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6.誕生日の朝
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「とうとう15歳になってしまったわ…」
セシリアは遂に15歳の誕生日を迎えた。
セシリアの断罪のきっかけとなる事件が起きたのは成人して初めての社交界。15歳になるとこの国では成人とみなされる。そして、社交界に出るようになるのだ。
この社交界は貴族にとって大切な仕事の一つであった。貴族同士の交流を通して自分の仕事の幅を広げていくのだ。そうすることで己の家名の地位を皆高めている。
そんな社交界で前回(逆行前)、セシリアは何者かに嵌められ、濡れ衣を着せられたのだ。嫉妬によりマリアを暗殺しようとしたのだという噂を社交界で流された。その結果、あの悪夢が起きたのである。
勿論、セシリアは自分は何もやっていないことをアランに告げた。しかし、アランはあの社交界でマリアに一目惚れし、マリアに執心していたため、セシリアの話を一切聞いてはくれなかった。
(なんとしてでも、自害だけは避けたいわ…)
結局、ゲーリッヒ男爵はマリアを養子にしたようだ。スレンダル伯爵がいなくてもマリアは養子になる運命だったらしい。
つまり、このままいけばあの社交界での事件が起こる可能性は高い。
「せめて、自分を陥れた人物が誰なのか分かれば動きやすいのだけれど…」
かつての記憶をたどり色々な可能性を考えてはみたが、結局犯人に思い当たる節がなかった。事件を事前に回避することは難しそうだとセシリアはため息をつくのだった。
※※※
「おはようございます。お嬢様。」
「おはよう、クラウス」
朝日が完全に顔を出した頃、いつものようにきっちりと燕尾服を身にまとったクラウスが部屋に入ってくる。
「本日はお嬢様のお誕生日でございますね。成人おめでとうございます」
「ありがとう。…実感はわかないけれど、もう大人になってしまったのね。早いわ…」
本当に早いものだ。大人になるとできることも増えるので嬉しい部分もあるが、それよりも今後の未来のことを考えると不安が大きい。成人を迎えたということは死へのリミットも近づいているということなのだから。
「それは私のセリフでございますよ。お嬢様。私の記憶ではつい最近まで小さくおられましたのに、いつのまにかこうして大人になられた。月日が経つのは早いものです」
そう言うクラウスの表情は心なしか柔らかい。逆行前と比べてクラウスは大分表情が豊かになったなとセシリアは思った。そもそも前はクラウスにここまで心を開いてなかったこともあり、そこまで会話する機会もなかった。だから、こうしてクラウスと打ち解けることもなかったのだ。
「お嬢様、ささやかではありますが、これを」
ふとクラウスは懐から小さな箱を取り出しセシリアに差し出しす。綺麗に包装された箱を受取ったセシリアは首をかしげた。
「…何かしら?」
「私からのお祝いでございます」
(お祝い!クラウスからの!)
いつもは誕生日に少しいいお菓子をお茶とともにだすことで祝ってくれていたクラウス。こうして物をプレゼントされるのは初めてだ。
「ありがとう、クラウス。開けていい?」
「はい。勿論です」
一体何をくれるのだろうとわくわくしながら箱を開けるセシリア。箱を開くとそこにはアメジストがあしらわれたイヤリングが入っていた。
「これ…」
「…お嬢さまによく似合いそうだなと思いまして」
「ありがとう。うれしいわ。…どう?」
セシリアの耳につけられたアメジストの雫が揺れる。嬉しそうにするセシリアを見て、クラウスは目を細めた。
「とてもお似合いです」
「よかった!今日はこれをつけて過ごすわね」
「お気に召していただけたようでなによりでございます」
クラウスのおかげでちょっと憂鬱な気分が晴れたセシリアだった。
セシリアは遂に15歳の誕生日を迎えた。
セシリアの断罪のきっかけとなる事件が起きたのは成人して初めての社交界。15歳になるとこの国では成人とみなされる。そして、社交界に出るようになるのだ。
この社交界は貴族にとって大切な仕事の一つであった。貴族同士の交流を通して自分の仕事の幅を広げていくのだ。そうすることで己の家名の地位を皆高めている。
そんな社交界で前回(逆行前)、セシリアは何者かに嵌められ、濡れ衣を着せられたのだ。嫉妬によりマリアを暗殺しようとしたのだという噂を社交界で流された。その結果、あの悪夢が起きたのである。
勿論、セシリアは自分は何もやっていないことをアランに告げた。しかし、アランはあの社交界でマリアに一目惚れし、マリアに執心していたため、セシリアの話を一切聞いてはくれなかった。
(なんとしてでも、自害だけは避けたいわ…)
結局、ゲーリッヒ男爵はマリアを養子にしたようだ。スレンダル伯爵がいなくてもマリアは養子になる運命だったらしい。
つまり、このままいけばあの社交界での事件が起こる可能性は高い。
「せめて、自分を陥れた人物が誰なのか分かれば動きやすいのだけれど…」
かつての記憶をたどり色々な可能性を考えてはみたが、結局犯人に思い当たる節がなかった。事件を事前に回避することは難しそうだとセシリアはため息をつくのだった。
※※※
「おはようございます。お嬢様。」
「おはよう、クラウス」
朝日が完全に顔を出した頃、いつものようにきっちりと燕尾服を身にまとったクラウスが部屋に入ってくる。
「本日はお嬢様のお誕生日でございますね。成人おめでとうございます」
「ありがとう。…実感はわかないけれど、もう大人になってしまったのね。早いわ…」
本当に早いものだ。大人になるとできることも増えるので嬉しい部分もあるが、それよりも今後の未来のことを考えると不安が大きい。成人を迎えたということは死へのリミットも近づいているということなのだから。
「それは私のセリフでございますよ。お嬢様。私の記憶ではつい最近まで小さくおられましたのに、いつのまにかこうして大人になられた。月日が経つのは早いものです」
そう言うクラウスの表情は心なしか柔らかい。逆行前と比べてクラウスは大分表情が豊かになったなとセシリアは思った。そもそも前はクラウスにここまで心を開いてなかったこともあり、そこまで会話する機会もなかった。だから、こうしてクラウスと打ち解けることもなかったのだ。
「お嬢様、ささやかではありますが、これを」
ふとクラウスは懐から小さな箱を取り出しセシリアに差し出しす。綺麗に包装された箱を受取ったセシリアは首をかしげた。
「…何かしら?」
「私からのお祝いでございます」
(お祝い!クラウスからの!)
いつもは誕生日に少しいいお菓子をお茶とともにだすことで祝ってくれていたクラウス。こうして物をプレゼントされるのは初めてだ。
「ありがとう、クラウス。開けていい?」
「はい。勿論です」
一体何をくれるのだろうとわくわくしながら箱を開けるセシリア。箱を開くとそこにはアメジストがあしらわれたイヤリングが入っていた。
「これ…」
「…お嬢さまによく似合いそうだなと思いまして」
「ありがとう。うれしいわ。…どう?」
セシリアの耳につけられたアメジストの雫が揺れる。嬉しそうにするセシリアを見て、クラウスは目を細めた。
「とてもお似合いです」
「よかった!今日はこれをつけて過ごすわね」
「お気に召していただけたようでなによりでございます」
クラウスのおかげでちょっと憂鬱な気分が晴れたセシリアだった。
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