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9話・かくれんぼ
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夜美の家は夕飯を食べた後、録画された心霊番組を見て本物と偽物の分別をしていた。
「これは偽物だな」
別の映像の時に母が言った。
「お父さん。これは本物ですよ」
夜美の母の指さした物も明らかに作り物に見えた。
「お母さん・・・それは・・作り物」
「いいえ、本物よ。ここを見て」
指さした場所には何も映っていなかった。夜美が首をかしげるとテレビに指を付けて円を描いた。液晶テレビのため一瞬分かりやすく跡が残る。また巻き戻しよく見ると夜美にも白い霧が見え始めた。
「何が見える?」
夜美の父が聞いた。
「白い・・・霧」
「はは、未だ分からないか。まあ、慣れれば普通に見えるよ」
その後も心霊映像を見ていた。
次の日、学校で夜美が紗奈に心霊番組の話をした。
「へー。面白そうな事してたんだね。私もやりたい」
紗奈は少し考えるとニコリ笑った。
「そうだ。百合子先生の家に行こうよ」
夜美もクスリと笑った。紗奈が何をしようとしているのか夜美にはすぐに分かったのだ。
「それじゃあ、さっそく先生の所に行こう」
夜美はうなずいて職員室に2人で行った。
「先生、今日先生の家に行っていい?」
「だめに決まってるでしょ」
すぐに断られてしまった。
「いったい何をするつもりなの?」
百合子は話だけは聞こうと思い、聞いてみた。それに対し、紗奈は久美とかくれんぼをすると言った。
「じゃあ、久美に言っておくから他の場所で遊びなさい」
「はーい」
職員室を出ると紗奈達はニコラエに呼び止められた。ニコラエはニヤニヤしていて、紗奈達は身構えた。
「面白いことをするんデスカ?」
ニコラエには詳細を話した。ニコラエはニマっと笑う。
「私も行っていいデスカ?」
三代目バケサガを試したいそうだ。紗奈達は霊感のない人が欲しかったため、ちょうど良かったと了承した。
「恵美奈ちゃんも・・・さ、誘おう」
「いいね」
放課後5人は夜美の家に向かった。家につくと夜美の両親が出迎えた。
「あなたが久美ちゃんね」
「そうです」
「良い子にするのよ」
夜美の母は優しく微笑む。久美はうなずいた。家の中に案内された。
お菓子とジュースで一服し、かくれんぼを始まった。普通のかくれんぼとは違い隠れた人を探しには行かない。隠れる人は久美だけで、どこかの部屋へ行く。その後、幽霊の見えない恵美奈がそれぞれの部屋の写真を撮る。紗奈と夜美はその写真を見て映っていない久美を探し、ニコラエは科学の力で写真を分析し、恵美奈は久美の心を読み取る。
「面白そうね、私もいれてくれる?」
夜美の母が来た。紗奈達は乗り気だが、夜美は微妙な表情をしている。母が勝つのが当たり前だからゲームが盛り上がらないと思ったからだ。母はそれを察した。
「じゃあ、私達はあなたの監督をするわ」
夜美もそれならと夜美の母の参加を認めた。
恵美奈が一回目の写真を撮ってきた。背後には久美もいた。写真を人数分印刷して配った。夜美と久美は真剣に眺めている。
「かわいく映ってる?」
幽霊を見る事ができて、からかいがいのある夜美の邪魔をしている。
「ねえ。私綺麗?」
「見えるの?」
「ねえ?」
覗き込んできた久美に悪霊を封印するお札をはった。
「痛い、痛い、ごめんなさい、あー」
「はいはい、こっちで遊びましょうねー」
夜美の母が札をはがし久美を別室に誘導する。久美は抵抗せずについて行った。
「覗かないでくださいね」
そう言い残して扉は閉められた。
「私には見えマスよー」
「先生うるさい」
紗奈が低い声で言った。紗奈も夜美同様に久美のうるささにイライラしていた。
「スイマセン」
