……それでは……ま、ママ」

 そう言った瞬間からアリシア母さんは俺に抱きついてきた。アリシア母さんの大きな二つのメロンの間に俺の顔が挟まってしまう。すごくいい匂い。

*変な意味ではありません。健全な5歳児の言葉ですのでそこはご了承を。

転生させていただきありがとうございますテオス様。

「か、可愛いっ! この可愛さはなんなの!? もう今日は私の抱き枕ね!」

「はい、ママ!」

 はいっ! 抱き枕きましたっ! ありがとぅーごぜぇます!

 兄上たちを見ると少し顔が紅くなっていた。

「……可愛い」

「そうだな、兄さん。新しい扉が開いたような気がするよ」

 ダメだよ!? そっちの扉を開いたら……。

 父さんの顔を見ると悲しそうだった。

「あ、アリシアっ! 俺を捨てないでくれっ!」

 父さん、勘違いしてなくない? でも今日はアリシア母さんに甘えたいと思います。ごめんね父さん。

 さすがにこの空気は色々とやばかったので俺から切り出すことにした。


「あ、あのママ。ちょっと息が……」

 下に視線を向けてアリシア母さんは気づき、離してくれた。

「ご、ごめんなさい。嬉しくってつい……」

「大丈夫です。それより中に入りましょう」

「そうね、それじゃ中に入りましょうか」

 そうして俺たち家族は屋敷の中へ入っていった。
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