63 / 66
最終章 まさかの展開
選択肢は2つ
しおりを挟む
「もう僕からは話はないよ。ルミカを外に出して」
素っ気なくルースが言うと、使用人がルミカの両腕を掴んで立たせた。そのまま引きずられるようにして出されて行く。
パタン、と扉が閉じられるまで、ルースはずっと、ルミカに背を向けたままだった。そこでやっと、ルミカの中に見捨てられたという現実が浸透する。
―――ルースが私を見放すなんて……。
終わりだ、何もかも……詰んだ。
これからは未来も希望もない、ドツボな生活が始まるんだ………。
と、絶望に浸っているルミカの後方にいるミュゼは黙ったままだった。が、
「……ねえ、サイモン」
と、傍らに立つ美男子に声をかけた。
「何でしょう、姐さん」
美男子の声は、闇にいるルミカの耳にも入ってくる。だから思わず、声のする方へ眼を向けた。
「ルミカさんの手を見て、貴男はどう思う?」
「は?」
ミュゼの言葉にルミカは咄嗟に手を隠したが、サイモンの目には入っていた様だ。
それを感じてルミカは羞恥を覚えると共に、蔑まれる予感に身を縮めていた。が、
「別に。……仕事をしてる人間の手、って思うだけです」
特に気にする様子もなく、事実だけを答えていた。それに対しルミカは肩透かしをくらったような気分になる。
この汚い手を、何故誰も嫌がらないの?
そう言えばルースも、自分のボロボロの手を握った時、イヤな顔をしなかった事に気付く。
―――劣等感を持っているのは私だけ?
さっきから今まで知らなかった、分からなかった情報が入り続け、混乱しそうになっているルミカをクールダウンするようにミュゼはコツコツと説明した。
「ルミカさん、取り合えず今晩だけ考えな。予定通り、ここで9日間下働きしてから別の場所で研修を受けるか、それとも修道院にでも入るか。
……修道院は“貴族女性の刑務所”なんて言われている分刑務所よりは過酷じゃない。粗末でも三食出るし、相部屋だけど寝床もある。ただ修行がキツイのと、奉仕活動がある時以外は外に出られない。それと……一切の娯楽が禁止されている。
私としては、下働きからの研修の方が良いと思う。残り9日間は今のやらかしもあってしんどい目に遭うだろうけど、それが終わればあんたの顔も知らない場所でのやり直し。好かれるのも嫌われるのもあんた次第だ」
「私、次第……」
それは都合が良いけど危険もある。まず、どんなところだか分からないし、そこでもうまく行かなければ同じ状況になるかも知れない。それに今まで、守ってくれた人もいないし……。
ってぐるぐる思っていたら、
「……色々不安だろうけど、それが今のあんたに出来る事だ」
つまり、多少の不満や不安があっても、それしか選べないと思った時、ルミカは諦めた思いで受け入れた。
―――それもありかも知れない、と。
そんな殊勝げな彼女の気持ちをぶち壊すように、ミュゼはニヤリと笑って付け加える。
「自分の稼いだ金で買うエロ本は違うぜぃ☆」
……だから、耽美小説なんだって!
~※~※~※~※~※~※
ハピバ、自分です♪
素っ気なくルースが言うと、使用人がルミカの両腕を掴んで立たせた。そのまま引きずられるようにして出されて行く。
パタン、と扉が閉じられるまで、ルースはずっと、ルミカに背を向けたままだった。そこでやっと、ルミカの中に見捨てられたという現実が浸透する。
―――ルースが私を見放すなんて……。
終わりだ、何もかも……詰んだ。
これからは未来も希望もない、ドツボな生活が始まるんだ………。
と、絶望に浸っているルミカの後方にいるミュゼは黙ったままだった。が、
「……ねえ、サイモン」
と、傍らに立つ美男子に声をかけた。
「何でしょう、姐さん」
美男子の声は、闇にいるルミカの耳にも入ってくる。だから思わず、声のする方へ眼を向けた。
「ルミカさんの手を見て、貴男はどう思う?」
「は?」
ミュゼの言葉にルミカは咄嗟に手を隠したが、サイモンの目には入っていた様だ。
それを感じてルミカは羞恥を覚えると共に、蔑まれる予感に身を縮めていた。が、
「別に。……仕事をしてる人間の手、って思うだけです」
特に気にする様子もなく、事実だけを答えていた。それに対しルミカは肩透かしをくらったような気分になる。
この汚い手を、何故誰も嫌がらないの?
そう言えばルースも、自分のボロボロの手を握った時、イヤな顔をしなかった事に気付く。
―――劣等感を持っているのは私だけ?