数分後、全員が答えを出した。そのことを伝えに久美達のいる部屋へ行った。夜美の母は写真を見て何かを描いていた。
「これは怪異なのか?本物の幽霊が映り込んだ絵」
久美は絵を覗き見ながら考えている。
「ピカソより分かりやすくて心霊番組より信用できるわ。それでみんなはどの写真を選んだの?」
夜美とニコラエは夜美の両親の寝室の写真を選び、紗奈と恵美奈は別々のものを選んだ。
「結果発表!正解はこの写真です」
夜美の母が言い、持ち上げた写真は夜美達が選んだ写真だった。ニコラエは声をあげて喜んだ。
「成功デス」
2戦目が始まり、恵美奈が写真を持って来た。
「紗奈ちゃん、コツを教えるわ。こっちに来て」
別室に誘導されていった。そこには久美もいた。
「まず紙を八つ折にして一つずつじっくり見るの」
何枚目かの写真で少し白い物が見えはじめる。
「これ!」
「正解、何処にいるか分かる?」
一区画ずつ見ると一つだけ白く見えた。そこを指さすと夜美の母は首を縦に振った。
「じゃあ、次は一人でできるようにね」
「ありがとうございました」
紗奈は笑顔で部屋を出ていった。それを夜美の母は笑顔で見送ったが、久美は苦い表情で夜美の母を見ていた。
「いいの、夜美にも同じ事を教えたし。それにあなたのためでもあるのよ」
「わたしのため?」
「そう」
「どういう事?」
「後からね。今はあの子たちの監督だから」
全員正解した。
三戦目、四戦目、全員が正解した。夜美と紗奈は輪郭も見る事ができるようになった。そして、五戦目が始まり、恵美奈達のシンキングタイムが始まる。
「夜美と紗奈は元々そういう人だからしょうがない」
久美が不服そうに喋り始めた。
「ミス・ニコラエは科学の力だから私にはどうしようもない。でも恵美奈はテレパシーとかじゃなくてただ私の性格から次の行動を読んでる。おもしろくない。」
テレビを見ながら話を聞いていた。久美は夜美の母のほうを物欲しそうに見ている。手伝ってほしいのだ。
「専門外だから無理。でもそろそろあなたの監督もしなくちゃね」
五戦目の結果も全員正解だった。
六戦目が始まりそれぞれ写真を見た。
「あれ?何も見えない」
紗奈がそう言うと夜美も同調した。
「こっちも見えないデス」
夜美達はしかたなく感で選び、恵美奈だけが正解した。
七戦目の写真を撮り終わり、久美は夜美の母がいる部屋に戻った。
「へへ、三人とも間違えた」
「呑み込みが早くて助かったわ」
夜美の母が久美に自分の気配を小さくする方法を教えていたのだ。
「そういえば、私のためって何なの?」
「あなたは幽霊だから。霊媒師によってはなりふり構わず除霊する人もいるからそういう人から逃げるために。じゃないと死んじゃうよ」
久美は凍りついた。
八戦目、また夜美達は久美の気配を感じる事ができなかった。何故見えないかニコラエ達は話し合っていたが恵美奈は元々見えないため、3人には関わらず、テレビを見ていた。
「まさかシンキングタイムに恵美奈はシンキングしていないとは」
夜美の後ろで久美が言うと、夜美はのけぞって驚いた。
「どうしたんです?」
恵美奈は振り返った。
「き、気付かなかった」
夜美は気付かなかったことが悔しかった。
「久美ちゃん見っけ!」
「え?」
「私にもわかりマス。そこにいますね」
ニコラエはカメラを構えて指をさす。
「えー」
「結果発表!正解はこの写真です」
恵美奈は写真を当てた。
「調子に乗るから」
軽く小突く動作をした。
「私が気配を小さくする方法を教えたの。集中すれば見えるわ」
紗奈達に励ましの言葉をかけた。夜美の母が久美を引っ張っていったが、夜美達の部屋にはモヤモヤが残る。夜美達は今までの倍の時間をかけて薄い霧の様な物を見つけた。
「結果発表!正解はこれです」
全員が正解した。
「先生、よく分かりますね」
「人間には感知できないものを感知する事が機械の存在意義デス」
「科学者ですか?」
「いいえ。算数と理科の先生デス」
