噛み痕をフライパンで焼いてツガイと別れてやりました

夜鳥すぱり

文字の大きさ
7 / 46

7

しおりを挟む
 強いなんて言われたこと無い、飛羽とばねは弱くて可愛いから俺が守ってあげるねって、だいたいのアルファはそう言うし。でもまって、僕、そういえばさっき、学園の頂点みたいだったアルファを、ちびらせて、別れを告げてこなかった?

 《あれ? 僕、本当に弱い? 晴海先輩に、ダサとか捨て台詞吐いてこなかったっけ、弱いヤツにそんなことできる?》

「アーーーうん、ま、まぁ、僕、強いかもね、さっきも、実はさ、バスケ部のエースだった人にダサいとか言っちゃったし? よ、弱くはないか、可愛げもないけど」

「飛羽は可愛いよ」

 しれっとした顔で、昴は人に可愛いなんて言うんだから僕はちょっと動揺した。

「ファッ!? 可愛いと強いは同居しないだろ、反対語だろ」

「反対語って……ふふっ、可愛い」

「なっ、なん、なにを」

 真っ赤になってしまって、悔しくて昴を睨むけど、ちっとも怯まないじゃないか。なんなんだよ、こいつ。

「お前、あんまり、いくら僕がオメガだからって、その気も無いのに可愛いとか言ったらだめなんだぞ」

「その気か、うーん、なんか喋ってるうちに段々、飛羽のこと愛着沸いてきたな、妙に可愛いいし、困ったね、どうしようか」

 どうしようかって、何だよ、どうするんだよ、はっきりしろよ、アルファだろ。ここは、僕が決めないとか!? え?、決めるって何を……もしかして僕に決定権くれるのか?、そっちが、良いなら僕だって強気になるぞ、言うだけならタダだし。

「よし、解った、昴は僕と付き合おう、悪いようにはしない、もし本当に他に好きな人ができたら、後腐れなく別れてやるし……でも、そういう時は、ちゃんと、その、二股とかかけるまえに言わないとだめだかんな、昴は大丈夫だと思うけど、ほら、心が違う人を求めても、僕が美少年だからもったいなくてずるずるしちゃうって有りがちというか、でもさ、そういうの、僕に対して失礼だろ、失礼だと思わない? そんなことも配慮できない、くら、い、僕が、嫌いだったの、かな、好きって、あっちが先に言ったのに」

 あ、やばい、何か変なこと喋ってる、ちがう、昴に晴海先輩の愚痴を言いたいんじゃなくて、僕が付き合ったらどんなに有意義かを言いたいのに。

「ちがっ、ごめ、ウッ、ウァ」

 どうして涙なんか出てくるんだ、そんな場面じゃなかったのに、違うぞ、昴、ちょっと待ってくれ、いま、気持ちを整理するから。

 涙を必死でふいてたら、昴がそっと、その長い指で僕の涙をすくいとってくれた。昴の指に水滴がつく。

「あ、ごめ、汚な……」
「汚なくないよ、綺麗な涙、飛羽の瞳から出た涙だから」

 昴はそういうと、ペロッと指先についた水滴をなめた。

「あっ、なっ、なにして」
「おいし」

 こいつ、俺の涙を舐めた!!  あまりの衝撃でうごけなくなる。顔に血がたまっていく。怒りとも恥ずかしさとも違う、本当にただ、驚いてしまって。咄嗟にその指を掴んだ。

「ばかっ、なめるな」
「だって、綺麗だったから、おいしいかなって、飛羽の味」

「ファぁっ!?」

 え、何こいつ、エロくない!?  は? 味とか、なに!? 掴んでる指がくいっと動いて、逆に昴に手を掴まれた。しまった、動けない。急に空気が切り替わったような気がした。ぞわぞわと、背筋が波立つような、そんな空気。こいつは、危険だと、本能が叫び出す。

「あの、昴、は、離そうか」
「なんで? 飛羽、僕と付き合ってくれるんでしょ?」
「そうなんだ……けどさ、え? 付き合うの?」

 ぎょっとして、昴を見ると、昴は少しだけ意外そうな顔をした。

「飛羽が言ったんじゃないか、ダメなの?」
「ダメじゃないよ、全然、ダメじゃない、えっと、あの、でも、さっき」

 お前、さっき、僕には性的興奮しないって言わなかったっけ? おどおどと、キョドった態度を取ってしまう自分に腹が立つ。もっと高圧的に強い口調で言えたら良いのに、根本でどうしていつもひよっちゃうのか。どうしても、アルファに対して、恐さみたいなのがいつもある。打ち勝ちたい、いちいち卑屈に、おどおどしたくないのに。




















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました 2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。 様々な形での応援ありがとうございます!

処理中です...