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政略結婚、やってやろうじゃない
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グレースがユリアをいじめたとして断罪された騒動が落ち着いた頃。王太子であるオノレと聖女であるユリアの結婚を多くの国民が望んでいるとして二人が結婚し、聖女が王太子妃となることが決定した。
グレースはそれならば婚約は解消か、と思ったが…ユリアには聖女としての仕事がたくさんあるので、王妃としての仕事がこなせる人材が欲しいと言われた。つまり、グレースが側妃になれと言うのである。
「わ、私に…側妃になれですってぇ!?」
「ぐ、グレース様っ!?」
「グレース様、お気をたしかにっ!」
頭に血が上ったグレースはそのまま倒れた。そして、長い夢を見た。これまたお決まり通り、前世の記憶である。
その記憶では彼女は独身貴族であり、仕事をバリバリこなして、稼いだお金を貯金もして、贅沢もした。ただ一つの不満は、両親達から結婚と出産をと何度も言われること。彼女は結婚はしないと宣言していて、弟や妹が孫の顔を見せても言われるのである。正直煩わしかった。親より先に死んだ今となってはちょっと申し訳なくも思うが。
「…なるほどね」
グレースが起きて初めての一言がそれだった。
「いいじゃない。受け入れてやろうじゃないの。契約結婚」
これを契約結婚と言っていいのかはわからないが、オノレの心はユリアに有りおそらく子作りは強制されないだろう。むしろ全力でお断りされる自信がある。そして、仕事さえしていれば決められた範囲でなら贅沢ができる。将来の保証もある。
結婚と子供をせっつかれることもなく、仕事と贅沢を謳歌できる生活。乗らない手はない。
グレースは、基本的に前世の記憶を思い出してもそちらに性格を引っ張られることはなかった。わがままグレースのままである。しかし、価値観は少し変わった。バカにされているとか、プライドとか、どうでもいい。誰にも文句を言われない贅沢な生活の方が大事だった。いくら金持ち公爵家の長女といえども、側妃になった方がもっと贅沢できるというものだ。
前日とは一転してすんなりと側妃になることを受け入れたグレースに周りは驚いたが、グレースの意思は固かった。
「グレース様、あの、本当によろしいのですか?」
「ええ、もちろんよ。国のために尽くします」
「お嬢様、ご立派です…!」
「ええ、そうでしょう?」
王太子オノレが聖女ユリアと結婚して数ヶ月。側妃としてグレースが迎え入れられた。結婚式はユリアの時と違い質素なもの。しかしグレースはこれからの贅沢な生活を送るだと思えば我慢出来た。そんなグレースにオノレはぽつりと零す。
「…変わったな」
その声はグレースに届かなかった。
グレースは真面目に王妃として働いた。元々完璧主義なグレースなので、当たり前といえば当たり前だった。
「グレース様、今日も完璧なお仕事ぶりでした!」
「ええ、そうでしょう?素晴らしいでしょう?」
「はい!ユリア様では絶対無理ですので大変助かります!」
「そうでしょうそうでしょう」
そして、贅沢はするが決して決められた予算をオーバーすることはなかった。老後までしっかりと面倒を見てもらうためである。しかし前世の記憶も思い出して価値観の少し変わったグレースには十分すぎるほどの贅沢だった。
「いやぁ、素晴らしい毎日だわ。最高」
「グレース様…これまでの生活に比べて節制なさるなんて、本当に素晴らしいです!」
「そうでしょうそうでしょう」
そして、心に余裕の出来たグレースは自分の虚栄心を満たすために行動に出る。自分のために使われる予算を、他で多少の贅沢をしてもオーバーしないギリギリの金額で、新しい孤児院を作ったのだ。これには彼女をわがままなだけの女だと思っていたヒューゴも、彼女が少し変わったと思っていたオノレも、いじめを受けていたユリアもびっくりした。
「あのグレースが?」
「姉上、一体何を企んでいらっしゃるのですか…それとも本当に改心なされたのか?」
「聖女より聖女らしいことするなんて…ずるい!ユリアにはキツくあたってたくせに!」
グレースの孤児院では職員への監視も徹底され、虐待は一切ない。美味しいご飯も十分な睡眠時間も温かなお風呂も約束される。条件はただ二つ。孤児であること、勉強を頑張ること。一定の期間で成績を上げなければ他の孤児院へ移動になる。全員血眼で勉強をした。そして、この環境をくれたグレースに心からの忠誠を誓った。
たまに慰問に行く時の子供達の忠誠に満ちた表情、職員達からの尊敬に満ちた表情、たまに会う貴族達からの賞賛の声。全てがグレースを満たした。
