ありがちな異世界での過ごし方

nami

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第6話 三大竜【大地の覇竜編】

7 山小屋での一夜

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「そろそろ日が暮れるな。どこか夜が明かせる場所を探さねえと」

 ケンユウさんは空を見上げて言った。夜行性の魔物は昼間活動する奴らより、凶暴で危険なのだそうだ。

 程なくして、首尾良く山小屋を発見した。
 誰も使ってない上に、さらに運が良いことにベッドが二つ置いてある。
 山を歩いてきた時に調達した食材を調理し、簡単な夕食を摂った。
 食事が終わり、男性陣は殺人竜対策のための会議、女性陣は後片付けをする。

「ユウコちゃん、大丈夫?」

 疲労が顔に出ているのだろうか。ノイアさんはお皿を洗いながら訊いてきた。

「大丈夫ですよ」

「そう。でも無理はしないでね」

「はい。……今さらですけど、ちょっと意外でしたね。私、竜滅士ってもっと怖そうな人を想像してました」

 私はケンユウさんをちら見して言った。

「ふふ、そうね」

「怖そうどころか、あの人けっこうカッコイイと思いません?」

「あらぁユウコちゃん、彼みたいなのが好み?」

 ノイアさんはイタズラっぽい笑みで訊き返してきた。

「あ、いや、好みってワケじゃ……」

 途端に恥ずかしくなって否定する。

「んもう、照れない照れない♪」

「ちょっ、からかわないでくださいよ~!」

 ムキになって否定していると、

「お前、本当に多情な奴だな。ケンスケ、ロートレックの次はケンユウか? あんな野蛮な面構えの男も好みとは。お前の守備範囲は相当広いんだな」

 会議に参加していたはずのアレックスがいつの間にか私の横に来て、嫌味ったらしく毒づいてきた。

「違うってば! っつーか、あんたまだ健介くんのこと覚えてたの!? 超しつこいんだけどッ! さっさと忘れろって言ってんじゃん! ってか、サボってないで早く会議に戻りなよ!」

「もう終わった」

 アレックスは一言そう答えると、煙草を吸いに外へ行ってしまった。
 なんなのあいつ!? 女子の会話をまさかの盗み聞き!? うわ最低っ! ってか、空気も読まずにガールズトークの邪魔すんなや、ウラっ!

「デザートどうぞ」

 クリンちゃんが黄金こがねリンゴを盛った皿をテーブルに置いた。

「お、それじゃお言葉に甘えて」

 ケンユウさんが手を伸ばす。

「ねーねー、どうしてケンユウさんは、りゅーめつしになったの? すっごく危ないお仕事なんでしょ?」

 唐突にクリンちゃんが訊ねる。

「ん? そうだな……、強くなりたいから、かねえ。早く確実に強くなるには強い奴と戦うのが一番だ。んで、その強い奴ってのがドラゴンだったってわけだ」

「ふ~ん、そうなんだぁ」

「暑苦しい奴だ。お前、まさに戦うことを生き甲斐とする、典型的な戦闘馬鹿だな」

 アレックスが戻ってくるなり、失礼な台詞で横槍を入れる。

「なんだよいきなり。今まで外に居たくせによ。あんた、相当な地獄耳の持ち主なんだな」

「お前の声が必要以上に大きいだけだ」

「必要以上にデカくて悪かったな。さて、明日に備えて今日は早めに休もうぜ。明日はいよいよ殺人竜と御対面だしな」

 ケンユウさんの言葉に従い、私達は早めに就寝することにした。
 いよいよドラゴンを見ることができるのか。私は緊張して、なかなか寝付くことができなかった。
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