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美味しいは正義
しおりを挟む「……ふーっ」
「おっ、又来たんだねリンネちゃん」
「もっリンネちゃんじゃないよっリンネだよっ、今日も少しだけどお手伝いさせてね」
ニコニコと笑う、今の僕は金色の髪の毛ではなく黒髪そして黒の瞳だ。
僕の軽い変装だけれど、もう2年バレていない。
僕の自由はこの小さな小さなパン屋さんだけ。
「ふわわわっいい香り」
「ふふふっありがとう、今日はキャロットと玉ねぎとカボチャが安く入ったから野菜パンよ」
出来立てホヤホヤの野菜パンを並べていく、次に本日何回目かのロールパンやメロンパンやクロワッサンを並べていく。
一通り並べ終わったら、僕の本格的なお手伝いが始まる、僕のお手伝いは小さな一口サイズにしたパンを籠に入れて張り切って店を出る。
店を出ると言っても、店から僕が見れる位置のみの移動しか許されていない。
「食べてくださーい、おいしいですょ」
「美味しいな坊主」
「ーっ、坊主僕が男の子ってなんで分かったの」
ビックリと肩が揺れる、だって僕の肩をがっしりと掴んでいるんだもん、それにこの人どっかでみーっ。
「坊主、逃げるなよサイキは知っているのか……嫌、知っているはずないよな、許すはずないもんなぁ」
うっ、サイキ様が知るはずない。
だって、僕はサイキ様のお姿を少しだけ遠目でしか見たことがないもの。
サイキ様にとったら、僕は何人もいる内の一人でしかない。
所詮僕は使い捨ての駒、いらない存在。
いくらアイシャが僕をいる存在だと言っていても、アイシャだって所詮はサイキ様の命に従う。
僕を主人と呼ぶけれど、それは今だけ。
今だけのこと、要らなくなったら始末されるだけ、だから自分自身を守らないと。
僕の目的のために、、、聞いてみたいんだ。
「お願いーっ内緒にしてっ」
「お前自分自身のこと分かってんのか、お前は」
「大丈夫だよっ、僕が居なくなっても他の子がいるでしょう、だから僕の事は見なかったことにしてよっ」
にっこりと僕は誓言する、呆気にとられた様な顔をしているけど僕はお構い無しにお客さんを呼び込む。
「ウサギさんの好物キャロットパンや肉食系の方に玉ねぎパン、僕みたいな小さな子も大好きなカボチャパン、甘いメロンパンが似合うおねーさん買って」
ぎゅっと僕は籠を握りしめて、にっこりと飛びっきりの笑顔でメロンパンを差し出す。
あっちゃんと衛生的な手袋をして手渡すんだからね。
30分くらい営業をして行列が出来た頃にお店に入る。
お店に入り袋詰めを手伝い、焼きたてパン専用のレジ横の台に焼きたてパンを出す。
「カレーパン焼きたて入りましたーっ」
カレーパン焼きたてをカレーパンの場所にも持っていく。
そして、店の前に焼きたてのパンを出す、此方は本当に焼きたてのパンしか出さない上に店の中に行かなくとも外レジで買える。
急ぎの人はこっちをとる、そして外に出たパンだがちゃんと埃が入らないようにフタ付きのトレーに置かれている為冷めたら店に入れて並べる。
「カレーパンを少しだけ真ん中を切って卵を入れてチーズをパラパラ入れたらオーブントースターで焼くと美味しいですよ、はい試作品」
外で並んでいるお客さんに配る、その香りや反応で通行人も集まってきてくれる。
「リンネちゃん袋詰めお願い」
「はーい、おねーさん温かいうちに食べてね、おにーさんトースターで少しだけ焼いてね、おにーさん野菜沢山食べてね」
こうしていつものように時間になり大盛況したパン屋を後にして、御屋敷に帰ろうとするが大きな手で捕まる
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