猫ばっかり構ってるからと宮廷を追放された聖女のあたし。戻ってきてと言われてももう遅いのです。守護結界用の魔力はもう別のところで使ってます!

友坂 悠

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神様のキオク。

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「ちょっとあなたのなかに入らせて」

 あたしの頭をクシャって撫でてそんなことを言うレヴィアさん。

 え? どこに? って思った時にはもう目の前から忽然と姿を消していた

 驚いてあたりを見渡すけどどこにも居なくって。

 ——ここここ、ここですよ!

 え? どこ?

 ——ここ、あなたのレイスの中ですよ?

 そう声が頭の中に響く。

 はう! どうして?

 ——この方がきっと言葉で説明するよりも早いかと思って——

 そう声が聞こえたと思うと同時に、心の中に彼女のイメージが落ちてきた。

 ——わたしとあなたのレイスを直接繋げました。これで……。


 ※※※※※


 この世界が創世された時。

 混沌の中にいたあたしは孤独だった。



 ——え? 神様のキオク?
 ——うん。たぶん、そう——


 長い時が経ったような気もするし、一瞬の出来事だった気もする。

 あたしがこの世界を認識した時、まだ世界は混沌しかなかった。

 次に気がついた時、世界は人が暮らす場所へと育っていて。

 寂しかったあたしは喜んだ。

 あたしの周りにあったマナ、理りのキオクは、いつしか大きな流れになり。そして、いつしか溢れ出るようになった。

 あまり溢れ過ぎるとバランスが崩れる。バランスが崩れると、この世界は崩壊、する……。

 出来るだけこの世界を保ちたい、そう思ったあたしは器を求めたのだった。

 人の中に求めた最初の器。

 莫大な魔力と肥大した権力欲に囚われた、それ、は。

 やがて地上の覇王となった。



 それ、は、初代皇帝カエサルを名乗り、世界に君臨するも、そのあまりにも急速な社会変革に着いて行けなかった青騎士の反乱に会う。

 内乱の最中、義理の息子のオクトバスが封印の石によってカエサルを封印。世界には安定が訪れた。

 魔王という諱はこの時につけられたものだ。

 そもそもあたしが求めた器は世界を保つためのものであったはずなのに、寂しかったあたしの心を埋めてくれる、そんな相方だった筈だったのに。

 人には器として理りを受け入れることは不可能なのか? こんな、暴走するような人間ばかりでは、無理なのか?




 そんな中に現れた別の器。

 あたしは喜んだ。今度こそ失敗しない。と、そう——
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