ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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ぐーたら夫人は仕事モードになる

閑話;来訪者サイモン・リューラーの独白

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 テキトーな理由を付けて現れた初見の俺に,小娘は食いついた。

 ミュゼ・シルフィー女子爵。俺等が敬愛する姐さんの旦那になれた侯爵令息に、コバンザメのように引っ付いてるだけの分際で、いちいち姐さんにマウントとっている乳臭い小娘。

 それだけじゃなく、この屋敷の使用人共も味方につけ、姐さんにちまちま嫌がらせをするよう促しているらしい。

 まぁ……促すだけで、実行するかは当人の意思で。

仮に嫌がらせされていると訴えても、“自分は関係ない。彼ら(もしくは彼女)達が勝手にやった”と主張すれば簡単に切り離せる。加えて

『私はそんなつもりで言わなかったのに……』

ってな言い方をすれば、自分は守ってもらえるとか思いそう。

 なんて考えつつ、目の前にいる使用人の面々を見渡した。1人ひとりを把握し鷹揚に頷く。

―――ふぅん、成程。全員を味方にしているようだね。

 両親を亡くし、お情けで引き取られただけの自称・病弱な元男爵令嬢と5歳上の女子爵。

 どちらを取るかと訊かれれば、貴族として取るのは後者だろう。貴族の婚姻にはどれ程利益を算出できるのかが重要なのだから。

 しかし、選ぶ者が高位貴族なら違ってくる。何故なら彼らの選択が絶対なのだ。上の指示なら従うしかないと決まっているから抗う必要はない。利益を重んじ本来、優遇されるのはミュゼだ。

 が、お国の事情など知る必要のない雇われの身でいる彼らが、その差を決めるのは“誰に必要とされているか”の一択だ。故に目の前にいる雇用主のご機嫌さえ損ねなければ大丈夫だと思っている。

その考えが運の尽きだと―――気付かないままに。

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