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第3部 聖女降臨
第42話 お忍び
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無事、午前に王との謁見も終わり私は自分の書斎に戻って来た。
3日後の早朝、アウルの森の討伐に向かう。
初めての事で、今から緊張する。
「大丈夫よ、ビッチェ。私が付いているから」
私の不安が伝わり、妖精のミリアちゃんが励ましてくれる。
「ありがとう。ミリアちゃん」
「そう言えばビッチェ。出発は3日後でしょう」
「ええ、そうよ」
「私は街を見てみたいわ。だってこの世界を見たことないから」
「そうね。でも私も街を歩いたことがないし、警備も不安だわ」
「大丈夫よ、私が居るからあなたを守るわ」
「それなら心強いわ。わかった、行きましょう」
私はハンドベルを鳴らした。
「チリン、チリン!」
しばらくすると誰かが来る気配がし、ドアをノックする。
「どうぞ」
「お呼びでしょうか?」
ドアが開きメイドが2人顔を出す。
イルゼとレーナの後、『Hole of a tiger』から新しいメイドを2人雇った。
私と年が近い方が良いだろうと1歳年下だった。
「良いですか、リンリン、ランラン。私はこれから城下町の視察に行くわ。あなた達も付いてきなさい。分かりましたか」
「ですが王女様、危険です」
「大丈夫よ、あなた達も武芸の達人でしょ。それに私も自分のことぐらいは守れそうだから」
「分かりした、王女様。では着替えてまいりましょう、さすがにそのドレスでは…」
「そうね、庶民寄りの服を、誰かに借りてきてくれないかしら?」
「私の服で良ければ、お使いください。丁度、私達は王女様と背格好が同じくらいですから」
「まあ、リンリン」
「いいえ、ランランです」
「ごめんなさいね」
「良いんです、双子ですから。見分けが付きませんよね」
「そうだわ」
私はタンスからスカーフを2枚出した。
「このブルーのスカーフをリンリンに、赤いをランランにあげるわ。付けてみて」
2人それぞれにスカーフを渡した。
「まあ、素敵。2人共よく似合うわ!」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
2人は頭を下げた。
そんなに恐縮しなくてもいいのに。
「こちらこそ、ごめんね。2人が分かるように目印を付けたんだもの、気を悪くしないでね」
「いえ、そんなことはありません」
「では、お着替えを持って参ります」
2人は部屋を出て行った。
しばらくすると2人が戻って来た。
「お待たせいたしました、ビッチェ王女様。私達2人の服を色々、探してみましたがこんな物しかございませんでした」
リンリンにそう言って見せられたのが、朱色のタイトなワンピース型のドレスだった。
そしてリンリン、ランランも、メイド服から私服に着替えている。
「まあ、シンプルで素敵だわ。それに着やすそうね」
「はい、貴族の方の服は紐止めが多く、1人では着ることが出来ません。ですが庶民は1人で着ないといけませんから着やすく出来ております」
「それは効率的で良いわ。私の服もそうしようかしら」
「そうなると私達、侍女の仕事が無くなってしまいます」
「主人の手間が無くなると、メイドの仕事が減るという事ね。難しい話だわ」
そして私は着方を教わり、1人で初めて服を着た。
貴族の服は後ろ側で紐止めする事が多く、1人では着られない。
そのため毎朝起きると侍女に手伝ってもらいながら、服を着替えることがあたり前だと思っていたわ。
でも1人で着替えることが出来る服にすれば、その分の労力を他に回すことが出来るわ。
まあ、それは今後の課題ね。
え?
何を私は考えているのかしら?
私は何の権限も無い王女。
だからこうして、足掻いているのに。
国の事を考える立場でもなく、余裕もないのに。
さあ、着替え終わったわ。
「それから王女様。多少は装飾品を、身に付けることをお勧めいたします」
「どうしてかしら?」
「そうすれば、どこかの下級貴族の令嬢と見えるでしょう」
「わかったわ。そうしましょう」
ランランに言われるまま、私は小ぶりな指輪とネックレスを身に付けた。
そして何か購入した時のために、入物として小さいポーチを首から下げた。
城の中にいるとお金を使うことはまず無い。
支払うことがあっても、国からお金が出て直接、自分で払うことは無い。
でも今日は初めて買い物をする為に、自分のお財布を手に持った。
「それから町に降りたら私の事は、お嬢様と呼んでね」
「「 わかりました!! 」」
「いきましょうか、2人共」
「「 はい、ビッチェ王女様!! 」」
そこはお嬢様でしょ?!
