ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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幼馴染達は知る

来訪者は去る。――置き土産を残して

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 こんな事は常識として分かる筈なのに。今知ったというばかりに呆然とする使用人達。

 特に執事はあの日の事を思い返し、額からダラダラ汗を流しっぱなしだった。

―――で、ではあの時見せられたのは、本物の陛下からの召喚状……!

ど、どうせ出まかせだと思ったから旦那様に適当な事を言ってしまった!

 しかし一方でルースもまた混乱していた。

―――ミュゼが女子爵? しかし初対面の時にそんな事は……

『ルース・リュドミラ令息にお目にかかれ光栄に存じます。ミュゼ・シルフィー女子爵と申します』

―――……言ってたー!!

 そんな彼らにサイモンは

「とにかく現在、この屋敷で使われる諸経費や維持費、雇用者全員の給金を出しているのはミュゼ殿って訳です」

「じゃあ……夫人としての仕事をしていないのは……?」

「1年で離縁する相手だからですよ。それに今のミュゼ殿には重要な任務がある。橋を完成させるというね。」

 では、と改めて扉に向かい歩を進めた。が、

「そうそう、貴族が生活に困った時見直す項目の中に人件費があるのはご存じですか? 全てとは言いませんが、貴族は使用人がいないと生活が成り立たない。

 しかもこのお屋敷の使用人達は全員住み込みな上に、お仕着せから食費迄全て主持ちなんでしょう? その状況で仕事を怠るなんて、辞めたいと言っているようなものです。

 まぁ……侯爵ご夫妻は意思が弱い、失礼慈悲深い方々ですからクビにされる心配が今まではなかったでしょうが、ミュゼ殿が介入したら……どうでしょうね?」

 不穏な置き土産を置いて、では今度こそこれで。とサイモンはリュドミラ邸を辞去した。

 サイモンが退去した後。
リュドミラ邸はシーン、と静まり、誰も動けなかった。―――いきなり齎された情報量の多さについて来れなかったのだ。

 が、その中で立ち直りが早かったのはルミカだった。


 「うっ、ううう……っ。サイモン様ぁ……。どうして私にあのような態度を……? 
 あ、ルースそこにいたの? ねぇ、どうしてだと思う? どうしてサイモン様は私を「ごめんルミカ、今はそれどころじゃない」え……?」

 話を途中で切られ、ルミカはショックで凍り付く。今までそんな事はなかった。ルースはルミカに常に忠実だったのに。

―――どうしてルースは私を見ないの? 私は今、泣いているのよ!?

 ルミカが固まっている隙に、ルースは執事に

「執事、父上に連絡を取る。直接話を聞く事にする」

「……かしこまりました。……あの、ルース様は……いえ、何でもありません」

「そうか。……はあ、今日は疲れた。部屋にいるから暖かい飲み物を持ってくるよう、侍女に伝えてくれ」

「………承知しました」

 執事――クロードーーは、今日まで思っていなかった気持ちに戸惑う。

 あの魔道具で見た映像を見ていたら、何故か最後に見たミュゼが頭に浮かんだ。

『執事、いえクロードだったかしら』

 この屋敷には、先代の頃から世話になっている。


その間ずっと、クロードは執事としか呼ばれなかった。使用人達はクロードさんと呼んでいたが。
ルースは自分の名前を、知っているのかが、何故か気になってしまったのだ。
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