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オプスキュリテの想い

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僕は、孤独だった。

僕はオプスキュリテ。平民な上に孤児なので姓はない。

僕は娼婦を母に持っていた。父親は知らない。知りたくもない。男に媚びるしか能のない母も、見ず知らずの女を金で買った父も嫌いだ。イル様に出会って、張り詰めていた心を溶かされた今でもそれは変わらない。

母は僕に対して、特にこれといった情を持っていなかった。僕も母に対して、愛情を求めたりはしなかった。ただ、母は僕を捨てることだけはしなかった。娼婦として働いて稼いだ金を僕に対しても使ってくれた。言葉を交わすことも少なかったけど、大嫌いだけれど、それでもここまで育ててくれたことに感謝している。

でも、そんな何処にでもあるような歪な日常はある日唐突に奪われた。

家に、強盗が入った。母は、何故か僕をクローゼットに匿って、自分は殺された。なぜ?僕を愛していなかったんじゃないの?

僕は混乱して、でも頭の何処かは冷静で、強盗が帰るまでクローゼットでじっとしてた。強盗が帰って、クローゼットから出て。とりあえず、お金とか金目の物をどれだけ盗まれたか見た。全部盗られてた。次に母を見た。何故か涙が溢れた。なんでだかは今でも良く分からない。だって、母は僕に対して何の情も持っていなかった。僕は母が嫌いだった。泣く理由が無い。イル様に聞くと、今はわからなくていいのよと言われた。イル様は何故か泣きそうな顔をしていた。

そして、身寄りのなかった僕はチャイルドパラダイスという孤児院の最初の子供として引き取られた。

孤児院なんて、一体どんな仕打ちを受けるのだろうと緊張していたが、チャイルドパラダイスは僕が聞いていた孤児院のイメージと全く違った。

暴力も振るわれないし、一日三食おやつ付きだし、調度品は優れたものばかりだし、仕事もさせられない。それどころか勉強も教えてくれるし、神父様もこの孤児院の設立者…イル様も優しくて。

僕は、まだ子供だから。そう心の中で言い訳して、新しくティザーが引き取られてくるまでの間神父様とイル様を独占し続けた。

特にイル様には、ある種の執着を覚えた。

僕は、イル様が好き。これは、僕の初恋。波打つ金の髪も、白い肌も、美しい青の瞳も、全部僕のものだ。他の誰にも渡してたまるか。

たとえこれが、幼子が母に抱くような思慕だとしても。

僕は、この初恋を諦めない。
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