九戦目も順調に全員が正解した。
そして最終決戦の十戦目が来た。
「どうにかして恵美奈に一泡吹かせたい」
「いいんじゃない?あの子は規格外だよ。テレパシーか何かがあるんじゃない?」
「いや、そんなのは無いって言ってた」
夜美の母も考えこんでしまった。
「目を閉じて適当に指さした部屋に行けば」
「やだ、運に頼った感じがする。運に頼るってことは負けを認めたことと同じだよ」
「めんどくさいなあ」
夜美の母は考えるのを止めた。徐々に久美も考えるのに疲れ始めた。
「あれだ!」
久美は久美にしか思いつかない独創かつ芸術的な方法を思いついた。
「今回は負けないよ」
そう言って持ち場についた。
十戦目の写真が渡された。
「結果発表!正解はこれです」
夜美の母が正解の写真を出した。
「うそ!」
久美は膝から崩れ落ちた。ばっちり久美の全体像が映り込んでいた。
「簡単だったね」
紗奈がニヤニヤしてみている。夜美は口に手を当てて笑いをこらえている。ニコラエは声を上げて笑っている。久美は恵美奈がどんな顔をしているかと思った。見ようとしても怖くて見られない。
勇気を振り絞って見ると口を開け、口角が下がっていた。恵美奈が選んだ写真を見るとそれは全く違う写真だった。
「これが・・・久美さん。私はてっきりダミーだと・・・」
恵美奈がこの言葉を絞り出した。久美は崩れ落ちた膝をバネにジャンプした。
「勝った!」
恵美奈は写真をまじまじと見ている。
「負けました」
「どうだ、私は恵美奈の手のひらから脱出した」
紗奈達は優しく微笑む事しかできなかった。恵美奈は見えないため久美の状況が分からなかった。
「久美さん。かわいいですね」
「これでもー」
下半身を床に埋め、テケテケの様な姿で言う。恵美奈とニコラエにはそれが見えず夜美と紗奈には床に埋まっていく瞬間を見ているためまったく恐怖を感じなかった結果、すべった。
「ほら、もう遅いから帰りなさい」
時間はもう5時になろうとしていた。帰りの支度をして帰って行った。
家には夜美と母の二人だけが残った。
「面白い友達ができたわね」
夜美は下を向いて照れながら微笑んだ。
「これは偽物だな」
別の映像の時に母が言った。
「お父さん。これは本物ですよ」
夜美の母の指さした物も明らかに作り物に見えた。
「お母さん・・・それは・・作り物」
「いいえ、本物よ。ここを見て」
指さした場所には何も映っていなかった。夜美が首をかしげるとテレビに指を付けて円を描いた。液晶テレビのため一瞬分かりやすく跡が残る。また巻き戻しよく見ると夜美にも白い霧が見え始めた。
「何が見える?」
夜美の父が聞いた。
「白い・・・霧」
「はは、未だ分からないか。まあ、慣れれば普通に見えるよ」
その後も心霊映像を見ていた。
次の日、学校で夜美が紗奈に心霊番組の話をした。
「へー。面白そうな事してたんだね。私もやりたい」
紗奈は少し考えるとニコリ笑った。
「そうだ。百合子先生の家に行こうよ」
夜美もクスリと笑った。紗奈が何をしようとしているのか夜美にはすぐに分かったのだ。
「それじゃあ、さっそく先生の所に行こう」
夜美はうなずいて職員室に2人で行った。
「先生、今日先生の家に行っていい?」
「だめに決まってるでしょ」
すぐに断られてしまった。
「いったい何をするつもりなの?」
百合子は話だけは聞こうと思い、聞いてみた。それに対し、紗奈は久美とかくれんぼをすると言った。
「じゃあ、久美に言っておくから他の場所で遊びなさい」
「はーい」
職員室を出ると紗奈達はニコラエに呼び止められた。ニコラエはニヤニヤしていて、紗奈達は身構えた。
「面白いことをするんデスカ?」
ニコラエには詳細を話した。ニコラエはニマっと笑う。
「私も行っていいデスカ?」
三代目バケサガを試したいそうだ。紗奈達は霊感のない人が欲しかったため、ちょうど良かったと了承した。
「恵美奈ちゃんも・・・さ、誘おう」
