猫ばっかり構ってるからと宮廷を追放された聖女のあたし。戻ってきてと言われてももう遅いのです。守護結界用の魔力はもう別のところで使ってます!

友坂 悠

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考えるんじゃ無くて、感じるの。

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 でも。

 ちょっといつもと違う気がする。

 やっぱり自分のマナじゃないから?

 なんて言ったらいいのかな、思ったよりもチカラが弱い?

 出力が弱い?

 そんな感じ。

 それに。

 肝心な聖魔法がうまく使えない。このままじゃ、やっぱり役に立たないよ……。

 ——バカね。ほんと大バカよレティーナったら。

 うきゅ、そこまで言わなくてもいいじゃない……。

 ——役に立つとか立たないとか、なんでそんなことにばっかりこだわるのよ。だいたいそんな言葉カイヤやティアの前でも言える? 自分は役に立たないから価値がないだなんて! そんなこと言ったらきっと二人とも悲しむよ?

 はう……。

 ——だからそんな役に立つだのなんだのはこれでおしまい! 

 ごめんなさい……。

 ——それにね? たぶんその、『魔法がうまく使えない』って感覚はきっと自分の力だけで全部やろうって思っちゃってるからだから。

 え?

 ——この世界には、っていうかこの世界の空間には、魔法を補助する機械《ギア》が、至る所に存在するの。

 えー? 機械、なの? 人工物ってこと?

 ——人工物って言えばそうなのかな。まあそれもこれもわたしのインナースペースがこの世界に混ざったせいなんだけど。ってこれ、前にも少しだけ言ったかな。ドラゴンオプスニル、魔ギアを説明する時に。


 ——太古の機械。この世界には元々は無かったものなんだけど、わたしの心が切り取られこの世界の大気に溶けた時に、世界の秩序となって混ざった概念。それがギア。

 ——とっても小さいし、普段はこの世界の10次元の空間にまるまってあるから見ることも触ることもできない存在なんだけどね?


 火のアーク。
 水のバアル。
 風のアウラ。
 土のオプス。

 これら四大元素の子らと。

 時のエメラ。
 漆黒のブラド。
 金のキュア。
 光のディン。

 これらの四大天使の子ら。


 物質の化学変化に干渉するアーク。
 物質の温度変化に干渉するバアル。
 空間の位相、位置エネルギーに干渉するアウラ。
 そして、それらの物資そのもの、この空間に物質を創造し生み出すことのできるオプス。

 時空を司るエメラ。
 漆黒の、闇、重力を司るブラド。
 全ての命の源。金のキュア。
 光の、エネルギーそのものを司る、ディン。


 他にも色々とあるんだけど、大まかなところはそんなところ。

 これらのギア達がわたしたちのマナや魔力を受け取って、魔法を実行してくれるの——



 ああ、ああ。

 頭で考えるのではなくて、心でわかる。そんな気がする。

 あたしがずっと存在すると感じてた天使、キュア。

 やっぱりいたんだ……。



 ——きっとね。今までは無意識にギアに語りかけてたから気がつかなかっただけだと思うよ。ギアに対してはね、考えるんじゃなくて感じるの。表層意識は溶かして、その奥、心の底から信じるの。そうすればきっとギアは答えてくれるから……。
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