2 / 61
異世界転生?
しおりを挟む
長い夢を見ていたような気がした。
真っ白な空間を、いっぱいの泡の中を漂って。
そんなイメージ。
世界のことわりの全てを理解したような気がしたところで。
それが霧散し。
霧の中を抜け、光の壁のようなものを通り抜けた。
☆☆☆
ハッと気がついたとき。
あたしはポカポカと温かい日差しの中、ふわふわな緑の草原の中で横たわっていた。
え?
っと思って起き上がり、周囲を見渡すけれどその光景には見覚えが無い。
っていうか、ここはどこ? あたしは誰?
もしかしてあたしって、記憶喪失!?
頭に浮かんだ最初の言葉はそれだった。
もやに包まれたようになっていた意識がだんだんとはっきりするにつれ。
目の前の景色の不可解さにもう訳がわからなくなって。
自分がどうしてこんなところで寝ていたのか。それが不思議で。
怪我、はしていない。
どこも痛いところは、なさそうだ。
おかしいところ、といえば。
違和感。そう、自分の体のはずなのに自分の身体じゃないような、そんな違和感が先に立つ。
というよりも。
記憶喪失?
なにそれ?
常識的なことは覚えている。
あたしが人間で、日本人で、そして。
記憶喪失なんていうシチュエーションがまさか自分に訪れるなんて。
ああ、ミステリの中だけの出来事じゃなかったんだな。
記憶喪失って、こんな感じなのかな。ってそんな感想が浮かんでくる。
わからないのは自分の名前とか今までどうしていたかとかそんな記憶だけで、この空の青さとか草原の気持ちよさよかそういうのはちゃんとわかる。
なのに。
まあしょうがないか。
時間が経てば何か思い出すかもしれないし。
そう思って立ち上がってみると。
「始まりの庭」
そんなセリフが頭をよぎる。
はい?
樹々に囲まれた小さな草原。
あたしが倒れていたすぐそばには小さな泉があって。
嘘! ここってまさか?
「マギアクエスト」
のスタート地点。自分のアバターをクリエイトした時のあの始まりの庭に酷似したシチュエーションの、そんな小さな草原。そんな場所、だ。
っていうかもちろんゲームの世界はいくら立体的とはいえあれはあくまでCGだ。
こんなに実際の世界のような自然ではない、けれど。
驚愕に目を見開いたあたし。
連鎖的に自分のことを段階的にではあったけれど思い出していた。
自分が日本人野々華真希那であったこと。
そして、どうやら車にはねられてしまい、そこで意識が途切れたことも。
#####################
呆然としたままフラフラと歩いていると、どうやら最初の草原から出てしまったようで。
振り返ってみてもどうやってそこに戻ったらいいのかわからなくなっていた。
あたしは死んでしまったのだろうか?
ということはここは死後の世界?
ぼんやりと光の壁のようなものを潜った記憶が蘇る。
それとも、死んじゃった拍子に世界を転移してしまった?
空に高く輝くお日様は、地球の都会で見ていた時よりも大きく見える。
それに。
途切れた樹々からその外の世界を見たあたし。
小高い丘のようなそんな場所から見た平地はどこまでも広く。
都会のビルはそこには全く見当たらなかった。
電線ももちろん、近代的な建物や建造物はカケラも見当たらないそんな光景に。
まるで、異世界の、RPGのような世界にあたしは来てしまったのだろうか?
そう思いあたって。
まあでもそんなの、おはなしの世界の中だけでしょー?
理性はそう訴えている。
だけど。
もし本当に異世界転移でもしちゃったのだとしたら。
ふふ。
大好きだったおはなし世界。
大好きだったゲームの世界。
まあね。生きていくのはどんな場合でもそう簡単じゃないだろうっていうのは思う、けど。
なっちゃったものはしょうがないよね?
だとしたら少しでも楽しまなきゃ、損だ。
そう思って、あたしは眼下に見える街に向かって駆け出した。
はは。身体が軽い。
元の世界のあたしは運動が苦手で眼鏡がないとなにも見えないそんなふうだったけど。
そういえばあたし眼鏡かけてない、よね?