「いいね」
放課後5人は夜美の家に向かった。家につくと夜美の両親が出迎えた。
「あなたが久美ちゃんね」
「そうです」
「良い子にするのよ」
夜美の母は優しく微笑む。久美はうなずいた。家の中に案内された。
お菓子とジュースで一服し、かくれんぼを始まった。普通のかくれんぼとは違い隠れた人を探しには行かない。隠れる人は久美だけで、どこかの部屋へ行く。その後、幽霊の見えない恵美奈がそれぞれの部屋の写真を撮る。紗奈と夜美はその写真を見て映っていない久美を探し、ニコラエは科学の力で写真を分析し、恵美奈は久美の心を読み取る。
「面白そうね、私もいれてくれる?」
夜美の母が来た。紗奈達は乗り気だが、夜美は微妙な表情をしている。母が勝つのが当たり前だからゲームが盛り上がらないと思ったからだ。母はそれを察した。
「じゃあ、私達はあなたの監督をするわ」
夜美もそれならと夜美の母の参加を認めた。
恵美奈が一回目の写真を撮ってきた。背後には久美もいた。写真を人数分印刷して配った。夜美と久美は真剣に眺めている。
「かわいく映ってる?」
幽霊を見る事ができて、からかいがいのある夜美の邪魔をしている。
「ねえ。私綺麗?」
「見えるの?」
「ねえ?」
覗き込んできた久美に悪霊を封印するお札をはった。
「痛い、痛い、ごめんなさい、あー」
「はいはい、こっちで遊びましょうねー」
夜美の母が札をはがし久美を別室に誘導する。久美は抵抗せずについて行った。
「覗かないでくださいね」
そう言い残して扉は閉められた。
「私には見えマスよー」
「先生うるさい」
紗奈が低い声で言った。紗奈も夜美同様に久美のうるささにイライラしていた。
「スイマセン」
数分後、全員が答えを出した。そのことを伝えに久美達のいる部屋へ行った。夜美の母は写真を見て何かを描いていた。
「これは怪異なのか?本物の幽霊が映り込んだ絵」
久美は絵を覗き見ながら考えている。
「ピカソより分かりやすくて心霊番組より信用できるわ。それでみんなはどの写真を選んだの?」
夜美とニコラエは夜美の両親の寝室の写真を選び、紗奈と恵美奈は別々のものを選んだ。
「結果発表!正解はこの写真です」
夜美の母が言い、持ち上げた写真は夜美達が選んだ写真だった。ニコラエは声をあげて喜んだ。
「成功デス」
2戦目が始まり、恵美奈が写真を持って来た。
「紗奈ちゃん、コツを教えるわ。こっちに来て」
別室に誘導されていった。そこには久美もいた。
「まず紙を八つ折にして一つずつじっくり見るの」
何枚目かの写真で少し白い物が見えはじめる。
「これ!」
「正解、何処にいるか分かる?」
一区画ずつ見ると一つだけ白く見えた。そこを指さすと夜美の母は首を縦に振った。
「じゃあ、次は一人でできるようにね」
「ありがとうございました」
紗奈は笑顔で部屋を出ていった。それを夜美の母は笑顔で見送ったが、久美は苦い表情で夜美の母を見ていた。
「いいの、夜美にも同じ事を教えたし。それにあなたのためでもあるのよ」
「わたしのため?」
「そう」
「どういう事?」
「後からね。今はあの子たちの監督だから」
全員正解した。
三戦目、四戦目、全員が正解した。夜美と紗奈は輪郭も見る事ができるようになった。そして、五戦目が始まり、恵美奈達のシンキングタイムが始まる。
「夜美と紗奈は元々そういう人だからしょうがない」
久美が不服そうに喋り始めた。
「ミス・ニコラエは科学の力だから私にはどうしようもない。でも恵美奈はテレパシーとかじゃなくてただ私の性格から次の行動を読んでる。おもしろくない。」
テレビを見ながら話を聞いていた。久美は夜美の母のほうを物欲しそうに見ている。手伝ってほしいのだ。
「専門外だから無理。でもそろそろあなたの監督もしなくちゃね」
五戦目の結果も全員正解だった。
六戦目が始まりそれぞれ写真を見た。
「あれ?何も見えない」
紗奈がそう言うと夜美も同調した。
