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最終章 まさかの展開
これが読めるなら心配ない
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貴族が平民を殺しても罪にはならない。
それはこの国に生きる民の全てが、物心ついた時から言い含められていた常識だ。貴族には許可と言う形で、平民には畏怖と言う形で。
この国では未だに、平民は死ぬまで平民としてしか生きられない。
そんな彼らの生活と安全を守るために貴族があるのだ。………という概念を持つ貴族の方が多い。
しかし一部の貴族の中には、平民は貴族の為に滅私奉公するのが当たり前という意識が未だにあるのだ。
当然ルミカも、生みの親達からそれを教えられた筈だった。だが、リュドミラ侯爵子息の唯一という最強のカードを得た事で、知らず自分を常識から除外していた。
自分だけは違うと。
「やらかした後だから言うけど、今貴女がリュドミラ侯爵家で侍女見習という、実質下女待遇だったのは10日間限定だったの」
「………え?」
思いがけない打ち明け話にルミカは驚いて目を見開いた。それなら、何故……
「何故、最初に言わなかったのかって言いたげね。
言わなかった理由の一つは、貴女がどこまで状況を受け入れるかを見定める為。そしてその後、どうするのかを観察した後、貴女の処遇を再考しようと思っていたのよ。
貴女は今日までずっと、自分が令嬢待遇から打って変わって侍女見習にまで落ちたのかを考えてなかった。
―――それが残念だわ。
もしその10日間で、自分のしたやらかしに気付いて次の対処を間違えなきゃ、貴女を私の知り合いの商会に研修に行かせようと思っていたのに」
「………研修?」
「そう、研修。
肉体労働が無理でも、書類仕事なら出来ると思うから。未だに識字率が低いこの国で、基本を押さえている存在は価値があるもの。その方向で学習すれば」
と、そこでルミカはミュゼの言葉を遮った。
「私、字を見るだけで震えが来るから無理だわ!」
自分でも過去一、悲痛な声と表情だったとルミカは思った。
確かに字を書く位は出来る。でも書類仕事などして失敗したら、ますます自分が無能だと知らしめてしまうだろう。なら“病的にそれをしてはいけない障害持ち”と思わせた方が、傷は浅い。
それをミュゼ相手に使った事には屈辱が混じったが、保身の為ならやむを得ないと割り切った。
しかし……、
「へぇ~、“字を見るだけで震えが来る”。
……まぁ世の中ではそんな障害を持った人もいるけれど、貴女は違うわよね?
他の障害を理由にされたら面倒だったけど、そっちから言ってくれて良かったわ。
そんなの、これが読める位ならじゅーぶんよ」
“これ”と言ってミュゼが示した一冊の本。
片手で持てるサイズの小冊子。綺麗な装丁の中にタイトルが大きく描かれている。ルミカはその表表紙を見た途端、慌てだした。
「ど、どどどどうして、貴女がそれを」
「どうして? この本の事?」
慌てふためくルミカと、それを平然とした顔で見ているミュゼ。
ルースはミュゼの持つ本が気になり、表紙に記載された作家名を見た。いきなり現れた本が何なのか、それを見たルミカがなぜ慌てふためくのかが気になったからだ。
まず見たのはそのタイトルだ。
『傷だらけの花嫁は、美しい野獣に奪われる』
傷だらけ? 花嫁? 野獣?
今まで読んできた小説には出て来なかったワードに戸惑いつつ、次に見たのは作家名だ。
「“エー・ロマール”?」
それはこの国に生きる民の全てが、物心ついた時から言い含められていた常識だ。貴族には許可と言う形で、平民には畏怖と言う形で。
この国では未だに、平民は死ぬまで平民としてしか生きられない。
そんな彼らの生活と安全を守るために貴族があるのだ。………という概念を持つ貴族の方が多い。
しかし一部の貴族の中には、平民は貴族の為に滅私奉公するのが当たり前という意識が未だにあるのだ。
当然ルミカも、生みの親達からそれを教えられた筈だった。だが、リュドミラ侯爵子息の唯一という最強のカードを得た事で、知らず自分を常識から除外していた。
自分だけは違うと。
「やらかした後だから言うけど、今貴女がリュドミラ侯爵家で侍女見習という、実質下女待遇だったのは10日間限定だったの」
「………え?」
思いがけない打ち明け話にルミカは驚いて目を見開いた。それなら、何故……
「何故、最初に言わなかったのかって言いたげね。
言わなかった理由の一つは、貴女がどこまで状況を受け入れるかを見定める為。そしてその後、どうするのかを観察した後、貴女の処遇を再考しようと思っていたのよ。
貴女は今日までずっと、自分が令嬢待遇から打って変わって侍女見習にまで落ちたのかを考えてなかった。
―――それが残念だわ。
もしその10日間で、自分のしたやらかしに気付いて次の対処を間違えなきゃ、貴女を私の知り合いの商会に研修に行かせようと思っていたのに」
「………研修?」
「そう、研修。
肉体労働が無理でも、書類仕事なら出来ると思うから。未だに識字率が低いこの国で、基本を押さえている存在は価値があるもの。その方向で学習すれば」
と、そこでルミカはミュゼの言葉を遮った。
「私、字を見るだけで震えが来るから無理だわ!」
自分でも過去一、悲痛な声と表情だったとルミカは思った。
確かに字を書く位は出来る。でも書類仕事などして失敗したら、ますます自分が無能だと知らしめてしまうだろう。なら“病的にそれをしてはいけない障害持ち”と思わせた方が、傷は浅い。
それをミュゼ相手に使った事には屈辱が混じったが、保身の為ならやむを得ないと割り切った。
しかし……、
「へぇ~、“字を見るだけで震えが来る”。
……まぁ世の中ではそんな障害を持った人もいるけれど、貴女は違うわよね?
他の障害を理由にされたら面倒だったけど、そっちから言ってくれて良かったわ。
そんなの、これが読める位ならじゅーぶんよ」
“これ”と言ってミュゼが示した一冊の本。
片手で持てるサイズの小冊子。綺麗な装丁の中にタイトルが大きく描かれている。ルミカはその表表紙を見た途端、慌てだした。
「ど、どどどどうして、貴女がそれを」
「どうして? この本の事?」
慌てふためくルミカと、それを平然とした顔で見ているミュゼ。
ルースはミュゼの持つ本が気になり、表紙に記載された作家名を見た。いきなり現れた本が何なのか、それを見たルミカがなぜ慌てふためくのかが気になったからだ。
まず見たのはそのタイトルだ。
『傷だらけの花嫁は、美しい野獣に奪われる』
傷だらけ? 花嫁? 野獣?
今まで読んできた小説には出て来なかったワードに戸惑いつつ、次に見たのは作家名だ。
「“エー・ロマール”?」
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