ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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幼馴染達は知る

ミュゼとルースの婚約事情

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 飛び込んできた怒鳴り声にルミカが驚く。

が、サイモンは動じる事無く立ち上がると、胸に手を当て礼を取った。

「これはこれはリュドミラ小侯爵様。お初にお目にかかります。

我が名はリューラー商会が会長、そしてリューラー子爵が次男サイモンでございます」

「う………っ」

 堂々と名乗る相手に、ルースの高ぶっていた頭がシュ~と冷えていく。

 ここは自分の屋敷で主も自分だ。だから勝手に押しかけて来たならどうにでも出来る。

が、実際には彼はルミカに招かれた客で、更に相手は堂々と身の上を明かしているのだ。怒鳴る要素は何もない。

 ルースは結婚以後心の物置にしまっていた“薔薇の貴公子”の仮面を装着すると、

「……いきなり怒鳴ってしまい申し訳ない。リュドミラ侯爵が子息ルースだ。
……私の大事なルミカの相手をしてくれたのですか?」

 笑みを浮かべてサイモンに問いかけた。

―――もし仮面が見えていたなら、不自然な皺がいくつも見えただろう。

 
 「……ええ。

 私はミュゼ殿に代わって彼女の持ち物を取りに来たのですが、先ぶれしていたにも関わらず、主君に忠実な門番と執事に断られてしまい、困ってました。

……あれ? おかしいなぁ……侯爵家に嫁がれたミュゼ殿も、彼らにとっては主君の筈ですが……?」

 ルースの視線がサイモンから背後の執事へと向けられる。2人の視線を受けた執事は慄きながら返答した。

「……勝手に出て行ったミュゼさんの手伝いを、どうして当家がする必要があるのですか?」

 執事の答えにルースは“まあそうだな”としか思わない。故に

「そういう事だ。間にいる君には迷惑をかけるが、全てはミュゼの至らなさ故だと思ってくれ」

と、返した。

 そう、全てはミュゼのせいだと、ルースと執事は思っている。

 自分達は愚かな売れ残りを仕方なくもらってやった妻であるミュゼに翻弄されて迷惑している被害者、もしくは巻き込まれた部外者だ。

 ルースはそれが真実と。
執事は……ルースの言葉に乗る事で我が身を守れると。

望みは全く違うが表面上は統合している主張に対し、

「おやおや……オルガ達が言っていた通り、ここは“時の止まった場所”なんだね」

 やれやれとサイモンは肩をすくめ両手をあげた。
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