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婚約者との出会いの時に彼女の悪口を言ってた奴らがむかつく

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婚約者を家に送った後、馬車に一人で乗って自分の家に帰る。今日のユリアも可愛かったなぁなんて考えているうちに、ふと初めて出会った日のことを思い出す。

ユリアと出会ったのは僕の母上の主催のお茶会だった。

当時、僕は内気で大人しい、頼りない子供で、見た目はよく勉強は出来るけど剣術を含め運動は苦手だった。その上優秀な弟とよく比べられて、恥ずかしながら弟にも虐められていた。将来は長男の僕ではなく次男のアベルが家督を継ぐのではとすら囁かれていた。だからその日、僕はせめてお茶会の席で悪目立ちしないようにと背中を丸めて縮こまっていた。

その時、わざと此方まで聞こえる程度の声でひそひそととあるご令嬢の悪口をみんなが言っていた。そう、ユリアの悪口だった。…恥ずかしながら、僕はそれを止める勇気がなかった。可哀想だな、きっと居辛いだろうななんてバカなことを考えていた。

でもユリアはめげなかった。胸を張って、背筋をしゃんと伸ばして、凛とした雰囲気で立つ。

…その時だった。 僕は彼女に憧れを抱くと同時に運命を感じた。たとえ独りぼっちでも、きちんと自分の力で立ち続ける。そんな彼女の支えになりたい。たとえ他の誰がなんと言おうと、僕だけはずっと彼女の側にいたい。そう思った。

そして、その頃の僕じゃ考えられない程の行動力でもって彼女に求婚した。

「あ、あの…ユリアナ嬢、だよね?」

「え?はい、そうですが」

「僕と結婚を前提に婚約してください!」

ユリアは突然のことでしばらくフリーズしていた。後で聞いたところ、最初は何かの罰ゲームとかドッキリかな?とも思ったそうだ。僕が本気だと知ったユリアは、最初は断ろうと思ったそうだ。彼女の父がきっと、婚約は認めてくれないだろうと思ったから。

「貴女がご両親からどんな仕打ちを受けているかは知っています!婚約については僕がちゃんとご両親を説得します!生涯貴女を守ると誓います!だからどうか、僕の手をとって!ユリアナ嬢!」

…僕の必死の思いは、叫びは、ユリアに届いた。

「…はい、喜んで」

ユリアはにっこりと微笑んで了承してくれた。

その後の僕の行動は早かった。得意な勉強に打ち込むのはもちろん、苦手な剣術や運動も頑張り、弟にも反撃するようになっていた。ここまで来ると家督を継ぐのはもちろん僕の方に決まった。そして結局僕とユリアの両親、特にユリアの父を説き伏せて、見事にユリアとの婚約を勝ち取った。

…で、溺愛しまくり今に至る。ユリアの両親と使用人達にはちょっとお話しをして、ユリアに対する態度を改めてもらった。何をしたか?内緒。

…あ、ユリアとの馴れ初めを思い出しているうちにもう家に着いてしまった。よし、速攻で食事を済ませて、お風呂に入って、部屋に戻って寝よう。明日も早起きしてユリアを迎えに行かなきゃいけないからね。ふふ、幸せだなぁ。
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