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番外編
リーゼロッテの誕生会 2
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リーゼロッテ様の誕生パーティー当日。エミリア様をお迎えしに行こうとしていたら、城でライナーさんと遭遇した。
「えっ。ライナーさん?」
「リオン様。今日はいつにも増して素敵ですね」
「あ、ありがとうございます。あっ。エミリア様もご一緒なのですね。随分と早いのですね」
「はい。エミリア様の所へ、ご案内しますね」
緊張していて気付かなかったけれど、気配を辿るとリーゼロッテ様の部屋にエミリア様がいることが分かった。
ライナーさんによると、いつもパーティーの前にお茶会をしているそうだ。二人ともパーティーが苦手なので、先に食事を済ませておくとのことだ。
俺は、ライナーさんと近衛騎士の方に案内されて、リーゼロッテ様の部屋を初めて訪れた。
兄が知ったら発狂するかもしれないと思いながら入室すると、窓辺でテーブルを囲む二人の姿が目に飛び込んできた。
藍色のドレスはエミリア様の大人っぽさを更に引き立て、夜会用の化粧なのか、いつもより艶やかで。
もっともっと地味なドレスにすれば良かった。
夜会に参加するということは、エミリア様のドレス姿が沢山の人の目に触れるということなのだから。
俺に気付くと、眩しい笑顔を向けてくれた。
「リオン様っ」
「え、エミリア様。とてもお似合いです。えっと」
「あのぉ。主役は私なのですけれど?」
深紅のドレスを翻して、リーゼロッテ様が小首を傾げて主張してきた。
「リーゼロッテ様もお変わりなく。あ、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとうごさいます。リオン様。でも、リオン様にはエミリアしか見えていないのね。私だって着飾ってますのに、お変わりなくはあんまりですわ」
言われてみればその通りだ。
俺はふと、兄の言葉を思い出し、それを口にした。
「失礼しました。えっと。――たとえ花瓶から溢れ落ちようとも、その輝きと誇りを失うことのない一輪の薔薇のように美しいリーゼロッテ様に、言葉を忘れてしまいました」
「まぁ。何ですか。その棒読みの誉め言葉は。棘だらけの花に例えられても、全然嬉しくありませんわ」
「そうかしら。素敵ですよ。美しく気高いリーゼロッテにピッタリだわ」
機嫌を損ねてしまったリーゼロッテ様は、エミリア様のフォローで、少しだけ表情が和らいだ。
「ルシオ兄様が、初めてリーゼロッテ様とお会いした時の第一印象だそうです」
「なっ。何よそれ。知らないわ。そんな言葉……。あ、明日お会いした時に伺ってみますわ」
リーゼロッテ様は顔を兄の名を出すと急に顔を赤らめ、そわそわしだした。兄はいつも誕生日会には呼ばれないが、その翌日に必ずリーゼロッテ様と会う約束をしている。
「兄がどんな顔をしたか教えてくださいね」
リーゼロッテ様は更に顔を赤く染めると、エミリア様に腕を回し廊下へと足を向けた。
「もう。先にエミリアと会場へ行きますわ。お父様もエミリアに会いたがってますの。リオン様は後からいらしてくださいませ」
「あ、リーゼロッテ様っ!?」
しまった。リーゼロッテ様を怒らせてしまった。
俺は仕方なく、近衛騎士の方の案内で一人で会場へ向かうことになった。
◇◇
会場はすでに招待客で溢れていた。
皆、主役の登場を待ちつつ、会話に花を咲かせている。
リーゼロッテ様の席が設けられた周りには、宮廷魔導師の先輩の姿もあり、目が合うと俺に手を振ってきた。
同僚には、リーゼロッテ様からの命でパーティーに参加すると伝えてある。
エミリア様の婚約が無くなったので、その護衛だと伝えると、誰もが納得していた。リーゼロッテ様のエミリア様好きは城の常識らしい。
エミリア様は城の置物をはじめ、誰にでも分け隔てなく挨拶する方なので、評判はいい。
いや、評判が良すぎて、俺じゃ心許ないからと先輩に護衛の役目を取られそうになった。コインで決めることになり、護衛の役目は最終的に運で勝ち取った。
軽く会釈し、手を振り返すことはしなかったけれど、そんなに恨めしそうに睨まないで欲しいな。
先輩の視線から逃れようと後ろへ振り返ると、三人のご令嬢が立っていた。
「あら。見ない顔ね。何処のどなた?」
「えっと……」
「ほら、あれよ。宮廷魔導師の見習いさんでしょ? リーゼロッテ様のご命令でエミリアの護衛だそうよ」
そう言った右端のご令嬢は、確か先輩の妹さんだ。
「成る程。でも、貴方は留学生だと聞きましてよ。何処の国の方なの?」
「いえ。たいしたところではありませんので……」
「あらぁ。そんなことを言って、余計気になるじゃない。ねぇ。年はおいくつ? 随分とお若いわよね」
「えっ?」
「私達とあちらでお話しましょうよ?」
三人に詰め寄られ、兄の言葉を思い出した。
ここは、女性たちの狩の場だと。
エミリア様を守る為の用意はしてきたが、自分が標的にされるとは思っていなかった。
