処刑回避のため、頂点を目指しますわ!

まなま

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32 お久しぶりが細いのですわ!

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「お久しぶりです、レギーナ姫!」

「本当にお久しぶりですわね。最後に師団長様にお会いしたのは魔法のご指南いただいた時ですから…」

「1年6ヶ月と18日前ですね!」


………………………………?


「あ、あら。師団長様ったら冗談がお上手ですのね!」

「冗談?自分は冗談なんて言いません。正確には1年6ヶ月18日前の14時34分にご挨拶をして以来です。本当にお久しぶりです!」


…………………………………??


「あ…ごめんなさい。わたくしあまり記憶力がいい方ではなくて…。師団長様は記憶力もよろしいんですのね!」

「お褒めいただき光栄です!でも他のことはそうでもないんですけどね。しかし……本当に大きくなられましたね…。あの時はまだお小さくて…身長は124センチ、体重は72.4キロで…まぁ、横は今より大きかったですかね?」


…………………………………???


「あ、でもあまり変わらないところもありますね!当時のスリーサイズの上だけ…」

「はい、アウト―――――――――!!!」


親指を立ててわたくしと師団長様の間に滑り込んできたヤーナ。素早いですわ!?

そして気付けばわたくしの隣にはオレグ様が。

なっ?なぜ急にわたくしの腰を抱いて…?

そしてなぜかしら…笑顔が怖いですわ……?


「…………師団長様。お初にお目にかかります。レーナののオレグ・ガルロノフと申します」

「ああ!ガルロノフ公爵家の!自分は王立魔導師団長をしております、アナトリー・インギスと申します」

「インギス子爵家の…」

「はい!インギス子爵家の三男です。しかしよくご存知ですね!あんな田舎の小さな家門まで…」

「レーナに関わる可能性のある男はみな覚えていますよ」

「………なるほどです」


何がなるほどです??


アナトリー師団長様。

緑の髪と赤い瞳を持つイケメンさんなのですわ!

魔法の技能も知識もずば抜けているため、若くして王立魔導師団長に抜擢された凄い方なのですわ!

そしてわたくしなんかと最後に会った日をも覚えている、記憶力も大変素晴らしい方なのですわ!さすがですわ!


「レーナ。最後に会った日を、しかも時間まで覚えてるなんて異常だからね?分かってる?」

「レギーナ姫!そんなことよりも!!!」

「そんなことってあんた………」

「レギーナ姫のま…魔法が!開花したと聞きました!しかもレア属性らしいですね!?ど…どんな魔法でしたか?魔法が出た瞬間の感覚は?発動したきっかけは!?魔法が発動したから痩せたと聞きましたが…あぁ!どういった因果関係があるんでしょう!?もう一度発動して、自分に見せてもらうことはできますか!?」

「…………聞けよ」

「あ、あの…落ち着いてくださいませ………」

「落ち着いてなんていられません!レア属性の魔法ですよ!?伝説級です!自分が生きてるうちに見られるだなんて………感動です!万感胸に迫る思いです…!」

「いえ、あの……それはようございましたわ?と、とりあえずお茶の用意をいたしますわ。どうぞお座りくださいませ」

「はいっ!失礼します!」


どうやら師団長様はなかなかの魔法バカのようですわ!

目がキラキラと輝いていますわ!

純粋で…年上ですが、少年のようですわね。


「ふふっ。魔法のことを話すときの師団長様の目はルビーよりもキラキラしていて綺麗ですわね!」


何気なく言えば、師団長様は懐かしそうに、眩しいものでも見るかのように、わたくしを優しく見つめてきましたわ。


「…………昔もそう言ってくれましたね。自分の目を綺麗だ、と。そんなことを言ってくださるのはレギーナ姫くらいです。レギーナ姫は自分の赤い目が気持ち悪くないんですか?」

「気持悪い?何故ですの?」

「赤い目は魔物と同じ色ですから」

「あぁ……なるほど」


わたくしはあまり外部の人と話をしませんから分かりかねますが、師団長様の話から察するに、きっと赤い瞳は忌諱される色なのでしょう。

魔物と同じ色で、しかも滅多にない色。

もしかしたら…師団長様はこの瞳の色のせいで嫌な思いをたくさんしてきたのかもしれませんわ。


「昔、前髪が長かったのは……そういった理由ですの?」

「そうです。出来るだけ見えないように、と」


今日久しぶりにお会いして、珍しい緑の髪と赤い瞳だったのでこの方が師団長様だと気付けはしましたが…本当は一瞬、誰だか分からなかったのですわ。

だって昔は前髪が長くて目もほとんど見えず、猫背で少し暗い印象でしたから…。

でも今日の師団長様は前髪もさっぱりしていて背筋もピンとしていますし、何より終始にこやかですわ。


わたくしは師団長様の前髪にそっと触れると、自然と口角が上がるのを感じましたわ。


「今はもう、気になりませんのね?」

「えぇ、レギーナ姫のおかげです」

「?」

「レギーナ姫が自分の目を綺麗だ、と言ってくれたので…それ以来気にならなくなりました。ありがとうございました」

「それは良かったですわ!でも、わたくしは本当のことを言っただけですもの。感謝されることではございませんわ」

「それでも自分は感謝しているんです。さり気ない言葉だったからこそ、ありがたかったのです」


ほんわかと師団長様と微笑み合っていると…


「ふぁっ?」


いきなり視界が真っ暗に!?

って…手で目を覆われてる!?


「ダメだよ、余所見しちゃ」

「ひゃあっ!?」


オ…オレグ様!耳元…っ!吐息がっ!?


「僕だけを見て?」

「~~~~!?」

「やりますね……………」


師団長様!何が!?


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