私達は城を出た。
出る時に門番に身分証の代わりになるメダルを見せる。
メダルには紋章や名前が彫ってあり、出入りの際に見せるようになっている。
そして門番はその出入りの記録を、付けておく。
見た目だけでは爵位が分からないから、良い案だと思うわ。
私も城下町には初めて行くから、ドキドキする。
初めてのお出かけね。
3日後の早朝、アウルの森の討伐に向かう。
初めての事で、今から緊張する。
「大丈夫よ、ビッチェ。私が付いているから」
私の不安が伝わり、妖精のミリアちゃんが励ましてくれる。
「ありがとう。ミリアちゃん」
「そう言えばビッチェ。出発は3日後でしょう」
「ええ、そうよ」
「私は街を見てみたいわ。だってこの世界を見たことないから」
「そうね。でも私も街を歩いたことがないし、警備も不安だわ」
「大丈夫よ、私が居るからあなたを守るわ」
「それなら心強いわ。わかった、行きましょう」
私はハンドベルを鳴らした。
「チリン、チリン!」
しばらくすると誰かが来る気配がし、ドアをノックする。
「どうぞ」
「お呼びでしょうか?」
ドアが開きメイドが2人顔を出す。
イルゼとレーナの後、『Hole of a tiger』から新しいメイドを2人雇った。
私と年が近い方が良いだろうと1歳年下だった。
「良いですか、リンリン、ランラン。私はこれから城下町の視察に行くわ。あなた達も付いてきなさい。分かりましたか」
「ですが王女様、危険です」
「大丈夫よ、あなた達も武芸の達人でしょ。それに私も自分のことぐらいは守れそうだから」
「分かりした、王女様。では着替えてまいりましょう、さすがにそのドレスでは…」
「そうね、庶民寄りの服を、誰かに借りてきてくれないかしら?」
「私の服で良ければ、お使いください。丁度、私達は王女様と背格好が同じくらいですから」
「まあ、リンリン」
「いいえ、ランランです」
「ごめんなさいね」
「良いんです、双子ですから。見分けが付きませんよね」
「そうだわ」
私はタンスからスカーフを2枚出した。
「このブルーのスカーフをリンリンに、赤いをランランにあげるわ。付けてみて」
2人それぞれにスカーフを渡した。
「まあ、素敵。2人共よく似合うわ!」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
2人は頭を下げた。
そんなに恐縮しなくてもいいのに。
「こちらこそ、ごめんね。2人が分かるように目印を付けたんだもの、気を悪くしないでね」
「いえ、そんなことはありません」
「では、お着替えを持って参ります」
2人は部屋を出て行った。
しばらくすると2人が戻って来た。
「お待たせいたしました、ビッチェ王女様。私達2人の服を色々、探してみましたがこんな物しかございませんでした」
リンリンにそう言って見せられたのが、朱色のタイトなワンピース型のドレスだった。
そしてリンリン、ランランも、メイド服から私服に着替えている。
「まあ、シンプルで素敵だわ。それに着やすそうね」
「はい、貴族の方の服は紐止めが多く、1人では着ることが出来ません。ですが庶民は1人で着ないといけませんから着やすく出来ております」
「それは効率的で良いわ。私の服もそうしようかしら」
「そうなると私達、侍女の仕事が無くなってしまいます」
「主人の手間が無くなると、メイドの仕事が減るという事ね。難しい話だわ」
そして私は着方を教わり、1人で初めて服を着た。
貴族の服は後ろ側で紐止めする事が多く、1人では着られない。
そのため毎朝起きると侍女に手伝ってもらいながら、服を着替えることがあたり前だと思っていたわ。
でも1人で着替えることが出来る服にすれば、その分の労力を他に回すことが出来るわ。
まあ、それは今後の課題ね。
え?
何を私は考えているのかしら?
私は何の権限も無い王女。
だからこうして、足掻いているのに。
国の事を考える立場でもなく、余裕もないのに。
さあ、着替え終わったわ。
「それから王女様。多少は装飾品を、身に付けることをお勧めいたします」
「どうしてかしら?」
「そうすれば、どこかの下級貴族の令嬢と見えるでしょう」
「わかったわ。そうしましょう」
ランランに言われるまま、私は小ぶりな指輪とネックレスを身に付けた。
そして何か購入した時のために、入物として小さいポーチを首から下げた。
城の中にいるとお金を使うことはまず無い。
支払うことがあっても、国からお金が出て直接、自分で払うことは無い。
でも今日は初めて買い物をする為に、自分のお財布を手に持った。
「それから町に降りたら私の事は、お嬢様と呼んでね」
「「 わかりました!! 」」
「いきましょうか、2人共」
「「 はい、ビッチェ王女様!! 」」
そこはお嬢様でしょ?!
私達は城を出た。
出る時に門番に身分証の代わりになるメダルを見せる。
メダルには紋章や名前が彫ってあり、出入りの際に見せるようになっている。
そして門番はその出入りの記録を、付けておく。
見た目だけでは爵位が分からないから、良い案だと思うわ。
私も城下町には初めて行くから、ドキドキする。
初めてのお出かけね。
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