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第1章 始まりの物語

第4話 ブラッディベア

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 大きな音が辺りに響き木々を倒して、ブラッディベアが私の目の前を飛んでいく。
 するとどこからか幼児のような、幼い声が聞こえた。

『呼ばれて飛びでて…ジャ…、ジャ…、ジャガ、ジャガリコ…』

「……………………………。」

 辺りを見渡すと私の頭上より高いところに、なにかが浮いていた。
 それは赤いマントと中折れ帽を被ったリス、いいえモモンガだった。
 まさか、そんな?!
 この子が助けてくれたの?

 私の目の前で両手両足の「皮膜」を精いっぱい広げて空中に止まっている。
 下から見上げるとその姿はまるで『空飛ぶハンカチ』だった。


『プシュプシュ、キュッキュッ』
 モモンガが私の目の前に降りてきた。
 まるで私に話しかけるように。

『キュッキュッ、キュッキュッ』

 この子が助けてくれたのね。
 そうとしか考えられない。
 なぜならイキナリ、ブラッディベアが吹き飛ぶわけがないから。

 グルルルル…。

 いけない。
 ブラッディベアが首を振り立ち上がる。

チッ、カチカチ、カチカチちっ しつこいやつだ
 私にはモモンガが舌打ちをして、そう呟いたように聞こえた。

 するとモモンガはブラッディベアのところまで降りた。
 そしてなんと、パンチの連打を浴びせ始めたの!!

「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!
 「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!
  「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!
  「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!
 「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!

チチチアチャ~キュッキュッアチャチャチャチチチアチャ~

 目で追えないくらい速さで、小さい拳が振り上げられる。
 か細い小さな腕のはずなのに、それに打撃音が凄い。

 この子が高位の魔物なら私では勝てない。

 そして魔物はすべも無く…。

キュッキュッ、お前はもうチチチ

〈〈〈〈〈 アペシッ!! 〉〉〉〉〉

 ドサッ!!

 最後に魔物はそう鳴くと倒れた。

 私はなにを見ているのかしら?
 突然、赤いマントと中折れ帽を被ったモモンガが現れ、ブラッディベアをフルボッコにした。
 それだけでも信じられ無いのに…。
 モモンガは私の目の前に降りてきてこう言ったように聞こえた。

プシュプシュプツプツ、キュッキュッお怪我がありませんか? お嬢さん

 確かにそう言ったように聞こえたから…。
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