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9話 錫杖の音
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ジレンマはタバコの煙を眺め
思い出しながら数日前の記憶を話するエイト。
「エイトくん無理しないでいいからね💦」
「問題ねぇ、どこまで話したっけか。。。」
「村に着いたところまでだよ」
「あっそうか、ここからの出来事は。。。少し鳴海から聞いた話も含めて話すよ」
——————-
俺たちは村の集会所の前に着いた。
「カメラ回すからちょっとどいてくれ」
田中さんはさっさと撮影の準備を始めていた。
集会所は木造の平家でまだ他の民家より朽ち果ててなく建物としての形は残っていた。
(ガラガラガラ)
扉を開け「失礼します」と一礼をして鳴海が中に入った。
入り口には大きな時計があり、3時あたりで止まっている、隣にあるカレンダーは1987年8月のカレンダーだ。
肝試しで人の出入りがあったのか、床には足跡もあれば、中の家具などが倒され物が散乱していた。
真夏の15時だが、建物の中は薄暗く手持ちのライトをつけた。
大広間は畳20畳くらいの広さで折りたたみの長テーブルや座布団が重ねられていた。
「掃除をすればロケ中はここの建物をスタッフや役者さんの控え室に使えそうですね」
鳴海はメモや写真をとり建物に危険がないか確認する。
「あれ、ライトの灯りが」
俺のライトが消えてしまった。続いて鳴海のライトも消えてしまった。
思った以上にライトがないと室内は暗い。
「今朝まで充電したのにおかしいですね」
「車にまだ予備があるから持ってくるよ」
鳴海を中に残し俺はバンへ予備のライトを取りに向かった。
(ザァー)
雨音と共に冷たい風が室内に入り込む。
「なんだなんだ雨かよ」
玄関に向かい扉を開けると、急に雨音が止んだ。。。そもそも勘違い?
空は怪しい雲でかげっているが何かおかしい。
「あれ、地面が濡れてない」
「エイトくん、なんか聞こえないか?」
外で撮影中の田中さんがヘッドホンをずらしてそう言った。
「ん?なんも聞こえないっすよ」
何かを感じたのか中にいた鳴海も外に出てきた。
「鈴の音?」
田中さんにはそう聞こえるのか。
「錫杖じゃないですか?」鳴海はそういった。
「錫杖?」
「遊行僧が持っている杖ですよ」
鳴海がエイトの質問に答える。
(シャンシャン シャンシャン)
(シャンシャン シャンシャン)
耳を澄ますと僅かだが確かに四方から音がする。
「なんか線香くさくないか?」
田中さんの言うとおり線香の香りもする。
しかしお香の煙や人気はない。
「なんかおかしいよここ、今日はもう切り上げようぜ」
いつになく取り乱しながら
田中さんがバンのスライドドアを開け機材をしまいこむ。
次第に音が大きくなっていく。
(シャンシャン シャンシャン)
(シャンシャン シャンシャン)
厚い雲が太陽を遮りあたりが鬱蒼と暗くなる。
鳴海が口を手で覆い、森の方を指差す。
「どうした⁉️」
俺は鳴海が指差す方を見ようと体を向ける。
(ドタっ)
そのまま、三半規管をやられちまったように俺は地面に倒れ込み、意識を失った。
まるでカウンターパンチを食らったようだった。
思い出しながら数日前の記憶を話するエイト。
「エイトくん無理しないでいいからね💦」
「問題ねぇ、どこまで話したっけか。。。」
「村に着いたところまでだよ」
「あっそうか、ここからの出来事は。。。少し鳴海から聞いた話も含めて話すよ」
——————-
俺たちは村の集会所の前に着いた。
「カメラ回すからちょっとどいてくれ」
田中さんはさっさと撮影の準備を始めていた。
集会所は木造の平家でまだ他の民家より朽ち果ててなく建物としての形は残っていた。
(ガラガラガラ)
扉を開け「失礼します」と一礼をして鳴海が中に入った。
入り口には大きな時計があり、3時あたりで止まっている、隣にあるカレンダーは1987年8月のカレンダーだ。
肝試しで人の出入りがあったのか、床には足跡もあれば、中の家具などが倒され物が散乱していた。
真夏の15時だが、建物の中は薄暗く手持ちのライトをつけた。
大広間は畳20畳くらいの広さで折りたたみの長テーブルや座布団が重ねられていた。
「掃除をすればロケ中はここの建物をスタッフや役者さんの控え室に使えそうですね」
鳴海はメモや写真をとり建物に危険がないか確認する。
「あれ、ライトの灯りが」
俺のライトが消えてしまった。続いて鳴海のライトも消えてしまった。
思った以上にライトがないと室内は暗い。
「今朝まで充電したのにおかしいですね」
「車にまだ予備があるから持ってくるよ」
鳴海を中に残し俺はバンへ予備のライトを取りに向かった。
(ザァー)
雨音と共に冷たい風が室内に入り込む。
「なんだなんだ雨かよ」
玄関に向かい扉を開けると、急に雨音が止んだ。。。そもそも勘違い?
空は怪しい雲でかげっているが何かおかしい。
「あれ、地面が濡れてない」
「エイトくん、なんか聞こえないか?」
外で撮影中の田中さんがヘッドホンをずらしてそう言った。
「ん?なんも聞こえないっすよ」
何かを感じたのか中にいた鳴海も外に出てきた。
「鈴の音?」
田中さんにはそう聞こえるのか。
「錫杖じゃないですか?」鳴海はそういった。
「錫杖?」
「遊行僧が持っている杖ですよ」
鳴海がエイトの質問に答える。
(シャンシャン シャンシャン)
(シャンシャン シャンシャン)
耳を澄ますと僅かだが確かに四方から音がする。
「なんか線香くさくないか?」
田中さんの言うとおり線香の香りもする。
しかしお香の煙や人気はない。
「なんかおかしいよここ、今日はもう切り上げようぜ」
いつになく取り乱しながら
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次第に音が大きくなっていく。
(シャンシャン シャンシャン)
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厚い雲が太陽を遮りあたりが鬱蒼と暗くなる。
鳴海が口を手で覆い、森の方を指差す。
「どうした⁉️」
俺は鳴海が指差す方を見ようと体を向ける。
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まるでカウンターパンチを食らったようだった。
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