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第1部 〈そして俺は、勇者と魔王を手に入れる〉編
2、不名誉な悪夢と、無慈悲な現実。
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――魔王直属四天王。
それは、高難易度ダンジョン攻略型RPG〈ダンジョンブレイバー〉のラストダンジョン魔王城の最奥に座すストーリー上の最後のボス。
少女魔王デスニアに挑むプレイヤーを阻む最大最後の関門にして、壁。
その内訳は。
四天王筆頭、パワーと防御特化型の暴魔将軍バーオネラル。
速さと回避特化型の女闇ニンジャマスター、イクチノ。
雑魚召喚特化型の死霊軍師パペネクタ。
いずれの四天王も特化型のステータスや凶悪なスキルにより猛威を振るい、幾度も全滅を余儀なくされるほどの強敵としてプレイヤーからは知られている。
――そう。四天王のうちただ一人、この俺、魔法特化型という触れ込みの闇の貴公子ジュドを除いては。
魔法特化型の俺は、確かにあらゆる属性、種類の魔法を使いこなす。だが、その全ては中級止まりだった。
その原因は、スキルポイント。
内部的な話として、実はプレイヤー側と同様に俺たち敵側もスキルポイントを消費してスキルを得ている。
その結果、闇の貴公子ジュドのこの時点で得られる総スキルポイントでは、魔法の天才という説明を体現するために各属性各種類の中級魔法を取得することが限界だったのだ。
そして、誕生したのがまさに究極の器用貧乏。
さらに、魔法特化型ということで体力や防御力といったステータスが低く打たれ弱い。
かと言って、同じ四天王でも回避特化型のイクチノと違って、攻撃をバンバン避けられるわけでもなく。
そして、自信家という設定のためか同じ四天王でもパペネクタのように取り巻きを連れることもなく、単身での戦い。
その結果、四天王最弱……どころか強力なボスを倒すためには何度も全滅を繰り返しつつ、その都度ボス前のセーブポイントで効果的なスキルにポイントを振り直し試行錯誤するのが基本戦略となる。
ライトユーザーを門前払いするほどの高難易度を誇る〈ダンジョンブレイバー〉においては。
「あれ? バフとデバフ、あと回復を切らさずに慎重に戦ったら、様子見のつもりがなんかあっさり一回で倒せちゃったんだけど?」
実際にプレイヤーの頃の俺がそうだったように、そんな不名誉な逸話もめずらしくない闇の貴公子ジュドは、そのストーリー終盤という登場時期ゆえの比較的高めのステータスを除けば、あるいはゲーム中のボス最弱といっても過言では――
「っていうか、複数人で連携してくる分、前座の目隠れ戦闘メイドちゃんたちのほうが可愛いし、しかも強――」
「う、うおああああぁぁっっ!? じょ、冗談ではないっ! せっかくプレイヤーとしての記憶を取り戻し真の意味で目覚めたばかりだというのに、むざむざと勇者たちに倒され死ねるものかっ! 俺には、果たさなければならない野望がっ! な、何か打つ手は――そうだっ! スキルっ! ……な、なんだとっっ!?」
かつてのプレイヤーとしての前世の俺が脳裏で呟いた、いまの俺にとっては不名誉な悪夢そのものの現実を振り払い。
一縷の望みをかけ、ゲームのときのように目の前に自分のスキルウインドウを開いた俺の瞳に映ったのは。
――残スキルポイントゼロ。当然新スキル一切取得不可能という、あまりにも無慈悲な現実だった。
それは、高難易度ダンジョン攻略型RPG〈ダンジョンブレイバー〉のラストダンジョン魔王城の最奥に座すストーリー上の最後のボス。
少女魔王デスニアに挑むプレイヤーを阻む最大最後の関門にして、壁。
その内訳は。
四天王筆頭、パワーと防御特化型の暴魔将軍バーオネラル。
速さと回避特化型の女闇ニンジャマスター、イクチノ。
雑魚召喚特化型の死霊軍師パペネクタ。
いずれの四天王も特化型のステータスや凶悪なスキルにより猛威を振るい、幾度も全滅を余儀なくされるほどの強敵としてプレイヤーからは知られている。
――そう。四天王のうちただ一人、この俺、魔法特化型という触れ込みの闇の貴公子ジュドを除いては。
魔法特化型の俺は、確かにあらゆる属性、種類の魔法を使いこなす。だが、その全ては中級止まりだった。
その原因は、スキルポイント。
内部的な話として、実はプレイヤー側と同様に俺たち敵側もスキルポイントを消費してスキルを得ている。
その結果、闇の貴公子ジュドのこの時点で得られる総スキルポイントでは、魔法の天才という説明を体現するために各属性各種類の中級魔法を取得することが限界だったのだ。
そして、誕生したのがまさに究極の器用貧乏。
さらに、魔法特化型ということで体力や防御力といったステータスが低く打たれ弱い。
かと言って、同じ四天王でも回避特化型のイクチノと違って、攻撃をバンバン避けられるわけでもなく。
そして、自信家という設定のためか同じ四天王でもパペネクタのように取り巻きを連れることもなく、単身での戦い。
その結果、四天王最弱……どころか強力なボスを倒すためには何度も全滅を繰り返しつつ、その都度ボス前のセーブポイントで効果的なスキルにポイントを振り直し試行錯誤するのが基本戦略となる。
ライトユーザーを門前払いするほどの高難易度を誇る〈ダンジョンブレイバー〉においては。
「あれ? バフとデバフ、あと回復を切らさずに慎重に戦ったら、様子見のつもりがなんかあっさり一回で倒せちゃったんだけど?」
実際にプレイヤーの頃の俺がそうだったように、そんな不名誉な逸話もめずらしくない闇の貴公子ジュドは、そのストーリー終盤という登場時期ゆえの比較的高めのステータスを除けば、あるいはゲーム中のボス最弱といっても過言では――
「っていうか、複数人で連携してくる分、前座の目隠れ戦闘メイドちゃんたちのほうが可愛いし、しかも強――」
「う、うおああああぁぁっっ!? じょ、冗談ではないっ! せっかくプレイヤーとしての記憶を取り戻し真の意味で目覚めたばかりだというのに、むざむざと勇者たちに倒され死ねるものかっ! 俺には、果たさなければならない野望がっ! な、何か打つ手は――そうだっ! スキルっ! ……な、なんだとっっ!?」
かつてのプレイヤーとしての前世の俺が脳裏で呟いた、いまの俺にとっては不名誉な悪夢そのものの現実を振り払い。
一縷の望みをかけ、ゲームのときのように目の前に自分のスキルウインドウを開いた俺の瞳に映ったのは。
――残スキルポイントゼロ。当然新スキル一切取得不可能という、あまりにも無慈悲な現実だった。
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