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「エミリア様。ライナーさんも、どうぞ座ってください。俺……あ。私がお茶をいれますから」
「そんな、エミリアお嬢様とご一緒は出来ません。それに、お茶なら私が入れます。私は執事兼用心棒ですから」
「では。お願いします」
リオン様は使用人にも優しい。
作業机から茶葉を出すと、どうやったのか分からないがポットにはいつの間にか熱々のお湯が入っていて、ライナーも驚いていた。
「あの。リオン様、今のは魔法ですか?」
「えっ? あー。ポットのお湯のことでしたらそうですよ。ポットに魔法がかけられているのではなくて、俺が、……あ。私の魔法ですが」
リオン様の普段の一人称は俺、みたいだ。
それから、パンは甘いパンばかり買っているから、甘党みたい。
知れば知るほどリオン様の生態に興味がでてきた。
「リオン様って凄いですね」
「普通ですよ。お、コレ旨い」
「ふふっ。あの、宮廷魔導師ってどんなお仕事なんですか?」
「俺は……あっ」
言い直そうとしたところで、私は口を挟んだ。
「俺でいいですよ。気にしません」
「すみません。自分の生活領域だと、つい。──あ、宮廷魔導師の仕事ですよね。俺は、魔法道具の開発とか研究が専門です。それで、エミリア様に試作品を試していただきたいんです」
「試作品ですか?」
「はい。お持ちしますね」
いつの間にかパンを三つとも食べ終えていたリオン様は、さっと立ち上がると作業机から色々な物を取り出した。作業机を借りてパンを食べていたライナーも、興味津々だ。
「あ、ゆっくりお召し上がりください。説明だけさせていただきますね。まずは、これです」
透明な液体が入った可愛らしい香水瓶を見せ、色とりどりの六つの丸い水晶の様なものが入ったカゴはテーブルに置いた。どちらも可愛い。
「香水ですか?」
「あ、いえ。これは水避けです。ブーツやドレス等にかけると、液体を弾きます。それと、こっちのカゴに入っているのは、入浴剤です。湯に入れると、この玉と同じ色に染まって、中に入っている蕾が咲いて良い香りがします」
水晶のような丸い玉の中には、よく見ると小さな花の蕾の様なものが見えた。
「試していただいて、ご感想や、改善して欲しいところなどを教えていただきたいんです。いかがでしょうか?」
「分かりました。お任せください」
試作品の入浴材を見ていると、扉がノックされて男の人の声がした。
「リオン様~。差し入れいかがですか~」
「……はぁ」
リオン様は眉間にシワを寄せて不機嫌そうに立ち上がると、扉を半分だけ開けて対応した。
「お客様が来てるんですよね? 城中で噂になってますよ~。リーゼロッテ様の──」
「あの、ご用件をどうぞ!?」
「そう怒らないでください。ドゥラノワ王国の土産品をお届けに来ました!」
「これ……。ありがとうございました。ではっ」
バタンと扉を閉めたリオン様は、浮かない顔で、紙に包まれた赤いクッキーを手に持っていた。
「あ、それって」
「エミリア様もご存じですか?」
「スパイス入りのクッキーですよね。さっき母がオルフェオ様にお出ししてました」
「えっ。あの人、いらしてるんですか?」
リオン様は頬を引きつらせて尋ねた。
「……はい。アニス──妹と婚約するので、いつもの様にいらしてます」
「本当に妹さんと婚約したのですか? 昨日のご様子だと、エミリア様に未練があるようにしか見えなかったのですが」
「それはないわ。私の事なんて、オルフェオ様はいつも見ていなかったもの」
私が笑顔を作ると、リオン様は瞳を曇らせて尋ねた。
「エミリア様は、……お慕いしていらっしゃったのですか?」
「いいえ。婚約を解消して、ほっとしたの。家の為と思って、我慢していたんだって気付いたんです」
「そうですか。──あ。良かったらこれもお持ちください」
