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ハーレム編
エピローグ 一途 前編
「あ、そーだ、セイラさん。中庭に外注してた例のあれ、結局どうなったんだっけ?」
ハイボールを飲みながらソファで一息ついていたユーリは、隣に座るセイラへと、唐突に呼びかけた。
ヤリ散らかすつもりだった、つもりじゃなかったの水掛け論がひと段落つき──というか、無理やり終わらせ──、カリナとハンナをキッチンに送り出した一同は、ユーリの部屋でめいめいに時間を潰していた。
ブレイダやファイフが勝手に酒盛りを始め、マホとエンリエッタはカードゲームに興じる中、タブレットを叩いていたセイラは胡乱げに顔を上げる。
「中庭? いえ、特に外注していたものは……」
そこでユーリの意味深な視線に気づいたセイラは、咳払いしながらタブレットを閉じ、
「例の件ですね。承知しました」
「うん。じゃあちょっと、現物見ながら話そうか。
ごめんね、みんな、ちょっとセイラさんと中庭行ってくる」
あーい、という適当な返事に送り出されて、ふたりはそのまま屋外のプールに移動する。ソファに腰かけるセイラに、ユーリは屋外のサーバーで作ったジュースを渡し、自身もハ
イボールに口をつけた。
「まだ飲むの? さっきから結構飲んでない?」
「んー、だからまあ、これ一杯くらい変わんないかなって」
「あんまり飲みすぎないようにしなね」
「分かったよ。心配してくれてありがとう」
セイラの頭をわしゃわしゃと撫でてから、ユーリは切り出した。
「セイラちゃん、あのね……おぉ」
が、すぐさま人差し指で口をふさがれ、代わりに少し怒ったような声で釘を刺される。
「こんなことになってごめんね、とかは無しだよ。さっきの話で全部なんだから」
その言葉に苦笑をしてから、ユーリはセイラの手を取り、自身の頬に押し当てる。
「ごめんね、っていうより、ありがとう、かな。
正直僕、怖かったんだ。僕の性欲に付き合って、セイラちゃんが相当頑張ってくれてるの知ってたからさ。
いつか君を壊しちゃうんじゃないかって、すごく怖かった……」
「ユーくん……」
「でもその心配がなくなったから、すごく安心してるんだ。
……ま、まあ、他の女の子といっぱいエッチしちゃうって事だから、いいんだか悪いんだかなんだけど」
ってか、他の女の子といっぱいエッチをしたのに、さっき全員殺す所だったし……などと思いながら目を泳がせていると、セイラも奥歯に何か引っかかったような口調で言葉を返す。
「だから、そこはもういいの。私も納得してるんだから……」
「本当?」
「ん……まあ、百パーではないけど……」
我ながら情けない、と、そう思いながらセイラは目を伏せる。
すべて納得したうえでの選択だった。こうすることで自分がどうなるかを考え、ユーリがどう考えるかを考え、何度も何度も自問自答を重ねて導き出した答えだった。
が、やはり実際に行為に及んでみると、やはり及び腰になってしまう場面も間々あったのだ。
もっとも、そこまで深刻な問題ではないという自覚もあった。初めてのことだったので──当たり前だが──戸惑っている部分があるだけだろう。回数を重ねていけば慣れていくものだと思う。
ただ、『百パーセント』納得しているかどうかと言われたら、そうではない。
提示されたQに対して、極めて正確なAを示したのだった。
そこで気を遣うのは、お互いのためにはならないから。
「うん。だからさ、その……あんまりこういうことは、言わないほうがいいんだろうけど……」
ユーリもまた、セイラのそんな思いを汲んでいた。
ゆえに、自身のポリシーを曲げてでも、この思いを伝える必要があるように感じたのだ。
ユーリは彼女の目をしっかりと見ながら、極めて真摯な思いを言葉に乗せる。
「これから僕、色んな女の子とエッチしちゃうと思うんだけど、一番大好きで、一番大事に思ってるのは……ん!」
その言葉を言い切る前に、セイラはキスをしてユーリの口を塞いだ。
「それは言っちゃダメだよ。みんなユーくんのことが大好きなんだから、順番とかそういうのは、言葉にして言っちゃダメ」
「でも、僕は……!」
「……言葉にしなくても、分かってるから平気──ありがとうね」
「セイラちゃん……」
セイラはクスリと笑い、それにつられてユーリも笑った。
それから惹かれ合うように額を合わせ、唇を合わせ、頬を寄せあい、手を繋ぎながら身を寄せあった。
互いの存在を確認し合うように、ふたりはそうしていた。
ふたりは交際関係ではない。
幼馴染であり、勇者と聖女の関係であり、ビジネスパートナーであり、肉体関係まであるのに、交際はしていないのだ。
──ハーレムという、異質な関係性で繋がっているだけなのだった。
極めて歪な関係性である。
しかし。
