猫ばっかり構ってるからと宮廷を追放された聖女のあたし。戻ってきてと言われてももう遅いのです。守護結界用の魔力はもう別のところで使ってます!

友坂 悠

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地下迷宮。

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 王宮の中心には大きな中庭がある。

 かつて魔王を封じた場所、そこにはグランウッドという大樹がそそり立っている。

 中庭の南側が王宮。北側には聖女宮。この国の中枢があるそんな場所。

 あたしは今その中庭に立ち、グランウッドを見上げて居た。

「へえこれがグランウッド。あたいたちでも名前は知ってるけど実際に見るのは初めてだよー。大きいねー」

「樹高27メテルありますからね。幹の太さも5メテルを越しますし」

「で、アルミナさん。ほんとうについてくるの? 貴女」

「ええ、レティーナ。流石に貴女たちだけに託すわけにはいかないと大聖女様はお考えなので」

 まあね。自分たちのお膝元であたしに勝手な事をされたくないのもわかるけど。




 霊峰山が崩壊したあと。



 聖都に戻ったあたしたちにクラウディウス様からの連絡があった。

 至急王宮に来て欲しいっていうそんな手紙を持って現れた使者。っていうかあの方、あたしが聖都に来るとわかるの?

 あたしの魔力紋を判別しているらしいことは分かったけど、それでも聖都だって広いのだ。遠く離れた場所にいるたった一人の魔力紋を感知する魔具とか、聞いたこと無いし。

 だいたいそんな事が出来たら犯罪とかもおこしようがない。犯人が簡単に見つかっちゃうなら警護署も要らないし。


「何故かな……。君の事だけはわかるんだよ……」

 どうしてあたしが聖都に帰ってきたのがわかったんですか。そう聞いてみたときのクラウディウス様の言葉。

 甘い顔でそんな風に言われたら一瞬ドキッとするけどダメダメ彼は聖王様。

 絆されちゃいけないよふにゃぁだよと心を落ち着かせて。


「で、御用事とは何でしょう?」そうお伺いするあたし、じゃなくてアリシア。

 あたしなんだか胸がバクバクいって恥ずかしかったので、さっとアリシアにその場を代わって貰った。こういう時は便利?

「ああ。本題に入ろうか」

 錫杖を握りしめ、椅子に座り直したクラウディウス様。お顔も真剣な表情に変わる。

「グランウッドの地下空洞の調査をした所、そこから更に地下に巨大な地下空間がある事が判った。この王宮の地下深くにダンジョンが現れたのだ」

「ダンジョン? ですか?」

「ああ。迷宮、だ。地下に巨大な迷宮が出現した……」

 え? どういう事? 今までそんなのがあるなんて聞いた事無かったよね?

「少なくとも先日迄はそういったものは存在して居ませんでしたけど……」

「ああ。こちらでもそういう認識だ。あれは突如出現したとしか言いようが無いものだ」

 って、そんな簡単にダンジョンができるわけ……。

 ——バルカですね。

 はう?

 ——恐らく自身のレイスをこの地下の墓標に繋げたのかもしれません。

 え?

 じゃぁ……。

「バルカはまだこの王宮の地下に居たという事ですね……」

「ああ。恐らく……」
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