ミュゼ・シルフィーの結婚の行方

みけの

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最終章 まさかの展開

病弱でないのなら②

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 無情に言われた提案。それはどれを選んでも問題があり過ぎるものばかりだった。

 隠居予定の貴族の後妻に求められるのは、その先の介護要員だ。あらゆる世話を強要される。良いものでは奇行への対処や食事の提供、悪いものなら徘徊や下の世話に至るまで。

 問題アリの貴族の何人目かの妻など、当然事情があって妻が持たなかったからだ。

 最後の裕福な平民の妻が妥当なところだが、それでも相手が無理と言えばそこで終わり。次など望みようがない。

「そ、そんなところに私をやるのですか!?」

 責めるような口調で言うルミカに、あくまで侯爵は冷静だった。

「どうしてそんな絶望的な顔をするのかね? 君がやらかした所業と今までの厚遇を思えば、これはむしろ親切だよ。

……全く。君のお父上は優秀で助かったのに、なぜその子供の君がこうなったのか……。見抜けていれば、ルースの要求など蹴ってやったのに……」

 ルミカの絶望に負けじと、侯爵はソファに倒れこみ、悔しそうに額を押さえた。そのリアクションがいかにも演技臭いがこの場では効果があった。

 ルミカに、もう何をしても無駄だと思い知らせるために。

そして―――今ここにいない使用人達も、ルミカの味方をするようなら、これからの待遇は悪くなるだろう。それこそ自分から出て行きたくなる程にだ。


 が、ミュゼ側から見ればあらゆる元凶はリュドミラ侯爵にあるのだが。

 が、ルミカは諦める事無く最後の切り札を出す。

「で、でもルースは私と離れたくない筈です!」 

 この冷たい視線を浴びる中、唯一の味方の名前を出した。ルースだけは幼馴染として、自分の味方でいてくれると思っていた。

が、逆効果だったようで侯爵の彼女を見る目に剣呑さが増した。

「まだ息子を盾にしようとするとはな……。ここに置いてやっても良いが、その場合は今までとは違う、下級侍女の更に見習いとしてになるぞ」

「!!」

 非情な宣告に、ルミカはギチ、と固まった。

 下級侍女の仕事は、主に掃除、洗濯だ。どちらも力がいるし手も荒れるキツイ作業である。それだけでもきついのに今まで騙し続けた侍女長や執事、喧嘩をした侍女達より下になるのだ。

ルミカがそれに耐えきれるとは思えず……結局は出て行く事になるとミュゼは思う。

 なら最低限の生活が保障されている、誰かに嫁ぐ方がマシだろう。

だが、

「………そんな……ここから出て、別の処なんて……」

 真っ青になり、ガタガタ震えているルミカの姿に、少し胸が痛む。

 体だけが育った子供ってところか。

 彼女の嘘を早々に見抜ける人間に出会えていたら、違う道があったかも知れない―――と思う。

 侯爵の処置は正しい。騙し続けて来た平民に対しての処分としては、生活の保障がされている点では親切な方だ。甘い態度を取れば舐められ、更に同じ事を考える輩が出て来るだろう。

―――とはいえ、いきなり知らない相手と結婚って言うのはねぇ……

 と、他の方法を模索している内に一つ思いついた。

「よろしいでしょうか、閣下」

「ミュゼ殿、反対は受け付けんよ。我々にもメンツがあるのでな」



「いえ、少し提案があるんです」


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