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家庭の事情がありまして2
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「大丈夫か? 顔色が悪いが」
「ほっといてくれ! 助けてくれたのはありがたいけど、こんなところでキスするなんて何を考えてるんだ」
クロードが心配してきてくれたことはわかっているし、助かったことも事実だが、こんな場所でキスされて噂にでもなったら大変だ。補佐官が元大使を誘惑しているなんてことにでもされたら、外務に帰ることだってできない。
ミッチェルとケヴィンの結婚がなくなって、それこそ持参金を蓄えるために働かなきゃならないっていうのに。
「何って……消毒に決まっているだろう」
「あんな、あんな濃厚なキス――っ」
ついっと唇を指で撫でられた。
「思い出しちゃった? アンリはキスで乳首が立ちあがるんだ。だからベストが擦れて、痛いんじゃないかな? 私の舌で癒してあげっ」
「バカバカバカ! 仕事場でエロいこと言うな!」
「エロいのはアンリの身体じゃないか。何も変化してないなら問題ないだろう」
まるで服の下の状態を見られているような気分に陥って混乱する。この男だったらできそうな気がして怖い。
「あ……クロ……」
背中にまわった指が背中をなぞり、尻のくぼみのところに下りてくる。指に力が入っているわけじゃないのに、キュッと尻の筋肉が連動する。
「まだ二回しかしてないのに、アンリの身体は覚えがいい――」
耳元で囁かれて、ガクッと膝から力が抜けた。低音の声は背中の神経を焼き切るほどに色っぽい。
「近寄るな!」
これ以上側にいると本当にヤバい。
「酷いな……アンリの身体の心配をしてるだけなのに」
怯えたのが見えたのか、視線だけで俺を犯そうとしているような瞳が途端に困った顔の犬のものに変わった。
「うるさい。ご飯も食べないといけないんだから帰る」
「サンドウィッチ持ってきたから一緒に食べよう。珈琲も淹れてきたんだよ」
足下にバスケットが置いているのに気づいた。ケヴィンを放り投げる前に冷静に置いたんだと思うと恐ろしく感じる。
「近寄るなよ。近寄ったら珈琲ぶちまけるからな」
渡された珈琲のカップをかかげると、クロードは笑いながらサンドウィッチを俺の口に突っ込んだ。
「どこに?」
「モグモグ。お前の沸いてる頭だよ」
サーモンだ。美味しい。プチプチしてるのなんだろう。
「沸いてないよ、春が来ただけで……」
空を見上げてクロードが微笑む。周りに人がいたら息を飲むほど美しい情景に、ここが恋人の庭というおかしな場所だということが残念に思えてしかたがない。
「春が来たのは花を見たらわかるんだよ」
「そういうことじゃないんだけど、アンリっていいよね」
クロードは楽しそうに俺の口に次のサンドウィッチを押し込む。
お肉美味しい。
「モグモグ。そういう人をバカにしているところが鼻につくよな」
「アンリみたいに言う人、生まれて初めてかもしれない。だからかな、嬉しくなるのは」
もしかして自分で墓穴掘っていたのか、俺は。普通に「キャー! 素敵、抱いて」とか言ってたらこんなことにならなかったのかもしれない。今からでも遅くない。
「クロード様は何でも優秀で、仕事もおできになって素晴らしいです。憧れますぅ」
「ふふっ、アンリに言われたら何でもできそうな気がするね。はい、終わり」
チュッと口に軽いキスをされた。嘘つき、全然駄目じゃないか。
「キスするな!」
「だってパン屑がついてたから。キスじゃないよ。ゴミを取ってあげただけだから」
うるさい、お前のいうことはもう信じない。
食べるだけ食べて、片付けるクロードを置き去りにして俺は走り去った。朗らかに笑うクロードの声を聞きながら。
「ほっといてくれ! 助けてくれたのはありがたいけど、こんなところでキスするなんて何を考えてるんだ」
クロードが心配してきてくれたことはわかっているし、助かったことも事実だが、こんな場所でキスされて噂にでもなったら大変だ。補佐官が元大使を誘惑しているなんてことにでもされたら、外務に帰ることだってできない。
ミッチェルとケヴィンの結婚がなくなって、それこそ持参金を蓄えるために働かなきゃならないっていうのに。
「何って……消毒に決まっているだろう」
「あんな、あんな濃厚なキス――っ」
ついっと唇を指で撫でられた。
「思い出しちゃった? アンリはキスで乳首が立ちあがるんだ。だからベストが擦れて、痛いんじゃないかな? 私の舌で癒してあげっ」
「バカバカバカ! 仕事場でエロいこと言うな!」
「エロいのはアンリの身体じゃないか。何も変化してないなら問題ないだろう」
まるで服の下の状態を見られているような気分に陥って混乱する。この男だったらできそうな気がして怖い。
「あ……クロ……」
背中にまわった指が背中をなぞり、尻のくぼみのところに下りてくる。指に力が入っているわけじゃないのに、キュッと尻の筋肉が連動する。
「まだ二回しかしてないのに、アンリの身体は覚えがいい――」
耳元で囁かれて、ガクッと膝から力が抜けた。低音の声は背中の神経を焼き切るほどに色っぽい。
「近寄るな!」
これ以上側にいると本当にヤバい。
「酷いな……アンリの身体の心配をしてるだけなのに」
怯えたのが見えたのか、視線だけで俺を犯そうとしているような瞳が途端に困った顔の犬のものに変わった。
「うるさい。ご飯も食べないといけないんだから帰る」
「サンドウィッチ持ってきたから一緒に食べよう。珈琲も淹れてきたんだよ」
足下にバスケットが置いているのに気づいた。ケヴィンを放り投げる前に冷静に置いたんだと思うと恐ろしく感じる。
「近寄るなよ。近寄ったら珈琲ぶちまけるからな」
渡された珈琲のカップをかかげると、クロードは笑いながらサンドウィッチを俺の口に突っ込んだ。
「どこに?」
「モグモグ。お前の沸いてる頭だよ」
サーモンだ。美味しい。プチプチしてるのなんだろう。
「沸いてないよ、春が来ただけで……」
空を見上げてクロードが微笑む。周りに人がいたら息を飲むほど美しい情景に、ここが恋人の庭というおかしな場所だということが残念に思えてしかたがない。
「春が来たのは花を見たらわかるんだよ」
「そういうことじゃないんだけど、アンリっていいよね」
クロードは楽しそうに俺の口に次のサンドウィッチを押し込む。
お肉美味しい。
「モグモグ。そういう人をバカにしているところが鼻につくよな」
「アンリみたいに言う人、生まれて初めてかもしれない。だからかな、嬉しくなるのは」
もしかして自分で墓穴掘っていたのか、俺は。普通に「キャー! 素敵、抱いて」とか言ってたらこんなことにならなかったのかもしれない。今からでも遅くない。
「クロード様は何でも優秀で、仕事もおできになって素晴らしいです。憧れますぅ」
「ふふっ、アンリに言われたら何でもできそうな気がするね。はい、終わり」
チュッと口に軽いキスをされた。嘘つき、全然駄目じゃないか。
「キスするな!」
「だってパン屑がついてたから。キスじゃないよ。ゴミを取ってあげただけだから」
うるさい、お前のいうことはもう信じない。
食べるだけ食べて、片付けるクロードを置き去りにして俺は走り去った。朗らかに笑うクロードの声を聞きながら。
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