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宝物。
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「ありがとな。エメラ」
「ううん、いいのよ。わたしにできることなんてこれくらいだから。それよりブラドったら、そんなに闘うのが好きなの?」
「はは。俺はそういう存在だからな。っていうかパイロンの爺さんも、なかなかやるな」
白竜はすでに建物の中にこもってしまった。白い壁の外、砂の上に腰掛けるエメラは黒髪の美丈夫の姿になったブラドに話しかける。
「もう。おじいさまは本来とっても物静かな方なのよ。ブラドが挑発する時ぐらいだわ。あんなに猛々しくなるのは」
「それは光栄だ。俺のことを認めてくれているってことだとうから。俺ら竜種の中でもあの爺さんは最も古くから存在する竜だからなぁ。他の奴らじゃ頭も上がらないんだろうよ」
「もう、そういうのもうやめてよね。なんで仲良くできないのかな」
「はは。仲良くはしてるつもりなんだがな。だからここに足を運んでいるわけだし」
「おじいさまと喧嘩しにくるのが仲良くしてるってことになるの?」
「まあ俺らみたいな存在には仲間意識っていうものがないからな。孤高でいるのが性に合ってるっていうか。特にパイロンの爺さんには相手してくれる竜もいないだろ? たまには俺がこうして遊んでやらなきゃなんだよ」
そういうもの?
そんなふうに首を傾げるエレナ。
確かに、ここを訪ねてわざわざやってくるなんてブラドくらいなものだ。
他の竜種の誰も、少なくともエメラが物心ついてからは見た記憶もあまりない。
かろうじて紅竜レッドクリムゾンが訪ねてきたことがある程度だろうか?
彼女の人化した姿、紅いボリューミーな髪を靡かせた美女。アウラクリムゾンと名乗った彼女はエメラがまだ幼い頃にこの場所を訪れ、そして自身の鱗を一枚エメラにくれたのだ。
ギア・アウラの上位存在であるアウラクリムゾンである彼女は、ギア・エメラの上位存在であるエメラのことをまるで人の世界の妹のように可愛がってくれた。
しばらく滞在したのちに旅立った彼女。
またいつかくるからね。そう言って笑う彼女の笑顔がエメラの記憶に残っている。
「そうだ。おまえにお土産があるんだよ」
そういうとブラドは皮の表紙に包まれた本を収納より取り出して。
「人の世界の物語が書かれている。文字は、わかるな?」
「うん。人の文字、この前もらった本で勉強したよ」
「じゃぁこれを読んでみろ。きっと楽しいぞ」
「あは。ありがとうブラド。大好きだよ」
そういうと立ち上がりブラドに抱きつくエメラ。
表紙が色々な装飾で飾られた分厚い本。
この色のない世界でそれは、キラキラした宝物に見えた。
「ううん、いいのよ。わたしにできることなんてこれくらいだから。それよりブラドったら、そんなに闘うのが好きなの?」
「はは。俺はそういう存在だからな。っていうかパイロンの爺さんも、なかなかやるな」
白竜はすでに建物の中にこもってしまった。白い壁の外、砂の上に腰掛けるエメラは黒髪の美丈夫の姿になったブラドに話しかける。
「もう。おじいさまは本来とっても物静かな方なのよ。ブラドが挑発する時ぐらいだわ。あんなに猛々しくなるのは」
「それは光栄だ。俺のことを認めてくれているってことだとうから。俺ら竜種の中でもあの爺さんは最も古くから存在する竜だからなぁ。他の奴らじゃ頭も上がらないんだろうよ」
「もう、そういうのもうやめてよね。なんで仲良くできないのかな」
「はは。仲良くはしてるつもりなんだがな。だからここに足を運んでいるわけだし」
「おじいさまと喧嘩しにくるのが仲良くしてるってことになるの?」
「まあ俺らみたいな存在には仲間意識っていうものがないからな。孤高でいるのが性に合ってるっていうか。特にパイロンの爺さんには相手してくれる竜もいないだろ? たまには俺がこうして遊んでやらなきゃなんだよ」
そういうもの?
そんなふうに首を傾げるエレナ。
確かに、ここを訪ねてわざわざやってくるなんてブラドくらいなものだ。
他の竜種の誰も、少なくともエメラが物心ついてからは見た記憶もあまりない。
かろうじて紅竜レッドクリムゾンが訪ねてきたことがある程度だろうか?
彼女の人化した姿、紅いボリューミーな髪を靡かせた美女。アウラクリムゾンと名乗った彼女はエメラがまだ幼い頃にこの場所を訪れ、そして自身の鱗を一枚エメラにくれたのだ。
ギア・アウラの上位存在であるアウラクリムゾンである彼女は、ギア・エメラの上位存在であるエメラのことをまるで人の世界の妹のように可愛がってくれた。
しばらく滞在したのちに旅立った彼女。
またいつかくるからね。そう言って笑う彼女の笑顔がエメラの記憶に残っている。
「そうだ。おまえにお土産があるんだよ」
そういうとブラドは皮の表紙に包まれた本を収納より取り出して。
「人の世界の物語が書かれている。文字は、わかるな?」
「うん。人の文字、この前もらった本で勉強したよ」
「じゃぁこれを読んでみろ。きっと楽しいぞ」
「あは。ありがとうブラド。大好きだよ」
そういうと立ち上がりブラドに抱きつくエメラ。
表紙が色々な装飾で飾られた分厚い本。
この色のない世界でそれは、キラキラした宝物に見えた。
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