裏切られた侯爵夫人なんてお断り～離婚を求められた悪役夫人は踊りだす～

悪役夫人、対決する②

 　まずは第１スマイルで牽制！

クリスティアがこんな反応をするなんて、フデキオ達は思いもよらないだろう。そこを突く形でとった行動だ。

　「「…………え？」」

思った通りに２人が固まっている。その好機を見逃す手はない。私は声を張り上げ、屋敷中に聞こえんが如く言い放った。

「皆様、聞こえました～？　わたくし旦那様から離縁を申し立てられました！　妹のエイミーを妊娠させたのですって！！」

　私が言うと、目の前の２人はギシと固まった。そんな彼らを冷めた目で見る。

　……まあ、そうでしょうね。

　いくら美しい言葉で飾ろうとも、彼らがした事は変わらない。
クリスティアという妻がいる妻帯者が、妻の妹に手を出し孕ませたのだという事実は揺るがない。

　だから受け入れると良い。これから起きる全てを。

「はい！！」

　私の呼びかけに呼応する複数の声。ドア越し以外に窓の向こうからも。

そして……驚きで固まった２人の前に彼らは、その姿を見せた。決して狭くはない部屋を埋め尽くすほどに。

　それもクリスティアの積み上げて来たものだ。
そしてこれから、あんた達が積み重ねるべきものだ、と。