さっきから今まで知らなかった、分からなかった情報が入り続け、混乱しそうになっているルミカをクールダウンするようにミュゼはコツコツと説明した。
「ルミカさん、取り合えず今晩だけ考えな。予定通り、ここで9日間下働きしてから別の場所で研修を受けるか、それとも修道院にでも入るか。
……修道院は“貴族女性の刑務所”なんて言われている分刑務所よりは過酷じゃない。粗末でも三食出るし、相部屋だけど寝床もある。ただ修行がキツイのと、奉仕活動がある時以外は外に出られない。それと……一切の娯楽が禁止されている。
私としては、下働きからの研修の方が良いと思う。残り9日間は今のやらかしもあってしんどい目に遭うだろうけど、それが終わればあんたの顔も知らない場所でのやり直し。好かれるのも嫌われるのもあんた次第だ」
「私、次第……」
それは都合が良いけど危険もある。まず、どんなところだか分からないし、そこでもうまく行かなければ同じ状況になるかも知れない。それに今まで、守ってくれた人もいないし……。
ってぐるぐる思っていたら、
「……色々不安だろうけど、それが今のあんたに出来る事だ」
つまり、多少の不満や不安があっても、それしか選べないと思った時、ルミカは諦めた思いで受け入れた。
―――それもありかも知れない、と。
そんな殊勝げな彼女の気持ちをぶち壊すように、ミュゼはニヤリと笑って付け加える。
「自分の稼いだ金で買うエロ本は違うぜぃ☆」
……だから、耽美小説なんだって!
~※~※~※~※~※~※
ハピバ、自分です♪
48
あなたにおすすめの小説
疑惑のタッセル
翠月 瑠々奈
恋愛
今、未婚の貴族の令嬢・令息の中で、王国の騎士たちにタッセルを渡すことが流行っていた。
目当ての相手に渡すタッセル。「房飾り」とも呼ばれ、糸や紐を束ねて作られた装飾品。様々な色やデザインで形作られている。
それは、騎士団炎の隊の隊長であるフリージアの剣にもついていた。
でもそれは──?
【短編】お姉さまは愚弟を赦さない
宇水涼麻
恋愛
この国の第1王子であるザリアートが学園のダンスパーティーの席で、婚約者であるエレノアを声高に呼びつけた。
そして、テンプレのように婚約破棄を言い渡した。
すぐに了承し会場を出ようとするエレノアをザリアートが引き止める。
そこへ颯爽と3人の淑女が現れた。美しく気高く凛々しい彼女たちは何者なのか?
短編にしては長めになってしまいました。
西洋ヨーロッパ風学園ラブストーリーです。
安らかにお眠りください
くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。
※突然残酷な描写が入ります。
※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。
※小説家になろう様へも投稿しています。
ジルの身の丈
ひづき
恋愛
ジルは貴族の屋敷で働く下女だ。
身の程、相応、身の丈といった言葉を常に考えている真面目なジル。
ある日同僚が旦那様と不倫して、奥様が突然死。
同僚が後妻に収まった途端、突然解雇され、ジルは途方に暮れた。
そこに現れたのは亡くなった奥様の弟君で───
※悩んだ末取り敢えず恋愛カテゴリに入れましたが、恋愛色は薄めです。
元恋人が届けた、断りたい縁談
待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。
手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。
「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」
そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?
3歳児にも劣る淑女(笑)
章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。
男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。
その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。
カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^)
ほんの思い付きの1場面的な小噺。
王女以外の固有名詞を無くしました。
元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。
たのしい わたしの おそうしき
syarin
恋愛
ふわふわのシフォンと綺羅綺羅のビジュー。
彩りあざやかな花をたくさん。
髪は人生で一番のふわふわにして、綺羅綺羅の小さな髪飾りを沢山付けるの。
きっと、仄昏い水底で、月光浴びて天の川の様に見えるのだわ。
辛い日々が報われたと思った私は、挙式の直後に幸せの絶頂から地獄へと叩き落とされる。
けれど、こんな幸せを知ってしまってから元の辛い日々には戻れない。
だから、私は幸せの内に死ぬことを選んだ。
沢山の花と光る硝子珠を周囲に散らし、自由を満喫して幸せなお葬式を自ら執り行いながら……。
ーーーーーーーーーーーー
物語が始まらなかった物語。
ざまぁもハッピーエンドも無いです。
唐突に書きたくなって(*ノ▽ノ*)
こーゆー話が山程あって、その内の幾つかに奇跡が起きて転生令嬢とか、主人公が逞しく乗り越えたり、とかするんだなぁ……と思うような話です(  ̄ー ̄)
19日13時に最終話です。
ホトラン48位((((;゜Д゜)))ありがとうございます*。・+(人*´∀`)+・。*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる