ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

文字の大きさ
3 / 66
ぐーたら夫人は仕事モードになる

来訪者

しおりを挟む
 そんな四面楚歌な状況でミュゼとルース、ルミカの三角関係は変わらず続いていた。

 使用人達はミュゼに嫌味を言い、彼女の世話を怠ったが本人は特に気にする様子もなく、身の回りの事をサッサと自分で済ませてしまう。

 ルースは変わらず幼馴染を優先し、ミュゼの状況に何一つ気付かない。

―――そうして、一月経ったある日、騒がしい来訪者が現れたのだ。

 「ミュゼ・シルフィー様を呼んでください。一刻を争うんです」

「お約束はございますか? 」

「そんなのありません! 突然の事なんです」

 その朝、リュドミラ家の執事は、庭を見回る途中で門の方が騒がしい事に気が付いた。

 一人はスーツ姿の男。がっしりとした体つきで、門番よりも背が高い。

もう1人は子供と見間違いそうな小柄な女だ。子供と思えないのは尖がった耳をしていたから。エルフの特徴だ。彼らは長生きで成長が遅い。

 しかし男の方はともかく、この女は問題だ。身なりが貧しい。

「……これだから子爵ごときは……」

 執事はミュゼの事を、行き遅れの子爵令嬢だと思っている。普段の貧しい身なりやだらけた様子からして、家や本人に問題があり、貰い手がいなかったのだとも思っていた。

 なぜ自分達の主は、そんな女と主の息子を結婚させたのか?

「くっ」

 考えるだけで怒りがこみ上げてくる。自然と足は門前に向かっていた。3人の間に入り門番に問いかける。

「これは何の騒ぎですか?」
「執事さん良いところに。こちらの方々が奥様に、先ぶれなしで面会したいと」

「そうですか。どのような用件でもとにかく、ミュゼさんにお取次ぎは出来かねます」

と、執事が言った途端、彼らの様子がガラリと変わった。

「!?」


「え、“ミュゼさん”? ―――主家の奥方を名前で呼ぶとは……?」

「仕事柄、お貴族様のお相手するけど、こんなの初めてだわ~」

「しかも“さん”って何? 正確には“奥様”とか“夫人”とかじゃない? 雇用されてる執事がこんなんって、お偉い貴族様って、結構テキトーなのね~」

 軽蔑の籠った視線に、執事がたじろぐ。

だって今までそうしても良いって雰囲気だった。ミュゼを軽く扱う侍女や使用人達に、彼の主人であるルースは何も言わなかった。

 だから……それで良いのだと思うのに……。
 何故今、自分はガタガタ震えているんだろう?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

疑惑のタッセル

翠月 瑠々奈
恋愛
今、未婚の貴族の令嬢・令息の中で、王国の騎士たちにタッセルを渡すことが流行っていた。 目当ての相手に渡すタッセル。「房飾り」とも呼ばれ、糸や紐を束ねて作られた装飾品。様々な色やデザインで形作られている。 それは、騎士団炎の隊の隊長であるフリージアの剣にもついていた。 でもそれは──?

【短編】お姉さまは愚弟を赦さない

宇水涼麻
恋愛
この国の第1王子であるザリアートが学園のダンスパーティーの席で、婚約者であるエレノアを声高に呼びつけた。 そして、テンプレのように婚約破棄を言い渡した。 すぐに了承し会場を出ようとするエレノアをザリアートが引き止める。 そこへ颯爽と3人の淑女が現れた。美しく気高く凛々しい彼女たちは何者なのか? 短編にしては長めになってしまいました。 西洋ヨーロッパ風学園ラブストーリーです。

安らかにお眠りください

くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。 ※突然残酷な描写が入ります。 ※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。 ※小説家になろう様へも投稿しています。

元恋人が届けた、断りたい縁談

待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。 手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。 「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」 そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?

3歳児にも劣る淑女(笑)

章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。 男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。 その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。 カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^) ほんの思い付きの1場面的な小噺。 王女以外の固有名詞を無くしました。 元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。 創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。

利害一致の結婚

詩織
恋愛
私達は仲のいい夫婦。 けど、お互い条件が一致しての結婚。辛いから私は少しでも早く離れたかった。

ジルの身の丈

ひづき
恋愛
ジルは貴族の屋敷で働く下女だ。 身の程、相応、身の丈といった言葉を常に考えている真面目なジル。 ある日同僚が旦那様と不倫して、奥様が突然死。 同僚が後妻に収まった途端、突然解雇され、ジルは途方に暮れた。 そこに現れたのは亡くなった奥様の弟君で─── ※悩んだ末取り敢えず恋愛カテゴリに入れましたが、恋愛色は薄めです。

6回目のさようなら

音爽(ネソウ)
恋愛
恋人ごっこのその先は……

処理中です...