「……決闘のとき、みんなに半殺しにされる前、言おうと思ってたこと……言うね」
「……うん」
ハイボールを飲みながらソファで一息ついていたユーリは、隣に座るセイラへと、唐突に呼びかけた。
ヤリ散らかすつもりだった、つもりじゃなかったの水掛け論がひと段落つき──というか、無理やり終わらせ──、カリナとハンナをキッチンに送り出した一同は、ユーリの部屋でめいめいに時間を潰していた。
ブレイダやファイフが勝手に酒盛りを始め、マホとエンリエッタはカードゲームに興じる中、タブレットを叩いていたセイラは胡乱げに顔を上げる。
「中庭? いえ、特に外注していたものは……」
そこでユーリの意味深な視線に気づいたセイラは、咳払いしながらタブレットを閉じ、
「例の件ですね。承知しました」
「うん。じゃあちょっと、現物見ながら話そうか。
ごめんね、みんな、ちょっとセイラさんと中庭行ってくる」
あーい、という適当な返事に送り出されて、ふたりはそのまま屋外のプールに移動する。ソファに腰かけるセイラに、ユーリは屋外のサーバーで作ったジュースを渡し、自身もハ
イボールに口をつけた。
「まだ飲むの? さっきから結構飲んでない?」
「んー、だからまあ、これ一杯くらい変わんないかなって」
「あんまり飲みすぎないようにしなね」
「分かったよ。心配してくれてありがとう」
セイラの頭をわしゃわしゃと撫でてから、ユーリは切り出した。
「セイラちゃん、あのね……おぉ」
が、すぐさま人差し指で口をふさがれ、代わりに少し怒ったような声で釘を刺される。
「こんなことになってごめんね、とかは無しだよ。さっきの話で全部なんだから」
その言葉に苦笑をしてから、ユーリはセイラの手を取り、自身の頬に押し当てる。
「ごめんね、っていうより、ありがとう、かな。
正直僕、怖かったんだ。僕の性欲に付き合って、セイラちゃんが相当頑張ってくれてるの知ってたからさ。
いつか君を壊しちゃうんじゃないかって、すごく怖かった……」
「ユーくん……」
「でもその心配がなくなったから、すごく安心してるんだ。
……ま、まあ、他の女の子といっぱいエッチしちゃうって事だから、いいんだか悪いんだかなんだけど」
ってか、他の女の子といっぱいエッチをしたのに、さっき全員殺す所だったし……などと思いながら目を泳がせていると、セイラも奥歯に何か引っかかったような口調で言葉を返す。
「だから、そこはもういいの。私も納得してるんだから……」
「本当?」
「ん……まあ、百パーではないけど……」
我ながら情けない、と、そう思いながらセイラは目を伏せる。
すべて納得したうえでの選択だった。こうすることで自分がどうなるかを考え、ユーリがどう考えるかを考え、何度も何度も自問自答を重ねて導き出した答えだった。
が、やはり実際に行為に及んでみると、やはり及び腰になってしまう場面も間々あったのだ。
もっとも、そこまで深刻な問題ではないという自覚もあった。初めてのことだったので──当たり前だが──戸惑っている部分があるだけだろう。回数を重ねていけば慣れていくものだと思う。
ただ、『百パーセント』納得しているかどうかと言われたら、そうではない。
提示されたQに対して、極めて正確なAを示したのだった。
そこで気を遣うのは、お互いのためにはならないから。
「うん。だからさ、その……あんまりこういうことは、言わないほうがいいんだろうけど……」
ユーリもまた、セイラのそんな思いを汲んでいた。
ゆえに、自身のポリシーを曲げてでも、この思いを伝える必要があるように感じたのだ。
ユーリは彼女の目をしっかりと見ながら、極めて真摯な思いを言葉に乗せる。
「これから僕、色んな女の子とエッチしちゃうと思うんだけど、一番大好きで、一番大事に思ってるのは……ん!」
その言葉を言い切る前に、セイラはキスをしてユーリの口を塞いだ。
「それは言っちゃダメだよ。みんなユーくんのことが大好きなんだから、順番とかそういうのは、言葉にして言っちゃダメ」
「でも、僕は……!」
「……言葉にしなくても、分かってるから平気──ありがとうね」
「セイラちゃん……」
セイラはクスリと笑い、それにつられてユーリも笑った。
それから惹かれ合うように額を合わせ、唇を合わせ、頬を寄せあい、手を繋ぎながら身を寄せあった。
互いの存在を確認し合うように、ふたりはそうしていた。
ふたりは交際関係ではない。
幼馴染であり、勇者と聖女の関係であり、ビジネスパートナーであり、肉体関係まであるのに、交際はしていないのだ。
──ハーレムという、異質な関係性で繋がっているだけなのだった。
極めて歪な関係性である。
しかし。
「……決闘のとき、みんなに半殺しにされる前、言おうと思ってたこと……言うね」
「……うん」
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