10 / 47
第1章 はじまるまでの5週間
10、2週目 土曜日 <焼き鳥屋帰り>
しおりを挟む
がたんごとん、がたんごとん。
田舎だからこんなにのんびりな空気があるのかな。
都会の電車とかって「がたんごとん、がたんごとん」じゃないのかな。
電車は15分おき。
わたしにはこれ位の、のんびりした環境がちょうどいい。
って、違う。
おかしい。
電車に揺られながら考える。
どうしてこうなった。
車内は終電前だったからか閑散としていた。
アルコールが入っているので田舎の鈍行電車の一定のリズムがすこし気持ちいい。
いやいや、そうではなく。
なぜわたしは明日の夜までたろさんと会う事になったのだろう。
昼は用があると言ったらあのイケメンときたら。
「夜は空いてる?って聞いたらしつこい?」
くっ!
何その上級テクニック!
これだから手慣れた男前は!
向こう側の肘をついてこちらを見てくるあの目。
そんなに真っ直ぐ目を見てこないで欲しい。
おかげで舞い上がってしまったじゃないか。
たろさんと一緒に飲むのは楽しい。
それは間違いない。
たろさんの事は好きだと思う。
でもこれは、以前のたろさんに抱いていた「好き」とは違う気がする。
少しだけ、二十代の頃よりも、冷静に状況を見ようとするようになった。
明日の夜はわたしの密かな願望に付き合ってもらえる事になった。
気になっていたイベントが明日までで、タイミングが良かったせいもある。
でもそれは完全に言い訳なワケで、素直に正直に認めてしまえば━━
少し熱のこもった感のある、あの目に流された。
たろさんがあんな目をするのは、酔いのせいだろうに。
妙な期待は禁物。
期待するほど後でダメージが大きい。
この年になってそんなダメージを受けようものなら、立ち直るのに時間がかかるのは目に見えてるんだから。
電車に揺られながらため息をついた。
田舎だからこんなにのんびりな空気があるのかな。
都会の電車とかって「がたんごとん、がたんごとん」じゃないのかな。
電車は15分おき。
わたしにはこれ位の、のんびりした環境がちょうどいい。
って、違う。
おかしい。
電車に揺られながら考える。
どうしてこうなった。
車内は終電前だったからか閑散としていた。
アルコールが入っているので田舎の鈍行電車の一定のリズムがすこし気持ちいい。
いやいや、そうではなく。
なぜわたしは明日の夜までたろさんと会う事になったのだろう。
昼は用があると言ったらあのイケメンときたら。
「夜は空いてる?って聞いたらしつこい?」
くっ!
何その上級テクニック!
これだから手慣れた男前は!
向こう側の肘をついてこちらを見てくるあの目。
そんなに真っ直ぐ目を見てこないで欲しい。
おかげで舞い上がってしまったじゃないか。
たろさんと一緒に飲むのは楽しい。
それは間違いない。
たろさんの事は好きだと思う。
でもこれは、以前のたろさんに抱いていた「好き」とは違う気がする。
少しだけ、二十代の頃よりも、冷静に状況を見ようとするようになった。
明日の夜はわたしの密かな願望に付き合ってもらえる事になった。
気になっていたイベントが明日までで、タイミングが良かったせいもある。
でもそれは完全に言い訳なワケで、素直に正直に認めてしまえば━━
少し熱のこもった感のある、あの目に流された。
たろさんがあんな目をするのは、酔いのせいだろうに。
妙な期待は禁物。
期待するほど後でダメージが大きい。
この年になってそんなダメージを受けようものなら、立ち直るのに時間がかかるのは目に見えてるんだから。
電車に揺られながらため息をついた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
276
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる