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19話・久美の家庭科
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久美は今日、沙奈たちが通う学校に来ていた。もちろん百合子の許可は得ていないし、行くとも言っていない。先ずは理科準備室に行った。
「人体模型だ」
人体模型を近くで見るために近づく。一つ一つ内蔵を取り出す。とりあえず分解できる所は全てバラバラにした。とりあえず内蔵を床に並べてみる。自分の体に入れてみた。
「おおー」
いくつの内蔵を自分の体の内蔵に重ねた後、元の体に返した。
次に骨格模型のほうに行く。とりあえず自分の体と重なってみた。だが、身長が合わず、しっくりこなかったため、直ぐに骨から出た。骨格模型で冷めた久美は別の部屋に行くことにした。次に音楽室に行く事にした。
久美は廊下を歩いていた。音楽室は沙奈たちが授業中だったので入るのを止めた。そのため、行き場所に困っていた。歩いていると家庭科室があり、とりあえず入ってみた。中は誰もいなかった。後ろには開花の授業に使う備品などがある。
「あっ、ミシンだ」
カバーを外して、コンセントを挿してみる。そこで手が止まる。
「使い方が分からない」
教室内に忘れ物の教科書が無いかを探してみる。
「ないなー」
久美は諦めて教室を出ていった。思い道理に行かないことが続いたため、家に帰る事にした。
夕方になり、百合子が帰ってきた。
「ただいまー」
「おかえりー」
百合子は何事もなかったように家で漫画を読んでいた。
「ずっと読んでたの?」
「うん」
百合子は久美の後ろ部屋着に着替えている。
「ねえねえ、教科書を貸してほしいんだけど?」
「ちょっと待ってて」
着替え終わると、自分の部屋へ行って少しすると階段を駆け下りてきた。算数の教科書を渡してきた。
「この教科書じゃなくて。家庭科の教科書が・・・」
「ああ、家庭科のは持ってない。私、家庭は担当じゃないから、どうしたの?」
「ちょっと学校でね」
「学校?」
「あ!」
久美は部屋を逃げ出した。百合子は説教するために追いかけた。
次の日、百合子は昼休みに沙奈から学校の噂について聞いていた。
「昨日、家庭科の先生がカギのしまった家庭科室で物音がするのを聞いたんですって」
「へえ、その先生はどうしてたの?」
「ずっと見てたら、ミシンを出したんだけど、使い方が分からなくて片付けていなくなったんだって」
それを聞いて百合子は久美の事を考えた。昨日の事があいまって久美のことが気になった。
学校の授業が終わり、時間ができたため、家庭科の先生に会う事にした。久美のために教科書を借りにいくためだ。だが、職員室にはいなかったので家庭科室に探しに行く事にした。中に入ると教科書を隅に飾って合掌している家庭科の先生がいた。
「先生、ちょっとお話があるんですが?」
「何でしょう?」
飾られた教科書に目を移す。
「それはお供えですか?」
教科書に目を移す。久美のためにお供えられた事を察した。
「はい。ミシンの使い方が分からなくて困ってそうだったので・・・。話とはなんでしょうか?」
百合子は言葉に困った。話はすでに終わっていたからだ。
「いや、大丈夫です。何とかなりそうなんで」
「そうですか」
そう言うと、家庭科の先生はまた合掌した。それにつられて百合子も合掌した。世間話をして職員室に帰った。
久美は何をするでもなく床でゴロゴロしていた。そこに百合子が帰ってきた。
「ただいまー」
「おかえりー」
百合子は部屋着に着替えた後、久美に話しかけるためにお腹に手を入れて久美の名前を呼んだ。
「久美―、話があるんだけど」
「今日は学校行ってないよ」
手を出して立ち膝で膝に手を置いて体全体で久美を覗き込む。
「今日、深夜、学校の家庭科室に行きな。家庭科の教科書がもらえるよ」
久美はあまり理解ができなかったが、その話は終わった。
日付が変わって数分後、学校に行く支度を始めた。
「ほら、行くよ」
「うん」
車で久美を学校に送った。十分後、久美が帰ってきた。手には教科書があった。
「かえろうか?」
「うん!」
車の中で百合子は久美に質問する。
「それ読んで何するの?料理?」
本当は答えを知っている。
「ミシンを使ってみたい」
「家にミシンは無いけどね」
「え?」
後部席から顔を乗り出してくる。
「とりあえず裁縫から覚えなさい。あと先生にお返ししなきゃね」
「そうね」
それから数週間が経った。百合子が帰ってくると久美が玄関まで走ってきた。
「今日も学校に行きたい」
久美は小さな手製のぬいぐるみがあった。
「人体模型だ」
人体模型を近くで見るために近づく。一つ一つ内蔵を取り出す。とりあえず分解できる所は全てバラバラにした。とりあえず内蔵を床に並べてみる。自分の体に入れてみた。
「おおー」
いくつの内蔵を自分の体の内蔵に重ねた後、元の体に返した。
次に骨格模型のほうに行く。とりあえず自分の体と重なってみた。だが、身長が合わず、しっくりこなかったため、直ぐに骨から出た。骨格模型で冷めた久美は別の部屋に行くことにした。次に音楽室に行く事にした。
久美は廊下を歩いていた。音楽室は沙奈たちが授業中だったので入るのを止めた。そのため、行き場所に困っていた。歩いていると家庭科室があり、とりあえず入ってみた。中は誰もいなかった。後ろには開花の授業に使う備品などがある。
「あっ、ミシンだ」
カバーを外して、コンセントを挿してみる。そこで手が止まる。
「使い方が分からない」
教室内に忘れ物の教科書が無いかを探してみる。
「ないなー」
久美は諦めて教室を出ていった。思い道理に行かないことが続いたため、家に帰る事にした。
夕方になり、百合子が帰ってきた。
「ただいまー」
「おかえりー」
百合子は何事もなかったように家で漫画を読んでいた。
「ずっと読んでたの?」
「うん」
百合子は久美の後ろ部屋着に着替えている。
「ねえねえ、教科書を貸してほしいんだけど?」
「ちょっと待ってて」
着替え終わると、自分の部屋へ行って少しすると階段を駆け下りてきた。算数の教科書を渡してきた。
「この教科書じゃなくて。家庭科の教科書が・・・」
「ああ、家庭科のは持ってない。私、家庭は担当じゃないから、どうしたの?」
「ちょっと学校でね」
「学校?」
「あ!」
久美は部屋を逃げ出した。百合子は説教するために追いかけた。
次の日、百合子は昼休みに沙奈から学校の噂について聞いていた。
「昨日、家庭科の先生がカギのしまった家庭科室で物音がするのを聞いたんですって」
「へえ、その先生はどうしてたの?」
「ずっと見てたら、ミシンを出したんだけど、使い方が分からなくて片付けていなくなったんだって」
それを聞いて百合子は久美の事を考えた。昨日の事があいまって久美のことが気になった。
学校の授業が終わり、時間ができたため、家庭科の先生に会う事にした。久美のために教科書を借りにいくためだ。だが、職員室にはいなかったので家庭科室に探しに行く事にした。中に入ると教科書を隅に飾って合掌している家庭科の先生がいた。
「先生、ちょっとお話があるんですが?」
「何でしょう?」
飾られた教科書に目を移す。
「それはお供えですか?」
教科書に目を移す。久美のためにお供えられた事を察した。
「はい。ミシンの使い方が分からなくて困ってそうだったので・・・。話とはなんでしょうか?」
百合子は言葉に困った。話はすでに終わっていたからだ。
「いや、大丈夫です。何とかなりそうなんで」
「そうですか」
そう言うと、家庭科の先生はまた合掌した。それにつられて百合子も合掌した。世間話をして職員室に帰った。
久美は何をするでもなく床でゴロゴロしていた。そこに百合子が帰ってきた。
「ただいまー」
「おかえりー」
百合子は部屋着に着替えた後、久美に話しかけるためにお腹に手を入れて久美の名前を呼んだ。
「久美―、話があるんだけど」
「今日は学校行ってないよ」
手を出して立ち膝で膝に手を置いて体全体で久美を覗き込む。
「今日、深夜、学校の家庭科室に行きな。家庭科の教科書がもらえるよ」
久美はあまり理解ができなかったが、その話は終わった。
日付が変わって数分後、学校に行く支度を始めた。
「ほら、行くよ」
「うん」
車で久美を学校に送った。十分後、久美が帰ってきた。手には教科書があった。
「かえろうか?」
「うん!」
車の中で百合子は久美に質問する。
「それ読んで何するの?料理?」
本当は答えを知っている。
「ミシンを使ってみたい」
「家にミシンは無いけどね」
「え?」
後部席から顔を乗り出してくる。
「とりあえず裁縫から覚えなさい。あと先生にお返ししなきゃね」
「そうね」
それから数週間が経った。百合子が帰ってくると久美が玄関まで走ってきた。
「今日も学校に行きたい」
久美は小さな手製のぬいぐるみがあった。
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