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32 それぞれの想い
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東の宮に行くと、何やら扉の中で騒いでる声がする、不審に思って、ラクロア様を見ると、ラクロア様も、眉をよせてる。
「何かあったのかな?」
「エクシルと、エクリーヌの声だな」
扉の中へ入ると、二人はハッとこちらを見た。王様が、真っ赤な顔で、僕たちをみて叫んだ。
「とにかく、私は認めないことにしたんだ」
「エクシルっ、いい加減になさい!!」
エクリーヌが、本気で怒ってる。王様も涙目だ。
「どうした?何を揉めてる」
「エクシルが、貴方達の婚約を認めないって言うのよ」
「なんだって?エクシルどういう事だ?」
ラクロア様が、エクシルに問うと、エクシル王は、自分の緋色のマントを握りしめながら、キッとラクロア様を睨んだ。
「私はこの婚約はおかしいと思う、だから認めない」
「何がおかしいと思うんだ?」
「だって、ユリスはラクロア伯父様に恋してないっていうんだ」
「恋!?あ、あぁ、まぁ、それは……そうだろうが」
「恋してないのに結婚なんかしたら、ユリスが可哀想だろ!!だから、ユリスがちゃんとラクロア伯父様に恋をするまで認めないっ!!」
そう言われてしまうと、ラクロアは困ってしまった。確かに自分達の間には恋愛感情はない。そんなもの飛び越えてかけがえがない存在になってしまっているからだ。
「ユリスを王立騎士学校へ入れて見聞を広めて、それでもまだ伯父上と結婚したいというなら、認めます、こんな小さいのに、屋敷に閉じ込めて他の選択肢をうばって、結婚なんて、私は認めない」
「なるほど、エクシルの言い分はもっともだ、ユリスの将来を考えてくれたんだな、ありがとう」
ラクロアは、この甥っ子がそこまでニャリスのために考えてくれたことを嬉しく思った。
だがしかし、当のニャリスは……。
「僕は学校なんか行きたくないの、絶対やなの!!」
これだ。王は、人としてのもっともな権利を主張しているわけだが、ニャリスは、なんせ猫だ。人が多いところが苦手だし、子供が苦手だし、勉強もダンスもしきたりも嫌いだ。あと好き嫌いも多い。そんなのが、全寮制の学校へなど……無理ではなかろうか。
「王様がそんな意地悪するなんて、ひどい!!」
止める間もなくニャリスがはっきりと言ってしまったので、ラクロアはアーーーと目頭を押さえた。エクシルは、ぐっと歯をくいしばって、羽織っていた緋色のマントをとってバンと床に投げつけた。
「お前の為に言ったのに!!馬鹿っ!!」
そう言うと、エクシル王は部屋から走って出ていってしまった。あわててエクリーヌが追いかける。
「エクシル何処へ行くの、戻りなさい」
廊下でエクリーヌ様の声が木霊する。部屋に取り残された僕とラクロア様はお互いの顔をみた。ラクロア様は、苦笑いして、王様が落とした緋色のマントを拾い、そっと椅子にかけた。
「困ったやつだな、直情型だ。あいつの……良いところでもあるが、もう少し腹芸を覚えないと」
「僕、学校行きたくない、ね?行かなくていいよね?」
「エクシルの言い分は解らなくもないんだ、お前はもう猫じゃないし……俺はニャリスが幸せなら身を引く覚悟もある、お前の視野が狭いのは確かだし、学校は嫌でも、もう少し婚約はお前が育ってからの方が良いのかもしれない」
「育つってなに!?僕はもう大人だよ、13だよ?」
「ニャリス、13は人間だとまだ子供なんだ」
「僕は人間じゃないよ」
「今は人間だろう?」
「でも、僕はただラクロア様のそばで暮らしたいだけなのに、どうして駄目なの」
「駄目じゃない、ただ、お前がこれから悩まないと良いと思っただけだ、一度婚約してしまえば、余程の事がないかぎり後戻りできなくなるから、王もお前を思ってのことだ」
「後戻りってなに?僕はずっとラクロア様だけなのに、なんで悩む必要があるの、今の方が苦しいよ、僕もうやだ、お屋敷に帰りたい」
あーんと、泣き出してしまったニャリスを慌ててラクロアは抱っこした。
「わ、わるかった、泣かないでくれ」
「だって、まるでラクロア様が僕から離れたいみたいに聞こえるよ」
「そんなわけないだろ、どうしたらお前が幸せになるかだけをいつも考えてるよ」
ニャリスは、金色の涙目で、ラクロアをじっと見つめた。
「簡単だよ、そばにいてくれたら良いだけだよ、それだけで僕は幸せだよ、他は望まない」
