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16話・運動会1/3
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パンッ、パンッ。今日は沙奈達が通う学校で運動会がある。それを知らせる空包が朝から鳴り響く。生徒達はいつもより早く登校し、自分の椅子を所定の位置に置く。あっという間に時間が経ち開会式が始まった。
『校長先生のお話、校長先生お願いします』
「みなさん、おはようございます。」
その後は永遠にも思える校長の長話が続く。校長の話は退屈なので数日前の話をさせて頂きます。
数日前
職員室で運動会の話がされていた。
「遠藤センセー、運動会に参加シマショー」
「嫌です」
ニコラエの誘いには目もくれず、テストの丸つけをしている。
「いいじゃないデスカー」
百合子の勤める学校では、教師も運動会に参加する事ができる。もちろん制限人数が設けられているが、それ以上の立候補者が集まったことはない。
「私達からもお願いしますよ」
後ろから追い討ちで男女の体育教師まで頼みに来た。それでも遠藤は意志を曲げない。しかし、しつこい誘いにしびれを切らす。
「教師は自主参加じゃないですか。なんでそんなに私を参加させたいんですか!?」
体育教師達は目を逸らした。遠藤はこの体育教師は何か後ろめたい事があると分かった。
「人数が奇数なんですよ」
「それだけですか?」
体育教師はぽつぽつと話し始めた。
「体育教師の私と彼と運動神経の良いニコラエ先生の3人をどう分けるかで悩んでまして、遠藤先生が参加してくれれば丁度均等になるんですよ」
遠藤は首を傾げる。遠藤は運動会が大の苦手だからだ。運動のできる人を誘うのが定石というものだ。ニコラエは遠藤が不思議がっていることに気付いた。
「要するに、私達3人イガイは運動能力がトントンだからバランス要因として逆に運動ができない遠藤センセーに参加してホシイわけデス」
ニコラエの近くの教師全員が目を見開いてニコラエを凝視する。
「ニコラエ先生がプラスで私がマイナスって事?」
「YES」
「絶対嫌です!」
遠藤はそのまま職員室を出て行った。
「どうするんですか!遠藤先生、怒って行っちゃったじゃないですか!これじゃあ参加させるなんて無理ですよ!」
ニコラエは顎に手を当てて考える。
「押してダメなら・・・他の人が押してみろデス」
遠藤はあの後、教室にいた。昼休みであるため、教室にいる生徒は少ない。そこに遠藤のクラスの生徒が数名入ってきた。
「先生、運動会に参加すんの?」
「んっ?なんの事?」
「さっき他の先生から聞いたんだ。先生、運動できるイメージ無かったけど、スゲー!」
「え?いやー、」
返事を曖昧にしているうちに、ますます生徒が集まってきた。そして否定できるムードはますます無くなっていく。
「参加するよ」
引きつった声で答えた。そこにニコラエが入ってきた。
「遠藤センセー、信じてマシタ!」
遠藤は椅子に深くもたれかかった。
さらに日が経ち、生徒のチーム分けも完了した。その結果、赤組に夜美、沙奈、百合子、白組に恵美奈、ニコラエ、遠藤になった。
そして運動会当日に至る。
『以上、校長先生のお話でした』
校長の話も終わり、次回から運動会本番。
『校長先生のお話、校長先生お願いします』
「みなさん、おはようございます。」
その後は永遠にも思える校長の長話が続く。校長の話は退屈なので数日前の話をさせて頂きます。
数日前
職員室で運動会の話がされていた。
「遠藤センセー、運動会に参加シマショー」
「嫌です」
ニコラエの誘いには目もくれず、テストの丸つけをしている。
「いいじゃないデスカー」
百合子の勤める学校では、教師も運動会に参加する事ができる。もちろん制限人数が設けられているが、それ以上の立候補者が集まったことはない。
「私達からもお願いしますよ」
後ろから追い討ちで男女の体育教師まで頼みに来た。それでも遠藤は意志を曲げない。しかし、しつこい誘いにしびれを切らす。
「教師は自主参加じゃないですか。なんでそんなに私を参加させたいんですか!?」
体育教師達は目を逸らした。遠藤はこの体育教師は何か後ろめたい事があると分かった。
「人数が奇数なんですよ」
「それだけですか?」
体育教師はぽつぽつと話し始めた。
「体育教師の私と彼と運動神経の良いニコラエ先生の3人をどう分けるかで悩んでまして、遠藤先生が参加してくれれば丁度均等になるんですよ」
遠藤は首を傾げる。遠藤は運動会が大の苦手だからだ。運動のできる人を誘うのが定石というものだ。ニコラエは遠藤が不思議がっていることに気付いた。
「要するに、私達3人イガイは運動能力がトントンだからバランス要因として逆に運動ができない遠藤センセーに参加してホシイわけデス」
ニコラエの近くの教師全員が目を見開いてニコラエを凝視する。
「ニコラエ先生がプラスで私がマイナスって事?」
「YES」
「絶対嫌です!」
遠藤はそのまま職員室を出て行った。
「どうするんですか!遠藤先生、怒って行っちゃったじゃないですか!これじゃあ参加させるなんて無理ですよ!」
ニコラエは顎に手を当てて考える。
「押してダメなら・・・他の人が押してみろデス」
遠藤はあの後、教室にいた。昼休みであるため、教室にいる生徒は少ない。そこに遠藤のクラスの生徒が数名入ってきた。
「先生、運動会に参加すんの?」
「んっ?なんの事?」
「さっき他の先生から聞いたんだ。先生、運動できるイメージ無かったけど、スゲー!」
「え?いやー、」
返事を曖昧にしているうちに、ますます生徒が集まってきた。そして否定できるムードはますます無くなっていく。
「参加するよ」
引きつった声で答えた。そこにニコラエが入ってきた。
「遠藤センセー、信じてマシタ!」
遠藤は椅子に深くもたれかかった。
さらに日が経ち、生徒のチーム分けも完了した。その結果、赤組に夜美、沙奈、百合子、白組に恵美奈、ニコラエ、遠藤になった。
そして運動会当日に至る。
『以上、校長先生のお話でした』
校長の話も終わり、次回から運動会本番。
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