ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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幼馴染達は知る

ルミカの心境・サイモンの心境

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  そんな企みなど丸っきり気付いていないルミカは、どうすればサイモンが機嫌を直してくれるのかを考えるのに必死だった。

 つい出てしまった本音が、目の前の魅力的な異性を傷つけた。その事が胸を騒めかせる。

 リュドミラ侯爵家に引き取られてから、ルミカの思い通りにならないものはなかった。自分の容姿や境遇を利用すれば大抵の人間は要望に応えてくれた。

 幼馴染であるルースもその1人だ。“私は弱い”とアピールするだけで、ルミカを誰よりも尊重してくれる。

 そう、父親に強要され、結婚したあの売れ残りの年増なんか眼中にない程に。

 両方にメリットがあるのが主目的の貴族間の婚姻すら、自分の存在以下なのだ。

 それほど周囲は自分の思い通りだと思い込んでいるルミカが、サイモンの一言だけで胸が騒いでしまう。

―――何故なのかしら……?

 そんな自分の変化に戸惑っているルミカに、サイモンが問いかけてきた。

「……こちらからも少々、貴女にお尋ねしたいのですが?」

 眼を向けてくれたサイモンに

「は、はいっ! 何なりとお聞きください」

シャキッと音がするようにルミカが即答する。そんな彼女に

「貴女はこの屋敷の主であるリュドミラ侯爵閣下の、親戚か何かですか? 俺が知る限り、侯のお子様はご子息お1人ですが」

「まぁ、イヤだぁ……」

「え………?」

 突然ルミカの両頬が熟れたトマトのように赤くなり、瞳をウルウルさせ始めた。頬の熱を抑えるように両手を頬にくっつけると

「私とルースの事が気になるなんて、そんなぁ……」

―――それってヤキモチ? ヤキモチよね!!

と、その身をくねくねさせながら、潤んだ瞳でサイモンを見つめた。



 ―――いやそれ、どーでもいいんで。

 とウンザリした声を上げかけギリギリで留まるサイモン。しかしそんな事にはまるっきり気付かないように、ルミカの瞳は

―――私とルースの関係が気になるの? そんなに私の事好きなの貴方(はあと)?……きゃっ♪

という心の声を如実にしている。

 ルミカと言う娘をサイモンは改めて観察した。

 細っこい体にリボンや花のモチーフがゴテゴテ盛られたドレス。顔は確かに可憐な部類だとは思うがそれだけ。細い体は凹凸が寂しく、折れそうな細い腰と並行する程に“ぺったん”だ。


 そんなショーウインドーに飾られた人形のようなルミカに、サイモンは丸っきり魅力を感じない。

 そしてそんな彼女を特別扱いし、ミュゼを蔑ろにする未だ会った事もないルースには、心底同調する気になれない。

 ミュゼがこの屋敷で受けている仕打ちを知り、サイモンも独自に調べてはいた。だが書類上の情報だけでなく、本人から直接聞いた情報も知りたかった。

……真偽はともかくとして。

 ルミカの出自も調べたので知っている。

 元の身分はルミカ・ザッコ男爵令嬢。

本来であれば両親亡き後男爵家を継ぐのはルミカだ。しかしザッコ家は一代限りの男爵。

 つまり正式にはルミカは平民なのである。

 彼女の存在価値は良く言えばリュドミラ候のお気に入り、悪く言えばリュドミラ家で世話になっている、元男爵令嬢という過去を持つだけの存在だ。

 まぁサイモンにとって、ルミカが貴族でも平民でもどっちでもいい。

重要なのはミュゼに害になるかならないか、だ。

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