こういう場面では確か――。
「私は――」
「リオン様。どうされたのですか?」
言いかけた時、後ろからエミリア様の声がした。
「えっ。ライナーさん?」
「リオン様。今日はいつにも増して素敵ですね」
「あ、ありがとうございます。あっ。エミリア様もご一緒なのですね。随分と早いのですね」
「はい。エミリア様の所へ、ご案内しますね」
緊張していて気付かなかったけれど、気配を辿るとリーゼロッテ様の部屋にエミリア様がいることが分かった。
ライナーさんによると、いつもパーティーの前にお茶会をしているそうだ。二人ともパーティーが苦手なので、先に食事を済ませておくとのことだ。
俺は、ライナーさんと近衛騎士の方に案内されて、リーゼロッテ様の部屋を初めて訪れた。
兄が知ったら発狂するかもしれないと思いながら入室すると、窓辺でテーブルを囲む二人の姿が目に飛び込んできた。
藍色のドレスはエミリア様の大人っぽさを更に引き立て、夜会用の化粧なのか、いつもより艶やかで。
もっともっと地味なドレスにすれば良かった。
夜会に参加するということは、エミリア様のドレス姿が沢山の人の目に触れるということなのだから。
俺に気付くと、眩しい笑顔を向けてくれた。
「リオン様っ」
「え、エミリア様。とてもお似合いです。えっと」
「あのぉ。主役は私なのですけれど?」
深紅のドレスを翻して、リーゼロッテ様が小首を傾げて主張してきた。
「リーゼロッテ様もお変わりなく。あ、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとうごさいます。リオン様。でも、リオン様にはエミリアしか見えていないのね。私だって着飾ってますのに、お変わりなくはあんまりですわ」
言われてみればその通りだ。
俺はふと、兄の言葉を思い出し、それを口にした。
「失礼しました。えっと。――たとえ花瓶から溢れ落ちようとも、その輝きと誇りを失うことのない一輪の薔薇のように美しいリーゼロッテ様に、言葉を忘れてしまいました」
「まぁ。何ですか。その棒読みの誉め言葉は。棘だらけの花に例えられても、全然嬉しくありませんわ」
「そうかしら。素敵ですよ。美しく気高いリーゼロッテにピッタリだわ」
機嫌を損ねてしまったリーゼロッテ様は、エミリア様のフォローで、少しだけ表情が和らいだ。
「ルシオ兄様が、初めてリーゼロッテ様とお会いした時の第一印象だそうです」
「なっ。何よそれ。知らないわ。そんな言葉……。あ、明日お会いした時に伺ってみますわ」
リーゼロッテ様は顔を兄の名を出すと急に顔を赤らめ、そわそわしだした。兄はいつも誕生日会には呼ばれないが、その翌日に必ずリーゼロッテ様と会う約束をしている。
「兄がどんな顔をしたか教えてくださいね」
リーゼロッテ様は更に顔を赤く染めると、エミリア様に腕を回し廊下へと足を向けた。
「もう。先にエミリアと会場へ行きますわ。お父様もエミリアに会いたがってますの。リオン様は後からいらしてくださいませ」
「あ、リーゼロッテ様っ!?」
しまった。リーゼロッテ様を怒らせてしまった。
俺は仕方なく、近衛騎士の方の案内で一人で会場へ向かうことになった。
◇◇
会場はすでに招待客で溢れていた。
皆、主役の登場を待ちつつ、会話に花を咲かせている。
リーゼロッテ様の席が設けられた周りには、宮廷魔導師の先輩の姿もあり、目が合うと俺に手を振ってきた。
同僚には、リーゼロッテ様からの命でパーティーに参加すると伝えてある。
エミリア様の婚約が無くなったので、その護衛だと伝えると、誰もが納得していた。リーゼロッテ様のエミリア様好きは城の常識らしい。
エミリア様は城の置物をはじめ、誰にでも分け隔てなく挨拶する方なので、評判はいい。
いや、評判が良すぎて、俺じゃ心許ないからと先輩に護衛の役目を取られそうになった。コインで決めることになり、護衛の役目は最終的に運で勝ち取った。
軽く会釈し、手を振り返すことはしなかったけれど、そんなに恨めしそうに睨まないで欲しいな。
先輩の視線から逃れようと後ろへ振り返ると、三人のご令嬢が立っていた。
「あら。見ない顔ね。何処のどなた?」
「えっと……」
「ほら、あれよ。宮廷魔導師の見習いさんでしょ? リーゼロッテ様のご命令でエミリアの護衛だそうよ」
そう言った右端のご令嬢は、確か先輩の妹さんだ。
「成る程。でも、貴方は留学生だと聞きましてよ。何処の国の方なの?」
「いえ。たいしたところではありませんので……」
「あらぁ。そんなことを言って、余計気になるじゃない。ねぇ。年はおいくつ? 随分とお若いわよね」
「えっ?」
「私達とあちらでお話しましょうよ?」
三人に詰め寄られ、兄の言葉を思い出した。
ここは、女性たちの狩の場だと。
エミリア様を守る為の用意はしてきたが、自分が標的にされるとは思っていなかった。
こういう場面では確か――。
「私は――」
「リオン様。どうされたのですか?」
言いかけた時、後ろからエミリア様の声がした。
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