噛み痕をフライパンで焼いてツガイと別れてやりました

夜鳥すぱり

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 結局、昴の家にそのままお世話になることにして、ご飯までちゃっかり貰って、更には昴のベットを占領して図々しくも感じたが、もはや、投げ槍になってる僕は、昴が優しいので、その好意の上に堂々と胡座をかくことにした。

「もういい、昴んち、しばらく泊めて」
「家に帰らなくて良いの?」
「あぁ、予定有ったのに急に無くなったら、余計心配するだろ、親ってさ、子供が上手くやれてないって解った途端、神経質に自分を責めたりするんだよ、お前にはわからんかもしれんが、そういうもんなの、上手くやれてるふりを子供はいつだってしてるんだよ」

 人様のベットに寝転がりながら、世の親の心配事を昴に聞かせてあげる。お前みたいに悠々自適に暮らしてるやつの方が珍しいんだぞ。

「つまり飛羽君はそういうのが鬱陶しいと」

「お前って鋭いなぁ」

 管理されてるみたいで、鬱陶しいと心の片隅でずっと思ってた。もちろん育てて貰った恩はある、親が嫌いな訳でもない。感謝の方がずっとでかい。心配されなかったらされなかったで、拗ねるだろうし、一番であって欲しいのに、様子を探られるのは、息苦しいんだよな。つらいとか、悲しいとか見せられないのって、苦しい。ずっと演技じゃないけど、上手くやれてるふりをし続けて生きてきた。少しでも弱ったところをみたら、悲しまれるなんてそんなの、嫌すぎるだろ。
 僕が僕の考えで解決することを、先に心配されるのは嫌なのだ。それがどんなに思いやりにあふれていたとしても、僕は僕の力で道を選びたいから。

「僕は僕で、親のものじゃないんだよね、ま、確かに僕みたいな美少年を子供に持ってたら、心配もするのは解るけど」

 僕がそう言うと、昴はくすっと笑った。なんとも王子様然とした優雅な笑みだこと。

「そうだね、飛羽君は凄く可愛いらしいものね、帰ってこなかったら心配するよ」

「だろ? お前みたいなイケメンでも、僕が美少年って解るのに、世の中謎が多いわ」

 はーーっと、ため息を吐くと、昴は、またその端整な顔をこてりと横に向けた。

「謎?」

「僕ね、ついさっき人を殺してきたんだ、って言ったらだうする?」

 ベットの上で、コロンとうつ伏せに転げて、両手の上に顔を置いた。足をバタバタさせながら、昴に問いかける。

 実際には僕の中から先輩を消して、人格否定してきた訳だけど、昴は、その穏やかな瞳で、じーっと僕を見つめて考えてる。こんな美少年の僕に殺されるなら良かったねって思う? フフンと得意気な顔をしてやったら、しかし、昴は面白い事を言った。

「殺す程の人だった?」
「え?」
「殺したら飛羽君の人生がだいぶ変わるけど、そうなっても良いと思えるような人だった?」

 その問いは、僕の荒んだ心にすとんと、何かの答えを落とす。僕の人生を変えて良いほどの事だっただろうか。

「いや……全然」
「なら、殺さなくて良かったね」

 にっこりと笑った昴に、少しだけゾッとした。価値のない人間に人生をかけなくてよかったねと笑うその冷たい笑顔は妙に美しかった。

「お前、案外、肝が据わってるな」
「よく言われる」

「は、流石、全国一位様だ、そうじゃなきゃ勝てないってか」
「関係ないよ、ずっと続けていれば誰だって勝てる時も負ける時もある、僕は人より躊躇わないから、勝てる要因があるとしたら、そこかもしれないね」

 こんなに優しい昴が、人を負かす時、躊躇わないと言うのは本当だろうか。虫も殺さないような善人の顔をしてずいぶん、釣り合わない事を言う。でもなんでも良い、僕にさえ優しければ、何でもいいや。

 僕は、またゴロンと今度は仰向けに転がって、目を閉じた。












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