「こっちも見えないデス」
夜美達はしかたなく感で選び、恵美奈だけが正解した。
七戦目の写真を撮り終わり、久美は夜美の母がいる部屋に戻った。
「へへ、三人とも間違えた」
「呑み込みが早くて助かったわ」
夜美の母が久美に自分の気配を小さくする方法を教えていたのだ。
「そういえば、私のためって何なの?」
「あなたは幽霊だから。霊媒師によってはなりふり構わず除霊する人もいるからそういう人から逃げるために。じゃないと死んじゃうよ」
久美は凍りついた。
八戦目、また夜美達は久美の気配を感じる事ができなかった。何故見えないかニコラエ達は話し合っていたが恵美奈は元々見えないため、3人には関わらず、テレビを見ていた。
「まさかシンキングタイムに恵美奈はシンキングしていないとは」
夜美の後ろで久美が言うと、夜美はのけぞって驚いた。
「どうしたんです?」
恵美奈は振り返った。
「き、気付かなかった」
夜美は気付かなかったことが悔しかった。
「久美ちゃん見っけ!」
「え?」
「私にもわかりマス。そこにいますね」
ニコラエはカメラを構えて指をさす。
「えー」
「結果発表!正解はこの写真です」
恵美奈は写真を当てた。
「調子に乗るから」
軽く小突く動作をした。
「私が気配を小さくする方法を教えたの。集中すれば見えるわ」
紗奈達に励ましの言葉をかけた。夜美の母が久美を引っ張っていったが、夜美達の部屋にはモヤモヤが残る。夜美達は今までの倍の時間をかけて薄い霧の様な物を見つけた。
「結果発表!正解はこれです」
全員が正解した。
「先生、よく分かりますね」
「人間には感知できないものを感知する事が機械の存在意義デス」
「科学者ですか?」
「いいえ。算数と理科の先生デス」
九戦目も順調に全員が正解した。
そして最終決戦の十戦目が来た。
「どうにかして恵美奈に一泡吹かせたい」
「いいんじゃない?あの子は規格外だよ。テレパシーか何かがあるんじゃない?」
「いや、そんなのは無いって言ってた」
夜美の母も考えこんでしまった。
「目を閉じて適当に指さした部屋に行けば」
「やだ、運に頼った感じがする。運に頼るってことは負けを認めたことと同じだよ」
「めんどくさいなあ」
夜美の母は考えるのを止めた。徐々に久美も考えるのに疲れ始めた。
「あれだ!」
久美は久美にしか思いつかない独創かつ芸術的な方法を思いついた。
「今回は負けないよ」
そう言って持ち場についた。
十戦目の写真が渡された。
「結果発表!正解はこれです」
夜美の母が正解の写真を出した。
「うそ!」
久美は膝から崩れ落ちた。ばっちり久美の全体像が映り込んでいた。
「簡単だったね」
紗奈がニヤニヤしてみている。夜美は口に手を当てて笑いをこらえている。ニコラエは声を上げて笑っている。久美は恵美奈がどんな顔をしているかと思った。見ようとしても怖くて見られない。
勇気を振り絞って見ると口を開け、口角が下がっていた。恵美奈が選んだ写真を見るとそれは全く違う写真だった。
「これが・・・久美さん。私はてっきりダミーだと・・・」
恵美奈がこの言葉を絞り出した。久美は崩れ落ちた膝をバネにジャンプした。
「勝った!」
恵美奈は写真をまじまじと見ている。
「負けました」
「どうだ、私は恵美奈の手のひらから脱出した」
紗奈達は優しく微笑む事しかできなかった。恵美奈は見えないため久美の状況が分からなかった。
「久美さん。かわいいですね」
「これでもー」
下半身を床に埋め、テケテケの様な姿で言う。恵美奈とニコラエにはそれが見えず夜美と紗奈には床に埋まっていく瞬間を見ているためまったく恐怖を感じなかった結果、すべった。
「ほら、もう遅いから帰りなさい」
時間はもう5時になろうとしていた。帰りの支度をして帰って行った。
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