リオン様はとびきりの笑顔になって作業机の引き出しから何かを探し始めた。
「そんな、エミリアお嬢様とご一緒は出来ません。それに、お茶なら私が入れます。私は執事兼用心棒ですから」
「では。お願いします」
リオン様は使用人にも優しい。
作業机から茶葉を出すと、どうやったのか分からないがポットにはいつの間にか熱々のお湯が入っていて、ライナーも驚いていた。
「あの。リオン様、今のは魔法ですか?」
「えっ? あー。ポットのお湯のことでしたらそうですよ。ポットに魔法がかけられているのではなくて、俺が、……あ。私の魔法ですが」
リオン様の普段の一人称は俺、みたいだ。
それから、パンは甘いパンばかり買っているから、甘党みたい。
知れば知るほどリオン様の生態に興味がでてきた。
「リオン様って凄いですね」
「普通ですよ。お、コレ旨い」
「ふふっ。あの、宮廷魔導師ってどんなお仕事なんですか?」
「俺は……あっ」
言い直そうとしたところで、私は口を挟んだ。
「俺でいいですよ。気にしません」
「すみません。自分の生活領域だと、つい。──あ、宮廷魔導師の仕事ですよね。俺は、魔法道具の開発とか研究が専門です。それで、エミリア様に試作品を試していただきたいんです」
「試作品ですか?」
「はい。お持ちしますね」
いつの間にかパンを三つとも食べ終えていたリオン様は、さっと立ち上がると作業机から色々な物を取り出した。作業机を借りてパンを食べていたライナーも、興味津々だ。
「あ、ゆっくりお召し上がりください。説明だけさせていただきますね。まずは、これです」
透明な液体が入った可愛らしい香水瓶を見せ、色とりどりの六つの丸い水晶の様なものが入ったカゴはテーブルに置いた。どちらも可愛い。
「香水ですか?」
「あ、いえ。これは水避けです。ブーツやドレス等にかけると、液体を弾きます。それと、こっちのカゴに入っているのは、入浴剤です。湯に入れると、この玉と同じ色に染まって、中に入っている蕾が咲いて良い香りがします」
水晶のような丸い玉の中には、よく見ると小さな花の蕾の様なものが見えた。
「試していただいて、ご感想や、改善して欲しいところなどを教えていただきたいんです。いかがでしょうか?」
「分かりました。お任せください」
試作品の入浴材を見ていると、扉がノックされて男の人の声がした。
「リオン様~。差し入れいかがですか~」
「……はぁ」
リオン様は眉間にシワを寄せて不機嫌そうに立ち上がると、扉を半分だけ開けて対応した。
「お客様が来てるんですよね? 城中で噂になってますよ~。リーゼロッテ様の──」
「あの、ご用件をどうぞ!?」
「そう怒らないでください。ドゥラノワ王国の土産品をお届けに来ました!」
「これ……。ありがとうございました。ではっ」
バタンと扉を閉めたリオン様は、浮かない顔で、紙に包まれた赤いクッキーを手に持っていた。
「あ、それって」
「エミリア様もご存じですか?」
「スパイス入りのクッキーですよね。さっき母がオルフェオ様にお出ししてました」
「えっ。あの人、いらしてるんですか?」
リオン様は頬を引きつらせて尋ねた。
「……はい。アニス──妹と婚約するので、いつもの様にいらしてます」
「本当に妹さんと婚約したのですか? 昨日のご様子だと、エミリア様に未練があるようにしか見えなかったのですが」
「それはないわ。私の事なんて、オルフェオ様はいつも見ていなかったもの」
私が笑顔を作ると、リオン様は瞳を曇らせて尋ねた。
「エミリア様は、……お慕いしていらっしゃったのですか?」
「いいえ。婚約を解消して、ほっとしたの。家の為と思って、我慢していたんだって気付いたんです」
「そうですか。──あ。良かったらこれもお持ちください」
リオン様はとびきりの笑顔になって作業机の引き出しから何かを探し始めた。
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