「さすがはグレース様です!」
「素晴らしい国への貢献ですな!」
「あの孤児院出身の子供は優秀になって出てくると評判ですぞ!」
「そうでしょうそうでしょう」
グレースは賞賛を浴び、幸福度がこれ以上ないほど高くなった。
グレースはそれならば婚約は解消か、と思ったが…ユリアには聖女としての仕事がたくさんあるので、王妃としての仕事がこなせる人材が欲しいと言われた。つまり、グレースが側妃になれと言うのである。
「わ、私に…側妃になれですってぇ!?」
「ぐ、グレース様っ!?」
「グレース様、お気をたしかにっ!」
頭に血が上ったグレースはそのまま倒れた。そして、長い夢を見た。これまたお決まり通り、前世の記憶である。
その記憶では彼女は独身貴族であり、仕事をバリバリこなして、稼いだお金を貯金もして、贅沢もした。ただ一つの不満は、両親達から結婚と出産をと何度も言われること。彼女は結婚はしないと宣言していて、弟や妹が孫の顔を見せても言われるのである。正直煩わしかった。親より先に死んだ今となってはちょっと申し訳なくも思うが。
「…なるほどね」
グレースが起きて初めての一言がそれだった。
「いいじゃない。受け入れてやろうじゃないの。契約結婚」
これを契約結婚と言っていいのかはわからないが、オノレの心はユリアに有りおそらく子作りは強制されないだろう。むしろ全力でお断りされる自信がある。そして、仕事さえしていれば決められた範囲でなら贅沢ができる。将来の保証もある。
結婚と子供をせっつかれることもなく、仕事と贅沢を謳歌できる生活。乗らない手はない。
グレースは、基本的に前世の記憶を思い出してもそちらに性格を引っ張られることはなかった。わがままグレースのままである。しかし、価値観は少し変わった。バカにされているとか、プライドとか、どうでもいい。誰にも文句を言われない贅沢な生活の方が大事だった。いくら金持ち公爵家の長女といえども、側妃になった方がもっと贅沢できるというものだ。
前日とは一転してすんなりと側妃になることを受け入れたグレースに周りは驚いたが、グレースの意思は固かった。
「グレース様、あの、本当によろしいのですか?」
「ええ、もちろんよ。国のために尽くします」
「お嬢様、ご立派です…!」
「ええ、そうでしょう?」
王太子オノレが聖女ユリアと結婚して数ヶ月。側妃としてグレースが迎え入れられた。結婚式はユリアの時と違い質素なもの。しかしグレースはこれからの贅沢な生活を送るだと思えば我慢出来た。そんなグレースにオノレはぽつりと零す。
「…変わったな」
その声はグレースに届かなかった。
グレースは真面目に王妃として働いた。元々完璧主義なグレースなので、当たり前といえば当たり前だった。
「グレース様、今日も完璧なお仕事ぶりでした!」
「ええ、そうでしょう?素晴らしいでしょう?」
「はい!ユリア様では絶対無理ですので大変助かります!」
「そうでしょうそうでしょう」
そして、贅沢はするが決して決められた予算をオーバーすることはなかった。老後までしっかりと面倒を見てもらうためである。しかし前世の記憶も思い出して価値観の少し変わったグレースには十分すぎるほどの贅沢だった。
「いやぁ、素晴らしい毎日だわ。最高」
「グレース様…これまでの生活に比べて節制なさるなんて、本当に素晴らしいです!」
「そうでしょうそうでしょう」
そして、心に余裕の出来たグレースは自分の虚栄心を満たすために行動に出る。自分のために使われる予算を、他で多少の贅沢をしてもオーバーしないギリギリの金額で、新しい孤児院を作ったのだ。これには彼女をわがままなだけの女だと思っていたヒューゴも、彼女が少し変わったと思っていたオノレも、いじめを受けていたユリアもびっくりした。
「あのグレースが?」
「姉上、一体何を企んでいらっしゃるのですか…それとも本当に改心なされたのか?」
「聖女より聖女らしいことするなんて…ずるい!ユリアにはキツくあたってたくせに!」
グレースの孤児院では職員への監視も徹底され、虐待は一切ない。美味しいご飯も十分な睡眠時間も温かなお風呂も約束される。条件はただ二つ。孤児であること、勉強を頑張ること。一定の期間で成績を上げなければ他の孤児院へ移動になる。全員血眼で勉強をした。そして、この環境をくれたグレースに心からの忠誠を誓った。
たまに慰問に行く時の子供達の忠誠に満ちた表情、職員達からの尊敬に満ちた表情、たまに会う貴族達からの賞賛の声。全てがグレースを満たした。
「さすがはグレース様です!」
「素晴らしい国への貢献ですな!」
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