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霊峰山。
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あたし達は聖都の遥か西方、霊峰山に向かって歩いていた。
昔から龍が住う森という逸話があるその森に、もしかしたら魔王石のカケラがあるかも知れないと言うアリシア。
あたしは只々その可能性に縋って。
クラウディウス様からは聖女宮に戻って来てくれないかと言われたけどお断りした。
クラウディウス様に対しては助けてくれた事には感謝してるけど、きっとあそこにはあたしのことをよく思わない人がきっとまだたくさんいるだろう。人の気持ちなんてそう簡単に変わらないよね。そうも思う。
だから、「今のあたしじゃお役に立てないので……」と、やんわりと断って。
それに。
魔王バルカが解き放たれた今となってはこの聖都だけ結界で護ってももう遅い。
世界が滅亡してしまったら……。聖都だけ護ってもしょうがないしね。
あたしは魔王石があたしのゲートをこじ開ける為に必要だとそこまではクラウディウス様に隠さず話して、その為に各地を訪ねようと思っている事を伝えた。
それにどうせなら、護るだけじゃなくて魔王バルカの脅威自体をなんとかしたい。
あたしにできることがあるのなら、なんとかできるのなら、ね?
あたしの中に眠るマナ、それが普通の人より多いのであれば。あたしのチカラが魔王に少しでも通じるのなら。
カイヤやティアにはまだそこまで言って無いけどそうすることが大聖女様に対しての恩返しだと、そう思うのだ。
たとえ本当に道具として育てられていたのだとしても。
あたしに愛をくれたのは間違い無いのだから。
——ふふ。ずいぶん前向きになったのね。いい子いい子。
もう、アリシアったら茶化さないでよ。
——ごめんねえ。
もうしょうがないなぁ。でも、アリシアだけはあたしの心、本音の思考まで聞こえてしまうからどうしようも無いのだけど。
もう緊急事態でも無い限り勝手に身体のコントロールを持っていかないでとはお願いしてあるけどそれでもその辺は彼女の方が強いのだ。残念ながら。
あたしがじぶんでコントロールを取り返す事は出来なかった。くやしいなぁ。
——そこはほら。年季の差。にしても霊峰山かぁ。ちょっと懐かしいな。
はう、アリシア居たことあるの?
——アリシア記憶じゃなくてレヴィアの記憶、かな?
はうう。
——レヴィアっていうのはもともと最初の魔王が暴走した時にそこから分かれた理性の部分でね。いくつかに分かれた魔王石の中に残されてた理性。そこから産まれたリバイアサンっていう海竜だったの。最初の魔王カエサルがわたしの感情の部分を吸収して復活した時にその理性の一部がわたしの魂に融合したのよ。
アリシアは、アリシアであってレヴィアでもあるって事なんだよね?
——うん。当時の神様の心も混ざってるけどね。
はう。人の心って複雑だ。そんなにくっついたり離れたりしてたら自分って存在がどこか行っちゃいそうでなんだか嫌だな……。
——そうだねー。わたしも長い年月経ちすぎて、自分がよく分からなくなってるよ……。
長生きするのも考えものだよね。
——そうそう。
そんな風に心の中で会話しながら歩く。
ティアはあたしも抱いて飛んでくれるって言ったけど流石にそこまでするとたぶん魔力が持たなくなるからやめて。
乗合馬車に乗って近くの村まで来て、そこからは歩いた。
そこまで険しい山じゃ無いけど大気中のマナが濃くなっているのが分かる。魔溜まりもあちこちにありそうだ。
周囲にいる生き物は全て魔物か魔獣に変化してる。もう普通の生き物は居ないのかな? そんな感じの山道だった。
昔から龍が住う森という逸話があるその森に、もしかしたら魔王石のカケラがあるかも知れないと言うアリシア。
あたしは只々その可能性に縋って。
クラウディウス様からは聖女宮に戻って来てくれないかと言われたけどお断りした。
クラウディウス様に対しては助けてくれた事には感謝してるけど、きっとあそこにはあたしのことをよく思わない人がきっとまだたくさんいるだろう。人の気持ちなんてそう簡単に変わらないよね。そうも思う。
だから、「今のあたしじゃお役に立てないので……」と、やんわりと断って。
それに。
魔王バルカが解き放たれた今となってはこの聖都だけ結界で護ってももう遅い。
世界が滅亡してしまったら……。聖都だけ護ってもしょうがないしね。
あたしは魔王石があたしのゲートをこじ開ける為に必要だとそこまではクラウディウス様に隠さず話して、その為に各地を訪ねようと思っている事を伝えた。
それにどうせなら、護るだけじゃなくて魔王バルカの脅威自体をなんとかしたい。
あたしにできることがあるのなら、なんとかできるのなら、ね?
あたしの中に眠るマナ、それが普通の人より多いのであれば。あたしのチカラが魔王に少しでも通じるのなら。
カイヤやティアにはまだそこまで言って無いけどそうすることが大聖女様に対しての恩返しだと、そう思うのだ。
たとえ本当に道具として育てられていたのだとしても。
あたしに愛をくれたのは間違い無いのだから。
——ふふ。ずいぶん前向きになったのね。いい子いい子。
もう、アリシアったら茶化さないでよ。
——ごめんねえ。
もうしょうがないなぁ。でも、アリシアだけはあたしの心、本音の思考まで聞こえてしまうからどうしようも無いのだけど。
もう緊急事態でも無い限り勝手に身体のコントロールを持っていかないでとはお願いしてあるけどそれでもその辺は彼女の方が強いのだ。残念ながら。
あたしがじぶんでコントロールを取り返す事は出来なかった。くやしいなぁ。
——そこはほら。年季の差。にしても霊峰山かぁ。ちょっと懐かしいな。
はう、アリシア居たことあるの?
——アリシア記憶じゃなくてレヴィアの記憶、かな?
はうう。
——レヴィアっていうのはもともと最初の魔王が暴走した時にそこから分かれた理性の部分でね。いくつかに分かれた魔王石の中に残されてた理性。そこから産まれたリバイアサンっていう海竜だったの。最初の魔王カエサルがわたしの感情の部分を吸収して復活した時にその理性の一部がわたしの魂に融合したのよ。
アリシアは、アリシアであってレヴィアでもあるって事なんだよね?
——うん。当時の神様の心も混ざってるけどね。
はう。人の心って複雑だ。そんなにくっついたり離れたりしてたら自分って存在がどこか行っちゃいそうでなんだか嫌だな……。
——そうだねー。わたしも長い年月経ちすぎて、自分がよく分からなくなってるよ……。
長生きするのも考えものだよね。
——そうそう。
そんな風に心の中で会話しながら歩く。
ティアはあたしも抱いて飛んでくれるって言ったけど流石にそこまでするとたぶん魔力が持たなくなるからやめて。
乗合馬車に乗って近くの村まで来て、そこからは歩いた。
そこまで険しい山じゃ無いけど大気中のマナが濃くなっているのが分かる。魔溜まりもあちこちにありそうだ。
周囲にいる生き物は全て魔物か魔獣に変化してる。もう普通の生き物は居ないのかな? そんな感じの山道だった。
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