だけれど世界がこんなに綺麗に見えるんだもの。
まるであたしのゲームのアバターマキナになったみたいに。
どれだけ走っても息切れのしないそんな身体能力に、飛び跳ねても大丈夫な運動神経に。
あたしは少し浮かれて。
生まれ変わったようなそんな気分を味わっていた。
真っ白な空間を、いっぱいの泡の中を漂って。
そんなイメージ。
世界のことわりの全てを理解したような気がしたところで。
それが霧散し。
霧の中を抜け、光の壁のようなものを通り抜けた。
☆☆☆
ハッと気がついたとき。
あたしはポカポカと温かい日差しの中、ふわふわな緑の草原の中で横たわっていた。
え?
っと思って起き上がり、周囲を見渡すけれどその光景には見覚えが無い。
っていうか、ここはどこ? あたしは誰?
もしかしてあたしって、記憶喪失!?
頭に浮かんだ最初の言葉はそれだった。
もやに包まれたようになっていた意識がだんだんとはっきりするにつれ。
目の前の景色の不可解さにもう訳がわからなくなって。
自分がどうしてこんなところで寝ていたのか。それが不思議で。
怪我、はしていない。
どこも痛いところは、なさそうだ。
おかしいところ、といえば。
違和感。そう、自分の体のはずなのに自分の身体じゃないような、そんな違和感が先に立つ。
というよりも。
記憶喪失?
なにそれ?
常識的なことは覚えている。
あたしが人間で、日本人で、そして。
記憶喪失なんていうシチュエーションがまさか自分に訪れるなんて。
ああ、ミステリの中だけの出来事じゃなかったんだな。
記憶喪失って、こんな感じなのかな。ってそんな感想が浮かんでくる。
わからないのは自分の名前とか今までどうしていたかとかそんな記憶だけで、この空の青さとか草原の気持ちよさよかそういうのはちゃんとわかる。
なのに。
まあしょうがないか。
時間が経てば何か思い出すかもしれないし。
そう思って立ち上がってみると。
「始まりの庭」
そんなセリフが頭をよぎる。
はい?
樹々に囲まれた小さな草原。
あたしが倒れていたすぐそばには小さな泉があって。
嘘! ここってまさか?
「マギアクエスト」
のスタート地点。自分のアバターをクリエイトした時のあの始まりの庭に酷似したシチュエーションの、そんな小さな草原。そんな場所、だ。
っていうかもちろんゲームの世界はいくら立体的とはいえあれはあくまでCGだ。
こんなに実際の世界のような自然ではない、けれど。
驚愕に目を見開いたあたし。
連鎖的に自分のことを段階的にではあったけれど思い出していた。
自分が日本人野々華真希那であったこと。
そして、どうやら車にはねられてしまい、そこで意識が途切れたことも。
#####################
呆然としたままフラフラと歩いていると、どうやら最初の草原から出てしまったようで。
振り返ってみてもどうやってそこに戻ったらいいのかわからなくなっていた。
あたしは死んでしまったのだろうか?
ということはここは死後の世界?
ぼんやりと光の壁のようなものを潜った記憶が蘇る。
それとも、死んじゃった拍子に世界を転移してしまった?
空に高く輝くお日様は、地球の都会で見ていた時よりも大きく見える。
それに。
途切れた樹々からその外の世界を見たあたし。
小高い丘のようなそんな場所から見た平地はどこまでも広く。
都会のビルはそこには全く見当たらなかった。
電線ももちろん、近代的な建物や建造物はカケラも見当たらないそんな光景に。
まるで、異世界の、RPGのような世界にあたしは来てしまったのだろうか?
そう思いあたって。
まあでもそんなの、おはなしの世界の中だけでしょー?
理性はそう訴えている。
だけど。
もし本当に異世界転移でもしちゃったのだとしたら。
ふふ。
大好きだったおはなし世界。
大好きだったゲームの世界。
まあね。生きていくのはどんな場合でもそう簡単じゃないだろうっていうのは思う、けど。
なっちゃったものはしょうがないよね?
だとしたら少しでも楽しまなきゃ、損だ。
そう思って、あたしは眼下に見える街に向かって駆け出した。
はは。身体が軽い。
元の世界のあたしは運動が苦手で眼鏡がないとなにも見えないそんなふうだったけど。
そういえばあたし眼鏡かけてない、よね?
だけれど世界がこんなに綺麗に見えるんだもの。
まるであたしのゲームのアバターマキナになったみたいに。
どれだけ走っても息切れのしないそんな身体能力に、飛び跳ねても大丈夫な運動神経に。
あたしは少し浮かれて。
生まれ変わったようなそんな気分を味わっていた。
0
あなたにおすすめの小説
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる