ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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最終章 まさかの展開

小侯爵夫人(ただし仮)と幼馴染

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 「今帰ったわ。

この間は騒がせてごめんなさいね。近隣のお宅へのお詫びの品とお土産、運んでもらうから案内してやってもらえる?」

 馬車は2台あった。どちらにも厳重に梱包された荷物が乗っている。

 ミュゼの言葉と同時に、後ろの馬車から先日ミュゼを迎えに来た2人と、屈強な男達が下りてきた。筋肉の目立つ肌が浅黒く焼けた巨体である。

 クロードはやや圧倒されそうになるも、

「承知しました。ではどうかあちらから」

と勝手口に案内する。

 ミュゼは御者に紙幣を数枚渡す。

「ご苦労様」

「そ、総括……多過ぎです」

「良いの、彼らと飲みにでも使って頂戴」

「! ではありがたく」

と受け取ってははーっと頭を下げた。そんなやり取りを見ていた侍女や侍従達は、

「あんな金ポンと渡せるなんて……」

「本当にシル総合のエライさんなのね……」

と後で顔を寄せ合い、

「……もし来年離婚が成立したら、この屋敷どうなるんだよ……」

「侯爵様とルース様で、維持できると思うか? こう言っちゃ何だが、お2人共資産の管理出来るとは思えないんだよな……」

「しっ、声がでかいぞ」

 と、不安そうに囁き合ったのだった。
 

 ミュゼが自室でだらーっとしていると、コンコン、と控えめなノックの音がした。ごく当たり前の事なのにミュゼは『あらま、珍しい』とちょっと驚く。

 いつもなら借金取りがするような遠慮のない叩き方で、返事する前に勝手に入って来るまでがワンセットなのに。

 今も扉の向こうで、

「お休みの処申し訳ありません。奥様、ルミカ様がお食事を御一緒したいとの事ですがいかがいたしましょう」

控えめな声で用件を伝えてくる。

 ―――へぇ……あのお嬢さんがねぇ……

 一緒に食卓についていても、ルミカが話すのはルースや侍女とだけで、ミュゼなどいないもの扱いなのに。

 最初の頃こそルースが水を向けてくれていたが、決まってルミカが割って入って来てルミカ中心に戻ってしまうので、最近はルースにも放置状態だった。

 そんな彼女が自分からミュゼを誘う。裏を勘繰りたくもなる。が、

 「ルミカさんには行きますと伝えてちょうだい」

「かしこまりました」

 まぁ乗ってやろうか。

 「あ、あの……ミュゼさん」

「なぁに?」

 予想に反し、食事は穏やかに進んでいた。会話もしたが主に料理の味についてで、特に嫌味やマウントを取る様子もない。

―――料理にも細工された様子もないし……

 ミュゼは食べ物を使って何かする人間が大嫌いだ。以前新入りの弁当をひっくりかえして踏みつけた工員の胸倉を、掴んで威圧した事もあるほど。それを侯爵邸でしなかったのはそれ系の嫌がらせだけはなかったからだ。

―――椅子も普通に座れたわね

 以前座ろうとしたら、控えの侍女が嫌なニヤニヤ笑いを浮かべていたので代わりに荷物を置いてみたところ、ガタッと椅子の足が折れ床につぶれた事があったので警戒していたが。

 あまりに今までと違い過ぎな事に妙な気分になっていた処で、ルミカが口を開いたのだ。
 何を言い出すのやらと思っていたら、思い切ったように言い出した。

「サ、サイモンさんの……好きな女性のタイプって、知ってますか?」
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