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番外編
リオンと謎の令嬢 2
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リーゼロッテ様の茶会は週に三回。
いつもエミリア様と二人で過ごす。
この前、二人は変な遊びをしていた。
テーブルに小箱を五つ並べて、好きな花やハーブを小箱に隠し、どれか分からないように混ぜてから、目を瞑り小箱を開けて香りを当て合うという遊びだ。
リーゼロッテ様は、普段は王女らしく振る舞っているが、エミリア様の前では子供みたいだった。
箱を開き、答えが分かるとパッと笑顔になり、分からないと口を尖らせヒントをねだる。
それはエミリア様もだ。二人は似ている。
気が合うのがよく分かる。
俺には友と呼べるひとがいないからか、それが羨ましくもあり、あの輪に入れたらさぞかし楽しいだろうな、とも思う。
でも、これを兄に報告したら面倒な事になりそうなので、伏せておくことにした。
ある日リーゼロッテ様は、兄から俺が作った魔法道具の話を聞いたらしく、それを見せて欲しいとねだってきた。
五色に光るランタンや転移陣の目印のブレスレットを見せるととても喜んでいたのでそのまま差し上げることにした。
そのライトをお風呂に入れて楽しみたいとか、香りがあったらもっと良いとか、色々意見が聞けて俺も勉強になった。
城の中なら俺の結界の範囲内だから、名前を呼べばすぐにリーゼロッテ様のところへ駆けつけることが出来ると話すと、いい案が思い付いた時や暇な時に呼ばれるようになっていった。
それは別に構わなかったのだけれど、茶会の時に呼ぶのは勘弁してほしかった。
参加したら楽しいだろうと心の中では思っていたが、実際に呼ばれると目の前にエミリア様がいて、緊張してしまった。
「リオン様、初めまして。エミリア=ブロウズと申します」
話に聞いていたエミリア様が目の前にいて俺の名前を呼ぶ。近くにいるといい香りがするし、想像していたより声は大人びていて暖かみがある。
兄の為にリーゼロッテ様を観察しなきゃいけないのに、どうしてか、気付くとエミリア様へばかり目が行ってしまう。
あ、話の通り、紅茶はアールグレイが好きなんだな、とか。
紅茶のカップの絵柄をいつも楽しみにしていて、飲む前に必ず確認するところとか。
兄から聞いていた話し通りで面白くて、童話の中の主人公を目の前にしているみたいで変な感覚だった。
リーゼロッテ様から聞いた中で、一番気になっていたエミリア様の行動があった。それは、庭の池の横にあるアヒルの剥製に、通る度に挨拶してるという謎の行動だ。
聞いた時はリーゼロッテ様の勘違いだと思ったけど、本当にやってた。よく見ると、エミリア様の従者の男性も挨拶してるじゃないか。リーゼロッテ様の命で、誰もあれが置物だとは教えられないそうだ。
庭を通る度に、その光景を思い出す。
でも、庭だけじゃない。
街へ買い物に出てパン屋の前を通った時、エミリア様ならこのパンが好きそうだな、とか。
花屋の前を通った時もチューリップが好きなら、この花も好きかな、とか。
そんなことばかり考えてしまって、気付いたら甘いパンをたくさん買ってた。でも、この国の甘いパンは絶品で、大好きになった。
パンだけじゃない。庭のアヒルの置物も大好きだし、つい買ってしまった花々の香りも大好きだ。
この国へ来て、好きなものが沢山増えた。
何もかも嫌いになりかけて母国を離れたのに、不思議なものだ。
魔力結晶の研究をしつつ、リーゼロッテ様の要望に沿った道具作りも楽しんでいた。
でもおかしい。作っている時に思い浮かぶのはエミリア様の顔で、彼女の好きな物を形にしてしまっている。
きっと兄やリーゼロッテ様がエミリア様の好きな物の話ばかりするからだ。
気付くと小物入れが完成していた。
開ける度に花の香りがする魔法の小物入れ。
これを開けたらエミリア様は笑顔になってくれるだろうか。開ける度に、俺を思い出してくれたら……。
ん? 俺は何を考えているんだ?
