クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath

文字の大きさ
203 / 250
六章 家族団欒

39話 仕上げと帰還

しおりを挟む
何年経っただろうか……すでに日を数えるのも億劫になるほどの年月が経った頃だろう。
いや、実際には1ヶ月も経っていないのかもしれないが。

俺は神たちによるしごきを乗り越え、今まさに、仕上げへと取り掛かっていた。

「カハッ……くそ…もう俺を超えやがったか」
「はぁはぁ、疲れたー」
「強くなったね……君」

最初こそ、ものの数秒でボコボコにされていた俺だが、今では10人単位で相手とっても圧勝できるほどにまで成長した。

「さて、ではアスト君よ。これより、最後の仕上げに入る」

ガイア様がそういうと、今まで俺を鍛えてくれた神様たちが俺を囲うように並んでいた。

「これより一斉にアスト君に攻撃を仕掛ける。それを躱すのじゃ。もちろん反撃しても良い。では……はじめ」

ガイア様の合図で、そこにいた全員の神様たちが俺へと攻撃を仕掛けてきた。

左からは、荒れ狂っている暴風とそれに伴いビリビリと音がなっている雷の混成魔法が。

右からは、全てを焼き尽くさんとの勢いで迫っている豪炎が。

前からは、全てを飲み込むような、深淵よりも暗い漆黒が。

後ろからは、俺を食らいつかんとする大波が。

下からは、俺へと巻きつき絞め殺そうと意思があるような動きをする蔓が。

上からは、重力も加わって重みを増し、太陽よりも高温になり近づくもの全てを滅っそうとする光の塊が。

それらは全て、寸分たがわず俺へと狙われており、神ですらも、この猛攻を交わすことは至難の技であった。
しかし、あらゆる死線を潜り抜けてきたアストにとっては、どれも足りていなかった。

『ドカーーーン!!』

激しい爆音と衝撃波が神々を襲い、周りが煙に覆われたが、次の瞬間、神の悲鳴が響いていた。

煙が晴れたところには、神二人の頭を握っている、無傷のアストが佇んでいた。

アストは手に持っている神が気絶したことを確認すると、手を離し周りの神を見据えた。

「あと……184人」

実は神様たちは、最初に呼ばれた神以外にも日をまたぐごとに続々と増えてきて、今では200人にも届くほどにまで増えていた。

神たちは、アストのその言葉を聞き戦慄した。
すでに仲間が二人やられたことも含めて、彼が異常だと改めて認知した彼らは、自分たちが持つ全力を再び彼へと放った。
中には武器を持ち、アストへと肉薄するが、どの神も一瞬で気絶させられ、退場となっていた。

その戦いが終わったのは、それから1時間後だった。

そこに経っていたのは、ひとりの少年。

アストだけであった。

「ふぅー。『回復リフレクション』」

俺は、自分が編み出したオリジナル回復魔法を使い、周りにいた神たち全員を健康状態まで一瞬で回復させた。

「ガッハッハッハ!やっぱり俺たちが見込んだだけはあるな!なぁラス!」
「ああ、そうだな」
「やっぱり君は強いねぇ~。みんなもそう思うよね」
「うん」
「そうだな」

回復した神様たちは、口々に俺へと賞賛を送ってくれた。

「フォッフォッフォッ。これでよかったか?アスト君」
「はい。ありがとうございます、ガイア様。それと、わざわざ僕を鍛えるためにここに来てくださった神様がた。本当にありがとうございます」

俺は、丁寧に頭を下げてそこにいる神様たちに感謝した。

「いいってことよ!俺たちも邪神は邪魔だと思ってたしな!」
「ええ。私たちのためにもなるし、全然問題ないわよ」

神様たちは、全員気にしなくてもいいと言ってくれたが、それだと俺の気がすまない。

「またいつか。お礼をしたいと思います」
「ガッハッハ!律儀なやつだな!じゃあ今度うまい飯を食わさせてくれや!」
「そうね。私も美味しいご飯が食べたいわね」
「僕も~」
「私もかな~」

と、全員が美味しいご飯をご所望だったから、今度美味しいご飯を作ってあげると約束をした。

「それで、アスト君。もう行くのか?」
「はい。もうぐずぐずしてるわけにはいかないので」
「そうか。じゃあ、これだけは言わせてほしい」

ガイア様は、いつの日かのように真剣な眼差しで俺を見据えた。

「お主はひとりじゃない。守りたければ、まずは信頼してみることじゃ。何も一人で抱え込まんでも良い。困ったときは皆で助け合うのが、仲間なんじゃしの」
「……わかりました。ありがとうございます」
「あ、それとじゃのう。お主のスキル。使い方をよーく考えてみるといいぞ?。そうすれば、お主にとっては最悪な事態にはならんじゃろ」
「?わかりました」

俺は何が言いたいのかわからなかったが、考えるのは戻ってからとあと回しにして、ガイア様に転移させてもらうようにお願いをした。

「頑張れよ、坊主」

ガイア様が転移魔法を用意してくれていると、後ろから今まで僕に特訓をつけてくれた神様たちが見送りをしにきた。

「はい。本当にありがとうございました」
「いいんだよ。あ、これは俺たちからの餞別だ。……絶対に生きて邪神を倒してこいよ」
「はい!」

俺が返事をしたのと同時に転移魔法が構築され、俺の足元が光り輝いた。

「またいつか……どこかで会いましょう!」
「ああ!そんときもよろしくな!」
「「「頑張ってね!!!」」」

神様たちの声援を受けて俺は神界から転移をした。
しおりを挟む
感想 505

あなたにおすすめの小説

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

処理中です...