「………お前ってやつは、まいったな」
くくくくっと、ラクロア様が笑ってる。僕はおかしな事1つも言ってないよ。本当の事を言っただけだよ。
「何かあったのかな?」
「エクシルと、エクリーヌの声だな」
扉の中へ入ると、二人はハッとこちらを見た。王様が、真っ赤な顔で、僕たちをみて叫んだ。
「とにかく、私は認めないことにしたんだ」
「エクシルっ、いい加減になさい!!」
エクリーヌが、本気で怒ってる。王様も涙目だ。
「どうした?何を揉めてる」
「エクシルが、貴方達の婚約を認めないって言うのよ」
「なんだって?エクシルどういう事だ?」
ラクロア様が、エクシルに問うと、エクシル王は、自分の緋色のマントを握りしめながら、キッとラクロア様を睨んだ。
「私はこの婚約はおかしいと思う、だから認めない」
「何がおかしいと思うんだ?」
「だって、ユリスはラクロア伯父様に恋してないっていうんだ」
「恋!?あ、あぁ、まぁ、それは……そうだろうが」
「恋してないのに結婚なんかしたら、ユリスが可哀想だろ!!だから、ユリスがちゃんとラクロア伯父様に恋をするまで認めないっ!!」
そう言われてしまうと、ラクロアは困ってしまった。確かに自分達の間には恋愛感情はない。そんなもの飛び越えてかけがえがない存在になってしまっているからだ。
「ユリスを王立騎士学校へ入れて見聞を広めて、それでもまだ伯父上と結婚したいというなら、認めます、こんな小さいのに、屋敷に閉じ込めて他の選択肢をうばって、結婚なんて、私は認めない」
「なるほど、エクシルの言い分はもっともだ、ユリスの将来を考えてくれたんだな、ありがとう」
ラクロアは、この甥っ子がそこまでニャリスのために考えてくれたことを嬉しく思った。
だがしかし、当のニャリスは……。
「僕は学校なんか行きたくないの、絶対やなの!!」
これだ。王は、人としてのもっともな権利を主張しているわけだが、ニャリスは、なんせ猫だ。人が多いところが苦手だし、子供が苦手だし、勉強もダンスもしきたりも嫌いだ。あと好き嫌いも多い。そんなのが、全寮制の学校へなど……無理ではなかろうか。
「王様がそんな意地悪するなんて、ひどい!!」
止める間もなくニャリスがはっきりと言ってしまったので、ラクロアはアーーーと目頭を押さえた。エクシルは、ぐっと歯をくいしばって、羽織っていた緋色のマントをとってバンと床に投げつけた。
「お前の為に言ったのに!!馬鹿っ!!」
そう言うと、エクシル王は部屋から走って出ていってしまった。あわててエクリーヌが追いかける。
「エクシル何処へ行くの、戻りなさい」
廊下でエクリーヌ様の声が木霊する。部屋に取り残された僕とラクロア様はお互いの顔をみた。ラクロア様は、苦笑いして、王様が落とした緋色のマントを拾い、そっと椅子にかけた。
「困ったやつだな、直情型だ。あいつの……良いところでもあるが、もう少し腹芸を覚えないと」
「僕、学校行きたくない、ね?行かなくていいよね?」
「エクシルの言い分は解らなくもないんだ、お前はもう猫じゃないし……俺はニャリスが幸せなら身を引く覚悟もある、お前の視野が狭いのは確かだし、学校は嫌でも、もう少し婚約はお前が育ってからの方が良いのかもしれない」
「育つってなに!?僕はもう大人だよ、13だよ?」
「ニャリス、13は人間だとまだ子供なんだ」
「僕は人間じゃないよ」
「今は人間だろう?」
「でも、僕はただラクロア様のそばで暮らしたいだけなのに、どうして駄目なの」
「駄目じゃない、ただ、お前がこれから悩まないと良いと思っただけだ、一度婚約してしまえば、余程の事がないかぎり後戻りできなくなるから、王もお前を思ってのことだ」
「後戻りってなに?僕はずっとラクロア様だけなのに、なんで悩む必要があるの、今の方が苦しいよ、僕もうやだ、お屋敷に帰りたい」
あーんと、泣き出してしまったニャリスを慌ててラクロアは抱っこした。
「わ、わるかった、泣かないでくれ」
「だって、まるでラクロア様が僕から離れたいみたいに聞こえるよ」
「そんなわけないだろ、どうしたらお前が幸せになるかだけをいつも考えてるよ」
ニャリスは、金色の涙目で、ラクロアをじっと見つめた。
「簡単だよ、そばにいてくれたら良いだけだよ、それだけで僕は幸せだよ、他は望まない」
「………お前ってやつは、まいったな」
くくくくっと、ラクロア様が笑ってる。僕はおかしな事1つも言ってないよ。本当の事を言っただけだよ。
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