あんな素敵な婚約者がいる年上の女性相手に、馬鹿だろ。こんなの渡したら、ちょっと危ない人だ。
婚約者が心配で、その傍に自分とよく似た弟を置いておく兄と同じくらい危険な奴だ。
この国に居られる期間は後一年半と少し。
その間だけ近くでみていられたら、それで十分じゃないか。
作った小箱を引き出しの奥に仕舞い込む。
この理解不能の感情と共に。
それから数週間して、またリーゼロッテ様に呼ばれ、驚くべき事を聞かされた。
エミリア様とコールマン公爵子息との婚約が、解消されたそうだ。
いつもエミリア様と二人で過ごす。
この前、二人は変な遊びをしていた。
テーブルに小箱を五つ並べて、好きな花やハーブを小箱に隠し、どれか分からないように混ぜてから、目を瞑り小箱を開けて香りを当て合うという遊びだ。
リーゼロッテ様は、普段は王女らしく振る舞っているが、エミリア様の前では子供みたいだった。
箱を開き、答えが分かるとパッと笑顔になり、分からないと口を尖らせヒントをねだる。
それはエミリア様もだ。二人は似ている。
気が合うのがよく分かる。
俺には友と呼べるひとがいないからか、それが羨ましくもあり、あの輪に入れたらさぞかし楽しいだろうな、とも思う。
でも、これを兄に報告したら面倒な事になりそうなので、伏せておくことにした。
ある日リーゼロッテ様は、兄から俺が作った魔法道具の話を聞いたらしく、それを見せて欲しいとねだってきた。
五色に光るランタンや転移陣の目印のブレスレットを見せるととても喜んでいたのでそのまま差し上げることにした。
そのライトをお風呂に入れて楽しみたいとか、香りがあったらもっと良いとか、色々意見が聞けて俺も勉強になった。
城の中なら俺の結界の範囲内だから、名前を呼べばすぐにリーゼロッテ様のところへ駆けつけることが出来ると話すと、いい案が思い付いた時や暇な時に呼ばれるようになっていった。
それは別に構わなかったのだけれど、茶会の時に呼ぶのは勘弁してほしかった。
参加したら楽しいだろうと心の中では思っていたが、実際に呼ばれると目の前にエミリア様がいて、緊張してしまった。
「リオン様、初めまして。エミリア=ブロウズと申します」
話に聞いていたエミリア様が目の前にいて俺の名前を呼ぶ。近くにいるといい香りがするし、想像していたより声は大人びていて暖かみがある。
兄の為にリーゼロッテ様を観察しなきゃいけないのに、どうしてか、気付くとエミリア様へばかり目が行ってしまう。
あ、話の通り、紅茶はアールグレイが好きなんだな、とか。
紅茶のカップの絵柄をいつも楽しみにしていて、飲む前に必ず確認するところとか。
兄から聞いていた話し通りで面白くて、童話の中の主人公を目の前にしているみたいで変な感覚だった。
リーゼロッテ様から聞いた中で、一番気になっていたエミリア様の行動があった。それは、庭の池の横にあるアヒルの剥製に、通る度に挨拶してるという謎の行動だ。
聞いた時はリーゼロッテ様の勘違いだと思ったけど、本当にやってた。よく見ると、エミリア様の従者の男性も挨拶してるじゃないか。リーゼロッテ様の命で、誰もあれが置物だとは教えられないそうだ。
庭を通る度に、その光景を思い出す。
でも、庭だけじゃない。
街へ買い物に出てパン屋の前を通った時、エミリア様ならこのパンが好きそうだな、とか。
花屋の前を通った時もチューリップが好きなら、この花も好きかな、とか。
そんなことばかり考えてしまって、気付いたら甘いパンをたくさん買ってた。でも、この国の甘いパンは絶品で、大好きになった。
パンだけじゃない。庭のアヒルの置物も大好きだし、つい買ってしまった花々の香りも大好きだ。
この国へ来て、好きなものが沢山増えた。
何もかも嫌いになりかけて母国を離れたのに、不思議なものだ。
魔力結晶の研究をしつつ、リーゼロッテ様の要望に沿った道具作りも楽しんでいた。
でもおかしい。作っている時に思い浮かぶのはエミリア様の顔で、彼女の好きな物を形にしてしまっている。
きっと兄やリーゼロッテ様がエミリア様の好きな物の話ばかりするからだ。
気付くと小物入れが完成していた。
開ける度に花の香りがする魔法の小物入れ。
これを開けたらエミリア様は笑顔になってくれるだろうか。開ける度に、俺を思い出してくれたら……。
ん? 俺は何を考えているんだ?
あんな素敵な婚約者がいる年上の女性相手に、馬鹿だろ。こんなの渡したら、ちょっと危ない人だ。
婚約者が心配で、その傍に自分とよく似た弟を置いておく兄と同じくらい危険な奴だ。
この国に居られる期間は後一年半と少し。
その間だけ近くでみていられたら、それで十分じゃないか。
作った小箱を引き出しの奥に仕舞い込む。
この理解不能の感情と共に。
それから数週間して、またリーゼロッテ様に呼ばれ、驚くべき事を聞かされた。
エミリア様とコールマン公爵子息との婚約が、解消されたそうだ。
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